10年後の佐渡の未来、「佐渡市総合計画」意見交流会に参加して
令和4年度からスタートするという「佐渡市総合計画」。
佐渡市の最上位計画として位置づけられ、今後10年間の佐渡の未来は
この計画に沿って舵取りされていくことになる。
そんな重要な計画の存在を
いったいどれくらいの佐渡市民が知っているのだろう?
わたし自身、毎月家に届けられる「市報さど」という小冊子で
たまたま知った。
もしかすると、日々こまめに佐渡市のHPをチェックしたり、
市政に興味関心がある人以外は、
この大事な計画そのものを知らないんじゃないかと思った。
(そういう熱心な市民はごくわずかだろう)
今回は、佐渡市が「佐渡市総合計画」策定にあたり、
場を設けてくれた市民意見交流会に参加したときのこと
をだいぶ主観が入ってしまっていることは否めなし…ながら
こちらでご紹介できたらと思う。
佐渡に限らず、
これから人口が減り続けるフェーズに突入する日本においては、
それぞれの地域が抱える課題も重なるところが大きい。
もし、ご自身が住われている地域のこと、
その地域の未来のことと重ねたりしながら、
「自分の地域の計画はどうなってるんだ?」
「自分の地域だったらどうする?」
そんな視点をもって、読み進めてもらえたらとても嬉しい。
(ぼーっと読んでもらっても全然OK!)
市民意見交流会のバランス
各地区で日を分け、数回行われる予定の市民意見交流会。
わたしは自宅から15分ほどで行けるいちばん近い場所を選んで
参加した。
金曜日の夜。
19時スタート。
この日は寒波到来のピークのような日で、
前日までに積もった雪で道路はガリガリ&ツルツル。
気温もグッと冷え込み、
夜出かけるなんて勘弁みたいな日だった。
早めに夕食を済ませ、着込んで、気合を入れて家を出た。
(正直、直前まで迷った)
開始時刻ギリギリに滑り込んだ会場には、
年配の男性の姿がちらほらあるばかり。
わたしを入れて7人ほど。
離されておかれた椅子が半分以上余っていた。
(女性はわたし一人)
たぶん参加者よりも職員さんの数の方が多かった。
それもそうだ。
わたしだって、ちょっと前までは
こういった場に行こうなんて考えることすらなかった。
興味ないし、面倒くさい。
そもそも、こういった場に行く人はちょっと変わった人で、
普通の人は行かない、そんなふうに思ってた。
でも、住んでいる地域の行政は自分の人生に大きく関わっていること、
行政が変わらなければわたしたちの暮らしは変わらないこと、
「こうなってほしい」があるのなら声をあげていく必要があることを
教えてもらってだいぶ変化した自分がいる。
そう考えると、
この市民意見交流会にもさまざまな年代の人が集まり、
それぞれの視点から意見交流できるといいんだろうなと思う。
佐渡市最上位計画「佐渡市総合計画」とは
佐渡市総合計画はでかい。
https://www.city.sado.niigata.jp/uploaded/attachment/28039.pdf
ピラミッドの頂点に基本理念が掲げられ、
その下に将来像、基本目標、それに対する施策、さらに施策の展開
へと下々がすそ野を広げていく構図。
全部をここに羅列するのはわたしも読む方もやめてくれなので、
ここでは頂点に君臨する基本理念と
それを支える5本の柱(将来像)だけご紹介。
===
【基本理念】
歴史と文化が薫り 人と自然が共生できる持続可能な島
〜子どもからお年寄りまで 誰もがいきいきと輝ける島〜
【5本柱(将来像)】
トキの舞う美しい島
笑顔と長寿の明るい島
文化の薫るおけさの島
働く汗の光る島
人情と優しさのあふれる島
この下に基本目標がくる。
例えば、「トキの舞う美しい島」の下にくる基本目標は、
「豊かな自然と共生した、安全で快適なまちづくり」がきて、
さらにその下に施策となる項目が11並ぶ。
===
率直な感想、これを見てどう思います?
グッとくるかな?
そそられるかな?
キュンキュンするかな?
わたしはグッとこなかったのである…。
市民と職員さんの熱の違い
一通り、職員さんからの計画に対する説明が終わると、
参加者との意見交流の時間になった。
といっても、参加者が少なかったため、
司会者の方から“お一人一言ずつ”という提案があり、
順番に意見を述べていくかたちになった。
平日の夜、寒波到来で道路もツルッツルの中、
出向いて来られた方々。
やはり想いをもった、熱い方が多い印象を受けた。
ある方は、
市民の楽しみであるグランドフェスタ(地域の運動会)や
地域の文化祭はぜひ今後も続けていけるよう、
公民館の予算は減らさないでほしい、と。
またある方は、
重点項目の一つ「産業振興、移住定住の推進」について
具体的にはどういうかたちで進めていくのかについて、
またある方は、
総合計画の前の目標「佐渡市将来ビジョン」策定にあたり、
地域ごとの目標をつくれと言われつくったがその後音沙汰なし。
総合計画でも地域ごとの目標はつくることになるのか、
また、計画に「農業の振興」とあるが、
具体的にはどういう方向性で力を入れていくのか。
そしてわたしの番…。
わたしは、10年という短い時間の中で、
これから佐渡は何にいちばん力を入れ、どこにいちばん熱を込め、
具体的にどうそれを実行していくのかが見えない。
結局、まんべんなく広い目標で、
どれも中途半端なまま10年だけが過ぎいていった
そういう未来は避けたい、
そんな偉そうなことをまとまらないまま、だらだらと喋ったように思う。
(穴があったら入りたい心境)
これら熱い参加者の意見に対する
職員さんの回答が個人的には残念だった。
「こちらはすでに決まっているので、新たに追加することは難しいかと…」
「貴重なご意見として持ち帰らせていただきます」
「パブリックコメントとして提出させてもらいます」
「具体的な取り組みに関しては、別の◯◯にてまとめております」
「そちらも別の◯◯にてまとめている段階なので、そちらでご確認を…」
別の◯◯ってなんなんだ?
資料やパンフレット、施策のようなものばかりが増え、
結局大事なことが散らばり見えなくなってしまわないだろうか?
そもそもこの「佐渡市総合計画」自体が
市の最上位計画であるならば、
この計画の中に“具体的に市民はどうすればいいのか”が
丸分かりになっている必要があるんじゃないかい、と。
時間がオーバーしてはいけないと閉会を急ぐ司会者の方に、
「最後一つだけ言わせてくれ」と手を挙げた方がいた。
その方は、
「市民がほしいのは、自分たちは何をしたらいいのかという
具体的なものなんだ。
その具体的なものをわかるようにしてほしい」
みたいなことを話してくれた。
わたしは「そう!そう!それなんだ!それが知りたいんだ!」
という気持ちをなんとか届けたいと、
その方の背後で猛烈にうなずくことでアピールしたのだった。
佐渡市の人口推移
上の意見と合わせて、佐渡市の人口動態についても
質問させてもらった。
「総合計画の到達地点、2033年の佐渡の人口はどうなっているのか?」
それに対する佐渡市の方の回答がこちら。
(ちなみに2021年末段階でおよそ51000人ちょい)
2030年の段階で約42000人
2060年の段階では約25000人くらい(肝心なところの記憶が曖昧…)
そこをなんとか33000人くらいで維持したい
というところを目指しているのだそう。
毎年1000人ずつ減っていると言われている佐渡の人口。
40年後には現在の半分になるとすると…
この美しく大好きな島を繋げていくためには、
想いをもった人のパワーが圧倒的に必要な気がした。
そういった人をどう育てていくのか。
どう集めていくのか。
それがすごく大事な気がする。
絵に描いた餅(目標)じゃ意味がない
たぶん職員の方の仕事は、目標をつくることなんだと思う。
その目標をどう実現し、達成するかということよりも
(そこももちろん重要視されてはいると思うけど)
誰からも批判を受けにくい、見た目整っていてツッコミどころのない、
きれいな文言をいかに配置するかが大事というか…。
でも、絵に描いた餅(目標)じゃ何の意味もない。
先ほどの参加者の方の言葉に戻るけれど、
市民が望んでいるのはきれいな目標ではなく、
具体的なものだったり、熱い想いだったりするんじゃないだろうか。
なんだか、家に帰りもんもんと考えをぐるぐるさせていたら、
学校に勤めていた頃のことをふと思い出した。
先生時代、
ありとあらゆるところで目標や目的、ねらいを求められ、
それを考えることに多くの時間を費やした。
文言を一言一句吟味していき、
それはそれは大層な目標に仕上がっていくのだけれど、
目標が美しくなればなるほど、実際の子供とはかけ離れていく
のではないか、そんな気分になることがあった。
実際問題、大人たちが勝手に掲げて満足している目標に
子供たちは賛成するのだろうか?
自分たちはそうなりたいと思うだろうか?
何だか長い時間をかけて一生懸命作成してくれた計画に対して、
やんややんやと茶々ばかり入れるような文章になってしまった。
こちらの総合計画に関しては、
2022年2月9日までパブリックコメントを受付ているとのこと。
意見交流会にはなかなか参加できないけど、
想いを届けたい、そんな方はぜひあなたのその声を届けてほしいなと思う。
計画に、声や想いや熱意が注入されていくことで、
計画に魂や命が宿り、生き生きしてくるんじゃないか?
(なんてことを思ったり)