大鷹の王子様と賢者ハナエ~桜の章~

大海原を南に少し下った頃、ウインは華恵に
「どっちに向かうのだ?」と、聞きました。すると華恵は
「そうだな。お星さまの方角だよ。みんな、それでいいよね」と言うとみんなは
「オーケー!船長」と、答えました。男性でも髪を長く結っていたりするまちでね。そのさきのマーガレットタウンというところまで船を運んでおくからそこまでなんらかの方法で来て欲しい。多分オリオン街からは歩いて2~3日というところのはずだ」と、ウインは笑いながら言いました。
「オーケー!ウイン。ありがとう」
そして、30分後無事ポロッサ岬に着きました。
「じゃあ、行こうか?」と言うと松と康と福は岬に上陸しました。
「オーケー」ハナエは最後に足で船を蹴って陸に上がるとウインは
「待っているぞ」と、笑いながらイリトサン海の方へ向かって行きました。ハナエ達はそれを見えなくなるまで見送りました。
「よし、じゃあ、行こうか?」と、ミッツィと松と康そして、ハナエと福は揃っていいました。オリオン街は都会と田舎に大きく分かれていました。都会には超高層ビルが立ち並び栄えていましたが、一歩道に入ると屋外で柿やスイカなどのフルーツを道端で、売っていたり『床屋』と、書いた段ボール紙と椅子が一つおかれている草むら散髪店などを構えている人もいました。
  ミッツィと康は早速薬になるような良い食べ物を探しに二人で先を急ぎました。そして、ショウガや胡桃、干し葡萄などをかい集めてきました。
  その後皆でレストランに入りました。『キリン』という名前の店です。もし、おなじものを頼むと都会の方が田舎の3倍くらいの値段がしました。康だけがビールを呑みました。康は酒好きだけれどあまり強くないらしく、饒舌になりました。付き合ってみると辛い過去はあるもののそんなに暗い奴でもなく、むしろ明るい方ではないかと松はおもいました。
 華恵は華奢な女の子に見えていきなり300グラムのステーキを頼みペロリと平らげました。福はピンク色のシェイクを美味しそうに飲みました。松は
「僕はここって時には何時もオムレツを頼むんだ。一番良い」と、いいました。
 デザートを頼むと芋で出来た団子が入っているかき氷のような物が出てきました。ミッツィははじめて食べて感心し、メモをとっていました。みんな素敵で楽しい時間が流れて嬉しく思いました。
華恵はマックスさんという店長さんに
「正様と言う鷹の王子様を見ませんでしたか?背中に羽が生えていたと思うのですが」と、聞くと髪を横にわけた気さくな店長さんは
「ああ、もしかしたらあの人かな?2ヶ月くらい前にあのすみにあるテーブルに座って紅茶とフライドポテトを食べていたよ。なんだか元気がなかったよ」と、言いました。華恵は少し心配して黙りました。
  そして、彼らは旅に必要なものを買い込みました。宿で一泊泊まり次の日、お惣菜屋さんでパンを買いました。ミッツィは自分で作れなくて残念そう。でも、船がないのでしょうがありません。みんな一様にサンドイッチを頼みました。康はハンバーガーまで頼んでいました。
   そして、オリオン街を朝7時に出発した一行はマーガレットタウンに向かいました。海辺のマーガレットタウンへの道はなんと砂漠でした。5人はゆっくりあるき出しました。暑く荷は重いのでとにかく前へ進むしかありませんでした。。砂漠の丘の向こうに大きな城壁があるように見えた気がしましたが、霞んで良く見えませんでした。
    すると、そこに若いツバメが1羽道に迷って飛べなくなっていました。華恵は
「どうした?ツバメさん」と言って」水とパンを少し与えるとすぐに元気を取戻しました。ツバメはハッピーと名乗りました。砂漠で家族みんなと一緒にいたところ1羽はぐれてしまったと言いました。そして、御礼にオアシスまで道案内をしてくれるというので一行はとても有りがたく思いました。
ツバメにみんな黙々とついていきました。ひたいからは汗の玉が流れ落ちます。華恵がフーッと息をつくとツバメのハッピーは
「あれだよ。ほら、着いたよ」と、微笑み華恵達の頭のうえをスーッと羽ばたきました。華恵達は思っていたよりも大きなオアシスでまるでジャングルの様だと驚きました。そして、みんな顔を見合わせて安堵の微笑みを浮かべました。
ミッツィと康はハイタッチしました。
 オアシスの中は緑に溢れ大きな河がありました。そこには、楡木やカエデ、
イチョウなどがおいしげり、子馬や、キリン、ヒツジ、猿の群れが各々くつろいでいました。
「気をつけろ!どくを持った動物がいるかもしれない」と、松は言いました。そして、ツバメのハッピーはこの森で一番大きなブナの木につけてある木でできた鳥の巣箱の中に入りピイピイと鳴きました。そのブナの木は何千年と生きているであろう森の主らしいのです。その森の主は
「ツバメのハッピーはを助けてくれて有り難う。私の名はドンキー。何でも一つだけねがいを叶えよう。どうするか?」と、優しく語りかけてきました。華恵は嬉しくなって
「正様と言う王子様を探しています。知っていたらどこにいるのか教えてください」と、言いました。森の主は
「彼は勇者に成ることを約束されて生まれてきた者だが今はまだ力に目覚めていないらしい。この石を持って行きなさい。かれに近づいたり、なにかがあるとき光るはずだ。自分と仲間、そして神様を信じることだ」と、石をくれました。黒くて丸い石でした。
   森のめぐみの木の実や野菜、くだものをたくさんもらい水牛二頭がマーガレットタウンまで運んでくられる手筈となりました。ミツとスーという蜜蜂が
「おいら達は森の金庫番」と言って御礼を少し貰えました。華恵は大きなブナの木にそっと触れ
「サヨナラ、お元気で」と、言いました。ブナの木は何事もなかったかのように沈黙を守りました。
  また、一行は歩き始めました。すると、見える景色がだんだん変わり始めました。点在している木々や草花が見え始めました。そして、間近に
『砂漠と海の都   マーガレットタウン』と描いたたて札が見えて来ました。海辺に着くとやはりみんなはしゃぎました。そして、、そこにはクジラのウインが待っていました。
「待たせたね。ウイン!」と華恵がいうと
「みんな遅いぞ!!」と、ニコニコとウインは笑いました。とても明るい街にみんな喜びました。祭りの時期の最中らしく人々は各々、普段着で踊っていました。その道を通りながら康は嬉しくてガルルーと笑いました。康は明るい性格らしい。と、みんな微笑ましくおもっていました。
  すると、ブナの木から貰った石が光を放ち始めました。華恵は
「正様か?正様に何かあったのか?」と、呟きました。気がつくと、その道の角にヒッソリと占い師の老婆が座っていました。タンポポの花がゆれていました。黒い服に紅色の手袋をしていました。そして、胸に大きく光るブローチをしていました。
「私の名前はチョコ。お出でませ、プリンセス。お前さんたちは珍しいものを持っているね。それはこのホンニにニつとないものだろう。大事におし。お前さんたちに興味がある。無料で占ってあげるからそこにお座り」と言って手をチョコチョコと招き笑いました。華恵はその古い椅子に座りました。
「正様という名前の王子様を探しています。大賢者クロスが千年前に鷹の王子様がグリーン城の霊を救うために産まれると、予言したその勇者が彼だと思われます。」
「フム、どれ、占ってみよう」と言ってチョコは赤いカードを数枚机の上に置きました。
「彼は、もうグリーン城に辿り着いている。しかし、力が目覚める前に使命感だけで飛び出したようだねぇ。若さだな。霊達は形の無いモノだから普通の戦いかたでは勝てないのだ。今、まさに周りを囲まれている状態だ。
  お主は賢者として彼をサポートする約束をして生まれてきたらしいな。しかし、霊を悪と捉えると大きな失敗をさるだろう。彼らもまた怯えているのだ。そして、お主は鏡の司に会いに行け。正に出会ったらその剣を渡すのだ。霊は倒して勝つのではなく天に還してあげるのだ。鏡の司は代々特別な力を受け継いでいる。もしかしたら、主人公は正様ではなく華恵お主なのかも知れない。仲間を信頼し、それぞれのちからをだしあいなさい。自分の霊を愛せよ。そこに力が隠されている。言葉には神が宿る。十分に注意しなさい。少し、喋り過ぎたようだ」と言ってチョコは1つ咳払いをした。
「わかりました。ありがとう。ところで風の司はどこにいるのですか?
「ホンニの果てのグリーン城にいく途中にいる。恐らくもっと詳しいものから聞くであろう」と、チョコはいった。
「そうですか、ありがとう。占い師さん」と、言って華恵は席をたちました。
 一行は米やパンなどを補給し
防寒具を買いました。祭りでは楽器から楽しげな音がながれ祭りは最高潮をむかえていました。綺麗な服を着た女性と、胸に赤い花を差した男性が踊っています。
  そんな中、一行はパスタの店で簡単な食事をとりました。タラコやバジル風味を皆でシェアして食べました。タンポポの花がゆれていました。アツアツでなかなかおいしい味でした。良いムードで食事ができたので華恵はひと言切り出しました。
「これから、こんな雰囲気で食事を楽しめるか機会なんて無いのかも知れない。それでも、みんな笑顔を絶やさずなに進んで行ってほしい。宜しくお願いします」と頭をさげた。フクは
「華恵は賢者らしくなってきたな」と感心しました。
  そして、船に戻りウインと合流して、ここで1泊しました。次の日、心新たに船は出しました。しかし、目的地へ向かう途中、台風に巻きこまれて
しまいました。
「みんな、掴まれ~、水をかきだせ!」と、叫んだのはミッツィでした。ミッツイは海の小島のレストランに勤めていたため、大雨にあったりすることも多く案外肝がすわっていました。フクはこんなこともあろうかとサブマリンに船を変えて進みました。
  しかし、海の中で渦が巻き船は舵取りを失いました。すると、渦の中に、一本の道がみえます。
「なんだろう?」と、皆不思議に思っていると石がオレンジ色に輝いていました。
「たぶん鏡の司だ!」と、華恵は叫びました。
「え?」と、松と康は言いました。
「待っている、待っていると聞こえるようだ」その波の一本道はずっとつづいていました。
  そして、4時間、渦の中の一本道
の途中で海面に浮上すると台風は止んで星が照っていました。
  遠くにかなり大きな島がみえます。島の上は丘になっているようでした。開けた草原に子馬も戯れています。皆は上陸して歩いて行ってみることにしました。ウインには船を見ていて貰いました。
その広い丘の途中に一人の女性が立っていて黒い服を着て金髪の長い髪が風になびいています。その風景に皆は厳粛な気持ちになりました。 
「ここは?あなたは?」と華恵はその女性に声をかけてみました。まだ、黙る彼女は華恵の方を見てまた横を向きました。華恵は不思議に思いました。
「私の名は桜。ここは大切な土地だ。私はここを守っている」
「え?」
「君は華恵だろう。」と女は話しをきり出しました。
「何故私の名を?」というと
「私は大賢者クロ様に仕えた魔法使いの血を引くものだ。鏡の司から君がそちらへ向かうように伝えてくれと言われてる。子の丘から東に15キロ言った旭山の頂で待っていると、それが伝言だ」
「そんなことまで・・・」
「私は実は昔、正さまの乳母をやっていたことがある」と桜が言うと「エ?あなたはおいくつなのですか?」と松はきいた。
「フフ、当に60を超えるおばあさんだ」と答えた。
「えー!!20代くらいにしか 見えません」というと桜はフフフと
笑い
「良かったら、茶でも入れよう。皆質素な家だが招かれておくれ。まあ、前いておいて特に話は無いのだけれど」と言って桜はまた、フフフと笑った。
 桜の家は本当に質素だった。しかし、大きな本棚に沢山の本が並んでいた。カップはかけたものもありましたが、みな
なにも言わず飲んだ。松がその本棚に興味を示し『ホロッサの歴史』と言う本を手に取ると桜は
「やめておけ!子供の扱えるものではない!」とさとした。松は少し赤くなった。すると
「私をかいかぶり過ぎない方がいい。私は元海賊だ」と言った。松は
「今は違うならそんなに自分のことを悪く言う必要はないよ」と、言った。桜は少し間を置いて
「ありがとう」といった。
「桜さん。いや、桜。鏡の司の話を教えて欲しい」と、華恵は言いました。
「ああ、そうだな。旭山とは、ホンニの南方にある山のうち2番目に大きな山だ。風の司は鷲のすがたにもなれるのだ。しかし、普段は人の姿をしている、。そして、空気にふれるものはすべて操れる。平和のためにこの力を伝授するものを探している。君が海岸に座っていたときからずっとメッセージを送っていたと言うと、桜が言うと華恵は意外そうに頷いた。
「鏡の力で正様を援護してあげなさい。それは君が女だからできる事なのかもしれない」
「桜、ありがとう。出来れば私たちと一緒に来てくれないか?あなたの知恵と魔法は私たちにとって必要なのだ」
「バカ言え!私はもうそんなに若くない」と桜が言うと松は
「あなたと一緒に旅がしたい。きっと仲間を作った方があなたにも良いことがある」と松は言った。
「まあ、まずは旭山に華恵一人で登れ。華恵が無事帰ったら考えよう」と桜は目を閉じて言った。
「エ?一人で」とみんなは言ったが
「ダイジョブだ!みんなは船に戻っていてくれ」と華恵はハッキリ言った。
「ハハ、途中まで私の魔法で送ってやろう」と桜は笑った。
 トウは何かあった時のために救急処置バックを華恵の肩にかけた。桜が魔法を唱えると華恵は15キロ離れた旭山の頂に飛んでいった、。七合目という所で魔法はとけた。岩場はごつごつとしていたが草花も生えていて緑豊かだった。華恵は何とか登れそうだと安堵していた。しかし、鏡の司がいるという聖なる山だけあって100歩進むと季節が変わり花が咲きまた100歩進むと季節は変わり雪が降った。
 すると、旭山は大きくグラグラ動き華恵はビックリしてしゃがみこんだ。すると実は旭山は実は一人の巨人の男の身体で、彼は体に華恵を載せたまま大きなあくびをした。
「お主は?」と聞くので驚きつつ
「私は賢者華恵。鏡の司に会いに行きたいのです」というと巨人は笑って、手のひらに華恵を乗せ鏡の司の屋敷の戸口に華恵をおいてくれた。
「ワシの名はジュリ。覚えておいてくれ。どうか無事に」というので
「ありがとう。ジュリまた会おう」と華恵は言った。
  そして、華恵はようやく、鏡の司の洞穴の扉の前にたどり着いた。少し霧が出ていた。頑丈な木の黒い扉だった。コンコンと華恵はノックした。扉の横には松明が左右に明るくついていた。
ギィーッと扉が開くと
「入りなさいな」と言う声が聞こえた。女性のような甲高いこえに華恵は少しビックリした。なかは赤レンガの通路になっていてやはり少々の明かりがついていた。
「よくきました。おかけなさいな」という声が聞こえた。部屋の周りには大きな鏡が5つついていて。華恵が映っていた。
  少し広くなったは部屋のようだには赤い水玉のカーテンがある。そして1脚の木の椅子が置かれてまし華恵はそこにゆっくと、座りました。スルスルとカーテンがあき風の司らしき、、綺麗でオカッパの髪型をした女性が姿を顕しました。黒いワンピースに水玉のマントを着ていた。背中には翼が生えていた。後ろに、菖蒲の花がたくさん飾られていました。
「あなたが鏡の司ですか?」と、聞くと
「いかにも、よくきました。立派になって、華恵」
「なんだか変な気分です。私はてっきり男性だと思っていたので」
「……」
「華恵、我の次の鏡の司になってはくれぬか?」
「……」
華恵はとても驚き何も言えませんでした。
「正を救いにいきたいのであろう?」
「私には…、両親と弟がいます。鏡の司としてここにいるというのは現実的に…」と言うと
「いや、華恵、貴方は断われないと思うナ。風の司としてすでに選ばれている。ただ今すぐでなくていい。貴方には普通の人間より少し、長く生きられるように術をかけてある。正を救った後、一度人間界にかえったとしてもまた、折を見てこちらにくることになるかのだから安心おし」
「……」華恵は複雑な気分だった。
「さあ、華恵。こちらにおいで…」と言い鏡の司が指1本動かすと急に追い風がふき引っ張られた。そして、鏡の司の腕の中にすっぽりと入った。花のような香りがした。鏡の司は華恵に金の冠を被せてやり
「エース」と、呪文をかけた。すると、華恵の背中に翼がついた。
「さあ、私の可愛いプリンセス、力のコントロールは身をもって覚えなさいナ。正し怒りの気持ちや恨みの気持ちなどで力を使わないように。山一つ吹き飛ばしてしまう潜在能力があなたにはあるのだから」と言った。華恵は指で丸を描いてみた。すると、一つのたいまつがフッと消えた。
「なるほど」
「どうか、その力を大切に使って下さいます様に」と言って華恵の頭をなでた。
「私の可愛いプリンセス。行っておいで」と言って華恵を抱きしめた。
「感謝します」と言って別れた。
 さて。、華恵は翼ついたためなれないながらもゆっくりと羽ばたいて地上を目指した。するとウインを除くメンバー全員が山の下の森の入口で待っていてくれた。桜は
「案が、君達とは気が合いそうなので、一緒に行かせてもらうよ」と横を向いて笑った。横を向くのが癖らしい。
「良し、そう来なくっちゃ!全員揃った。さあ、行こう」というとミッツィ―は
「その前にご飯を食べよう!うまいものをつくるよ」と言って笑った。皆船に乗りウインはコロッケを20個も食べた。そして、その後みんなそれぞれ少し仮眠を取った。星が一つ光っていた。
               ~桜の章 終り~

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