ミチルと鷹の人形~第1章ミチルの章~

(この物語はフィクションです。)
このお話は雨の日に突然始まった。もう、僕の部屋に10年くらいある古びた黒い鷹の人形がある。それは、小学生の時に友人のマリエにたまたま貰ったものだった。
 その人形がある日僕に語りかけてきたのだ。「我は太古の昔から人の手から手へと渡ってきた秘宝である。人を立派な賢人へと成長させてきた。 マリエのところに10年、ミチル、君のところに10年。10年ごとに主人を変えて来たのだ。さあ、今度は君がチャンピオンになる番だ❗️ミチル、賢者の旅へ。鳥の名はパイ。共に行こう!」
「パイ?ホントに君が話しているの?まあ、わかったよ!パイ。でも、外は大雨の中心だ。行けないよ。パイ」
「ふふ、大雨とは空間のカオス。その中にこそ心理があるのだ。困難こそ人生の灯と、なり得るのだ。ミチル、昨日の敗者は明日の勝者だ。おっとっと!無駄口に注意だ。それが全部、本当になってしまうという試練がある。君の頭は一時、蜃気楼のようになる。併し、怯えるな。少年」ミチルはだまってうなづいた。少し震えている。
「それは自分を信じるという旅に出ること。自分を知り成長する。返せば我を手にしたものはすでに賢者となれる器だということ、選ばれているということだ。すなわち自分を信じられなければ終わらないゲームで真に自分を信じられた時道はひらける。我のような人形は3体ある。君にも旅路で多くの仲間が出きるだろう。不思議なイメージが次々と浮かび上がるがそれはすべて幻のようなこと。ミチル、生きるとはすべて幻のくようなものだ。その中から自分の信念を見つけるのだ」パイの目は赤い星のように輝き、そして玄関の戸が勝手に開いた。大雨の中に一本道ができている。その向こうには黄色い 砂漠がみえた。
 しかし、ミチルは14歳。ガチガチと歯が震える。
「マリエはこんな中に旅に出たの?」
「人それぞれ違うまなびだ。しかも、彼女も無事クリアした。そして、その経験のデータを消去してしまった。賢の部分だけの越して。君にもその選択権があるんだ。ここに戻れるのは一週間の人もいれば、30年かかる人もいる。でも、行かなければならない。ドアはもう開いてしまったのだから!」 
 夜の砂漠は思っているより寒い。晩秋のようだ。ミチルは黒いトレーナーに黄色い縞のズボンに着替えたところだ。台所の今朝のおかかのおむすびを二つと水筒にお茶を入れた。そして大好きな梅味の飴をカバンに入れた。
ミチルはパイに
「この砂漠は 歩いてはいけないのだろう?」と聞くと
「ここから2㎞行ったら町がある。朝市がやっているよ」
「何をしに行くの?」
「コホン。最終的なことを言うと”クツ”を届ける」
「?」とミチルは首を傾げた。
「まあ、君が賢者にならなければ始まらない話だが・・・」
「賢者しか手に入れることができないロンドン洞という洞窟にある魔法のクツがある。そこには真の菜の花やアヤメなどの花が誇ったように咲いていて
クツには羽がついている。黒の王様、王妃様に届けるのが真の目的だ。王妃様は元気と明るさを取り戻すと言われている。でも、この話にはからくりがあるらしい。つまり、その道程に学びや真理がある。人生行路と言うことなのだよ。」
「フーン。あ、朝日が・・・」
そして周りはだんだん明るくなって大雨は去った。
「さあ、砂漠の朝市に行ってみよう」
テントが、沢山張ってある。ここでは一日の計は早朝にあるようだ。人々が行き交い賑わっている。ジープにはたくさんの甘いフルーツが
積まれている。夜は寒いが朝が来ると皆、服を調節しているようだ。
荷をしょって仔馬が通る。
「ここの行商の店には酒、ヤギの乳、肉、フルーツ。何でもそろっているではないか!!」とミチルは驚いていた。
「君はお金を持っているの?」と聞かれたのでお年玉の
「5000円だけ」と答えた。
「なんだ、すごいじゃないか」とそろばんをはじいた。
「仔馬が一頭買えてしまうぞ」
「え?」
「でも、後々必要になるかも知れないから取っておきなさい」
「あ、ハイ!」
「じゃあ赤い苺のシェイクを二本だけ買おう」
「40円です」と言われたので
「5000円から」というと
「オー!!素晴らしい」と髭の座長はいい
「BOY!すごい。60円であと二本買って下さいよ」と
いうのでそうすることにした。そして、砂の少なそうな丘に腰かけて苺シェイクを二人で飲んだ。燕が元気に三羽飛んでいった。
     ~第一章ミチルの章 終わり~

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