あちゃ先生の紅華純愛占い相談所


「雛子ー。ほら、雨が降りだしたから、洗濯物取り込まなきゃ!」

「はーい!スミマセン。こっちは冷やしラーメンのめんつゆを作っていました。という先生は呑気一人麻雀ですか?」
「なに、いってるのよ!先代、猛子先生の方があたしよりずっと厳しかったわよ。まあじきに雨も上がりそうだから、明日は落ち葉拾いよろしくね」
  「ハイハイ!ところで先生は冷やしラーメン何を入れます?キンカハムもきゅうりもトマトもおろしもちくわ天も、もちろん茹でタマゴもできますが…」
「アタシは、冷やしラーメンならキンカハムと  錦糸玉子だけ。それが王道だと思っているのよ。うまいつゆがあればよし。葉子の腕にかかっているわ!」と、言いながら顔もあげず一人麻雀に打ち込んでいる。
「カラシがいい味だしてるのよねと、話はちゃんと聞いているようだ」そして、
「ローン」と一人で言ったかと
「は、は、は!やられましたなあ」となんだ楽しそう。赤いセーターにワンポイント  星のマークがついている。
  今日は秋の文化の日で本当は二人で筑波山に山登りに行こうと言っていたがあいにくの雨で止めにしたのだった。
 夏の暑さも過ぎ、空気がなんふとなく涼しく感じられる日がふえた。庭ではチャッピーと言う猫がニャーとなく。飼い猫ではないが良く家にくる猫だ。もしかしたら私たちの霊能力に  気がついているのかも知れない。案外、高級そうな猫にみえるが、野良猫らしい。
  私が急いで洗濯物を取り込んでいると、今度はスマホがなっている。アチャ先生の頭のうえから洗濯物をほうり投げてスマホを取った私。アチャ先生が遠くで
「まったくもう!今時の助手は小生意気でならないわ❗️と、ぼやいている。そのわりに、洗濯物を綺麗に畳始める先生なのだった 」
  「ハイ❗️アチャ紅華純愛占い相談所です」と、明るい声で出る私にハスキーボイスの十六歳くらいの女学生の方が、
「今日なのですが、突然行ってはダメですか?」と、依頼してきた。今日はoffのはずだったがその、真剣な声に私は
「二時すぎなら一時間くらい大丈夫ですが…」と、答えた。
  「では、それでお願いします。石田幸子、といいます」
と、こたえた。
「石田幸子様ですね。わかりました。二時にお待ちしています」と言って私は電話を切った。
 私の花柄の黒いスカートも風に揺れていた。
 「先生!今日はoffでしたが、お客様が一人入られました。二時にくるそうです。石田幸子さんとおっしゃっていました」すると、アチャ先生はあからさまに
「エ~!今日は午後一で風呂に入って冷たいビールとチャーシューでキュッと一杯やろうかとおもっていたのに」と、残念そう。見た目によらずかなりの酒豪なのでした。
「プロ野球中継が丁度あったのに」と、駄々をこねるので
「先生のいつものプロフェッショナルな顔、かっこよくてみたいな~」と、いうと先生は口唇を尖らせてまんざらでもない様子。なんかわたしまでてれて赤くなってしまいました。
「まあ、15の夢見る少女のくせに大きくでたわね」と、アチャ先生はいうと二人でウフフと笑いました。

14時10分
~ピンポーン~
とチャイムがなったので、わたしはお気にいりの赤いスリッパを
ならして玄関までいきドアを開けるとな年齢よりすこし、幼く見えるショートカットの女性が立っています。
 服は赤いパーカーに黒のワンピースを着ています。やはり、細身の
体つきですが、美しい人だなと私は思いました。
「はじめまして、石田幸子です。少し遅くなりスミマセン。」といいました。声こそハスキーボイスですが女性らしい人でした。
「はじめまして、私は助手の勝田葉子です。さあ、先生は奥です。どうぞ」というと、石田さんはしゃがみこんでしまいました。
「どうされましたか?」と、私が
か聞くと
「いえ、最近疲れやすくて」と、おっしゃったので手を貸してリビングまでつれていきました。
せっかく先生のおもてなしの心のこもった書道と華道はみて貰えませんでした。

リビングのドアを開けるとアチャ先生は、最初こそ笑ってましたがさ、すこし眉毛を上げました。
先生も共に彼女をソファーにすわらせると
「雛子、ただの水とすこしお塩を持ちなさい」と、言いました。「ハイ」と私は答えて急いでもってきました。
 「石田さん。わかる?これを少しずつ口に含みなさい」とアチャ先生は黒色の絣の着物姿で彼女のせなかを擦りました。
 (久しぶりの大仕事になりそうかな?)私も不安になりました。
「石田さん、落ち着いて、イーイ?呼吸を  ゆっくり  整えて。大丈夫!必ずこのアチャが何とかしてあげるから」
  石田さんは花柄のハンカチで口を押さえながら呼吸を返した。
  秋の木漏れ日が窓から射し込んでいた。
「ハイ。これ口に入れて」
「なんですか?」
「紀州の梅干し!意外にこう言うのが結構効くのよ」と、言ってアチャ先生はニッコリわらった。
「さあ、据わり直して!おちついた?じゃあ、セッションを  始めましょう。その前にこれを持っていて…」と、アチャ先生は金色の運勢彼女の手の中で  鈴はコロコロと  なりました。
「いーい。石田さん。わたしたちは医療の関係者しゃじゃなく占い師なの、その点理解してくれる?」
「は、はい」
「貴女の回りには浮かばれない無数のたましいがいるの。落ち着いて、ちゃんと理解できるようにはなすから」というと石田さんはふるえだしました。
「心当たりがありそうね。」
「はい、私は大量に食べ、トイレにはいてまた、食べる。を、1日中繰り返しています」
「摂食障害ね」
「はい。でもなぜわかるんですか?」
「ま~!誰だと思っているの?あちゃよ。ほほほ」
「初めてできた彼から、痩せろ‼️デブと、いわれたのです。昔の友達が痩せたかったら吐けばいい。と、呟いていたのをやってみたのです。そしたらやめられななくなってしまって」と石田さんはおえつしました。
「それでその彼とは?」
「二ヶ月前に捨てられました」その、返答にアチャ先生は眉をぴくっとつり上げました。
   アチャ先生は
「貴女の問題は貴女がおもっているより深いところにあるかもしれないわね」というとコーヒーをすすりました。
「え?」という石田さんに
「あなたはその、まあまだ今は元彼だとして彼の飼い猫かなにかなの?」ときくと石田さんは身を固くしました。
「イーイ?言葉には不思議な力があるの。だから言霊というのね。あなたは今は大変なのだろうけれども卑屈なことばで自分を汚してはいけないわ。あなたはとても尊い存在よ」とアチャ先生がいうと
「まあ、ありがとうございます。癒やされます」というと
「さて、本題に入りましょう。食べて全部吐く。だからいつも空腹。あなた気がついてる?餓鬼地獄にいるのよ」
「え?」
「この世のなかにも地獄はあるの。それでも、止められないから地獄なの」というと石田さんは慌てて
「どうすればいいのですか?」と、青くなって聞き返しました。
「人によってちがうのね。でもね、あなたのような症状の方って、むかしはそんなに多くはなかったの。」石田さんはうつ向きまさたました。
「イーイ?貴女のテーマは愛。貴女は愛を学ぶためにこの世界にうまれた、その学びは楽しいことばかりではないの」そして先生は続けた。
「それと、もうひとつ。あなたには業が残っていくわ。例え症状でそうなっていようといきとしいけるものの尊い命をトイレに流すという行いはきっと報いがあるとおもうわ」と言うと石田さんは「え?」と、いってからすこし震えた。
「きっと、いつかその業の責任を取らなければならない時がやって来ると思うわ。でも、その頃になると貴方も落ち着いた対応が出来るはずよ」と先生は、付け加えました。そして、
「自分でわかるの。これは、あのときの報いが来ていると言うことがでも、全く違うかたちでね」
「……」石田さんは口をつぐんだ。少しして
「どうして、私ばかり幸福になれないのだろう?」と、言ってむせび泣きはじめました。
「他人と比べないこと。それをやめるだけでだいぶ楽になるはずよ。さて、貴女のテーマ(愛)について、話そうと思うけれど、準備は良い?」
 私も少しドキドキしました。チャッピーはわたしの腕の中でニャーと鳴きました。石田さんは下を向いていました。口紅だけが妙に赤く見えました。
「貴女はきっと誰かに痩せなさいとか罵られることを言われたのよね」
「はい、まえの彼氏に痩せろ!!デブと、いわれて友達に話すと口に手を突っ込んで吐いたらいいよ。と、いわれたのです。試してみたらこんどは止められなくなってしまって…」と、ボソボソと呟いた。
「そう、あなたの周りには鬼が多いわね。きっと貴女には天が与えた大きな使命があるのかも知れないわ」石田さんは目を大きく見開きました。
「そうよ、良いこととわるいことは背中合わせなの。悪い業、経験は後に貴女の人生を大きく変え支えてくれるように成ると思うわ。つまり、貴女は将来道に迷った時、今の経験に助けられる。だから、今を一日一日積み重ねていくことね。毎日が同じ日のか繰り返しのように
思えていてもちゃんと進んでいるのだから。いつかは今のか苦しみも終わる。ひょんな事かかもしれないわ。」
「ハイ、そうですか。そう言っていただけるだけで嬉しいです。ありがとうございます。」
  「さあ、本題の(愛)について、愛と聞くとどうしても男女間の愛にとらわれてしまいがちだけれど、一番大切な事って何ですか?っていうとね、自分で自分を愛することなの。貴女はその元彼氏と出会う前からも自分のことを愛してはいなかったと思うわ。その人に愛されていると言う自分に安心していたのね。もし、そうでなかったらそのひとの意味のない中傷に対し毅然とした対応ができたはずよ。その人に愛されない自分は、愛せない。になってしまっていたのね。だからこそ、一生懸命無謀ダイエットを始めてしまった訳でしょう。つまり、元彼氏はきっかけに過ぎないの、あなたの根本的な問題…」とあちゃ先生が言うと黒沢さんの目から大粒の涙が流れた。
「兄妹がおおかったのです。私は真ん中っ子で優等生でした。何とか両親の愛を受けたいとおもい勉強もたくさんしました。しかし、両親も子育てと仕事が忙しく優等生をやるほど手のかからない子だと思われたらしかったのです。そんな私のコップの水は溢れ、悪い彼氏を作ったりして家に深夜まで帰らなくなりました。それでも、両親のはあまり心配もしていない様子でした。」と言うと
「全て見ているわよ。ご両親は。見ていてなにも言わないのかも知れない。会話不足なんでしょうね。そういう、悲しい展開は良くあることで、うちでも良く取り扱うわ。あなたは自分で自分とご両親のことを憎んでいるみたいだけれど歳をとると考え方も変わって来ると思うわよ。」と、言いました。
「ここで、少し占いの話をするわね。ご両親のタイプとあなたのタイプを比較すると、あまり相性が良くない。と、言うより鈍感なご両親に対し感受性が豊かなあなたと言う型になってしまっているの。つまりはね、あなたがなにが不満でどうしてほしいのかご両親のアンテナでは拾えない、理解ができないの。どちらが悪いというわけでなくね。」と、いうと石田さんは少し分かったようにコクンとうなづいた。 
  私は良い傾向が出てきたように思えて嬉しくなった。
「じゃあ、どうやって  自分を愛していったら 良いですか?と、いったら人によって千差万別あるわ。まずは自分の心に何がすきなのか、よくよく尋ねてみることね。簡単なことでいいのよ」(続)

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