先祖を大切にする精神浸透
徳島新聞 読者の手紙 2022/04/06掲載
【反響】
3月29日付本欄「自殺率低い旧海部町に注目」を見ました。私は旧海部地区の漁師町出身です。
生まれ育った私が、他の地域との違いを感じていることがあります。それは「先祖大切」の精神が住民に浸透していることです。漁師町の墓は、色とりどりの花が供えられ掃除も欠かしません。近所の方が次々にお参りに来られるので、墓地の寂しさを感じない明るい場所です。
入り口の六地蔵には、地域の方が前掛けを手作りし、きれいにまつられています。私は小さい頃、御霊供膳を母から習ったり、津波が来たら位牌を持って逃げろと教わったりと、先祖を大切にする精神を受け継いで来ました。船乗りだった祖父は遭難事故に遭い短命で、祖母は女手一つで苦労しながらの子育てだったと聞きました。
先祖に感謝の気持ちを持ち命のつながりを感じながら生きるということは、自分の命を守ることにつながるのではないかと思っています。私は、その精神を代々受け継いでいくことが重要だと思っています。
子育て中の今、「まんまんちゃん」という幼児語を使いながら、子どもが赤ちゃんの頃から墓参りや仏壇に手を合わせることを教えています。楽しそうにお輪を鳴らす子らを、ご先祖様は微笑ましく見守ってくれていると思います。