転勤妻の"あるある"が凝縮!転勤のたびに読み返したい一冊
「旦那さんの駐在でベトナムに暮らしている友人がいるんです。ご紹介してもいいですか?」前職の同僚から、そう連絡をもらったのは、確か私が夫の駐在でタイに来たばかりの時期だったと思います。私は当時、前職を泣く泣く辞めてタイに来て、これから何をすればいいのかもよくわからず、手あたり次第にプロボノ活動をしていました。
そうして出会ったのが、きのこさん。彼女も、私と同じように転勤にまつわるキャリアの悩みを抱えてベトナムに帯同されたのですが、さまざまな試行錯誤を経て、駐在妻のためのキャリアコミュニティを立ち上げたり、コーチングの活動をしたりと、とてもパワフルに行動を起こしていました。
「私もこの先絶対に、タイで"心から熱中できること"を見つけよう」きのこさんとの出会いは、私をそんな気持ちにさせてくれたのです。
そんな彼女が、コミュニティーメンバーと一緒に、なんと一冊の本を制作しました。その名も「転勤妻サポートBOOK」。クラウドファンディングで微力ながら支援させていただいた私は、すでに前頁を読破しました!(2024年2月28日発売)
そこで、本記事では勝手に同書のレビューを書いてみたいと思います。私はきのこさんの活動や、「転勤妻が人生を楽しめる本を作りたい」といったコミュニティの皆さんの想いに心から賛同しているため、個人的に、自主的に、執筆しました。(これはPR記事になるんでしょうか?誰か教えてください。笑)
転勤妻サポートBOOKとは
転勤族のキャリア・人間関係・お金・住まいなど、あらゆる悩みを解決する、これまでありそうでなかった”転勤妻のための”一冊です。特徴は、実際にこれまで転勤を経験してきた方々のリアルな声が多数収録されていること。「こんな人もいるのか!」「そういった捉え方もできるのか!」「私もそうだったー!」「これをしておくと、転勤後に楽なのか!」など、特に一度でも転勤を経験したことがある人は共感や学びが多く、とても楽しく読めるのではないかと思います。
「転勤妻になって後悔する女性よりも、転勤生活を心から楽しめる女性を増やしたい」この本にはそんな想いが込められているのです。
一番興味をもって読んだのは「第一章 仕事・学び」
私は夫のタイ駐在が決まった後、なんとかして仕事を継続したかったけれど難しく、退職の道を選ばざるを得ませんでした。タイに来てからも、悩んだのは「言葉」でもなく「子育て」でもなく「異国の文化」でもなく、ほぼキャリアのことだけでした。
2人を出産し、やっと下の子も大きくなって、これから思いっきり働こう!と思って頑張っていた矢先の退職。もう「悔しい」以外の表現はなかったですね。
だからこそ、この第一章は個人的にもとても楽しみにしていました。この章を読んで、感じたことは主に次の2点です。
①「辞めて帯同」「辞めないで単身赴任」の2択だけではない
転勤が決まった時、自分は仕事を辞めて付いていく?それとも辞めずに、夫に単身赴任をしてもらう?
特に初めての転勤では、どうしても「この2択から選ばなければ」と思ってしまいがちです。でも、実はそうではありません。同書でも紹介されていますが、特に今の時代、いろんな働き方があるんですね。
多くの選択肢を知っておくことは、自分のキャリアだけでなくメンタルを守るためにも大切です。今現在仕事をしている人だけではなく、今後働く予定のある方にもぜひ読んでおいてほしいパート。「転勤妻って制限ばっかり!なんで自分で選べないの!」なんて思い込んでしまっている人も、「実は知らないだけで選択肢はこんなにある」と気付くことができれば、逆に楽しくキャリアについて考えることができるかもしれません。
②自己理解の必要性、ちゃんと知っておこう
ただ、色んな働き方があるとは言え、転勤を機にキャリアについて見直すことになる人がやっぱり多いと思います。私もタイに来て、最終的に現地採用の道を選んだけれど、すんなりその結論に辿り着いたわけではありません。「なぜそこまでして仕事がしたいのか?」「なぜプロボノではだめなのか?」「一番自分が大切にしたい価値観は何なのか?」そうやって自分のことを理解しようと努力し、言語化していく作業が必要でした。
同書では自己理解のやりかたを細かく説明してくれています。私は今まで自己流でやってきてしまいましたが、おすすめのステップを知ることができたので、今後のキャリアの棚卸し等で活用させていただこうと思っています。
自己理解から派生して、適職の見つけ方やスキルアップのための学習方法まで、わかりやすく説明してくれている点も「何がやりたいかわからない」と悩む人にとっては嬉しいポイントではないでしょうか。
転勤妻75人のアンケート調査結果が興味深い
同書では他にも、新しい土地での友達作りなどの人間関係、先の見えない転勤族におすすめのライフプランの立て方、引っ越しの段取りや転勤族ならではのインテリア情報など、まさに「転勤のたびに読み返したい」と思うような情報が満載。
そして個人的には、kinocomが独自で実施した、転勤妻75人のアンケート調査結果がとても興味深いと思っています。
「はい」「いいえ」などの選択式ではなく記述式の項目が多い中、本当にバリエーションに富んだ回答が何十個も並んでいるんです。自分がアンケートに答える時の心情を思い出して欲しいのですが、特に記述式の項目は「面倒」「特に思いつかない」などの理由から、空欄で終わらせてしまうことも多いと思います。逆に、一生懸命記述式の回答を書いている時って、心から「この調査結果を求める人の役に立ちたい」と思っている時なのではないでしょうか。
そうした”熱量”のある回答がズラリと並ぶ、巻末のアンケート調査結果は見応えたっぷりです。まるで駐在妻の座談会に参加したような気持ちになれます。
転勤妻が孤独を感じるひとつの要因は「仲間と思える人が近くにいないこと」だと思っています。「こんな風にモヤモヤしているのは私だけなんじゃないか」「他の人たちのSNSは楽しそうな投稿ばかりなのに、なんで私は楽しめないのだろう」そんな風にネガティブ思考に陥ってしまうことは、本人にとっても家族にとっても、一番避けたいもの。そういった観点からも「悩んでいるのは私だけじゃない」と思える同書の価値は非常に大きいと考えています。
さいごに
実は先日、きのこさんと再びお話しする機会がありました。
常々「今いる場所でしかできないことに挑戦したい」と思っている私たちですが、異国の地で夫のサポートや子育てをしながら、新しい挑戦をするのは容易ではありません。不安要素をひとつずつ潰していって、やっと一歩を踏み出せるのです。「来月から転勤だよ」と言い渡されて赴任する夫とは、異なる意味での大変さがあります。
でも、大切なのは「とりあえずやってみよう」と気負わずにスタートしてみること。新しいことを始めても「やっぱり無理だな」「ちょっと違ったな」と思えば、軌道修正すればよいのです。「とりあえずやってみよう」の積み重ねが、きっと転勤生活をHappyなものにしてくれる!私はそう信じています。