~ミチルと鷹の人形第三章 トーシーの章~
「あれ?海の中に浜があり、また池のようなものがある。なんだ?どうなっているんだ?」そして、砂浜の上からなのか陽光が降り注いで輝いている。
気がつくと、一人の青年の男性が池の中をずっと覗いている。石を投げ込み水面がゆれる。そして、水面が落ち着くとまた、石を投げ込む。
「あの~?ここは?」とミチルは男性に声をかけてみた。振り向いた青年にミチルとエリシンはビクッと驚いた。まるで鬼だった。。2本の角を生やしていてつり上がった目に尖った歯をむき出していた。
「キャア‼️」とマアコも驚いた。
「ごめんよ。お嬢さん。どうかオイラの話を聞いてくれ」と言って鬼はさめざめと泣いた。
「ここに来たと言うことは君達もワケありなんだろう?」
「……。」皆黙って座った。
「ほーら!カオスだ」と、パイはいった。
「オイラはここに来る前、地上で悪さばかりしていたのだ。オイラな名はトーシー。そんな中鏡を見たらいつの間にか顔が鬼に変わっていた。悪さばかりしていたオイラは大切なものをうしなっていることにきがついたのだ。因果応報なのかな?父ちゃんに似た大きな目と、母ちゃんに似た瓜ざね顔は、本当は両親からの大切な贈り物だったんだ、そして、今では唯一の繋がりだ…」と言って少し黙ってから
「でも、鬼になってしまった。なんとかもとに戻す方法はないだろうか?一緒に考えて欲しい」と鬼のトーシーは言った。
マアコは最初は怖がっていたものの同情し
「ミチルさん、何とかしてあげたいわ」と、言った。
「オイラ、お金ならある程度持っているんだ。でも、お金と同じくらい、いやそれ以上になるかもしれないものが、こんなにすぐそばにあるとは思わなかったのだよ」と、トーシーはため息混じりに言った。
「一緒に行こう❗️」と、ミチルが言うと
「え?」と、全員が答えた。特にパイとエリシンは驚いた。
「出会いに偶然と云うものはないのだよ。僕達の旅に同行するかい?元に戻るかどうかはわからない。でも、なにもしないよりはいいかも知れない。君は確かに悪かったのかも知れない。しかし、困難と反省の中で真理を学んでいるではないか!」
「行くよ!連れていってくれ」その池のほとりから二つの人形は浜辺に誘導しているようだった。(続く)