ドラマ「わたしの宝物」1〜3話までの感想
秋ドラマ「わたしの宝物」が面白い。めちゃくちゃ楽しく拝見している。でも実は、ちょっと困っている。いや、困ってはいないな。ちょっと困惑している。私は、放送が3話まで進んだ現在、まだどんなスタンスで視聴したら良いのかを決めかねている。このドラマは果たして、シリアスな作品として観た方が良いのか、それともツッコミありきのトンチキドラマとして楽しんだ方が良いのか。ねぇどっち??
【以下、ネタバレ含みます】
事前情報では…主人公 美羽はモラハラ夫 宏樹とのツラい日々の中で、幼馴染 冬月と再会する。そして初恋相手でもあった冬月に強く惹かれてしまい、関係を持ち、彼の子供を身籠る。ところが冬月は仕事先のアフリカでテロに巻き込まれて死亡(でも誤報)。本当の父親である冬月が亡くなった(だから誤報)ので、子供は夫の宏樹の子供として育てる托卵ストーリー…だと聞いていた。
第1話は 確かにそんな感じで進んだ。宏樹のモラハラは震え上がるほど怖かったし、冬月はお茶目な爽やか好青年だった。美羽が、宏樹とはもう無理!!となって、冬月に気持ちが移った経緯は呑み込めた。ちょっと妊娠までの展開が早いとは思ったが、肝心の物語の軸となる托卵ストーリーをスタートさせるには、このスピード感は必要だったのだろうと思った。
この時点では、これは令和の悲劇のヒロイン物語なのかな?とちょっと身構えていた。籠の中の鳥である主人公を 素敵な王子さまが救い出してくれて〜の古典プリンセス系の筋書きなのかな?と。冷静に考えて、不倫も托卵も相当に罪深い。やってはいけない。そりゃダメですよ。しかし1話では、そんな罪悪感なんかよりも、宏樹の強いモラハラと 冬月くんの爽やかパワーで、ほど良い具合の目眩しを喰らわされ、不倫はさておき美羽に同情するわ〜くらいの気持ちにすらさせられたのだ。
こういった連続ドラマのフィールドは自由である。シリアスなテーマでも、はちゃめちゃ爆笑コメディでも、社会派の切り込んだ内容でも、うっとりするような純愛物でも、奇想天外のファンタジーでも、ドラマのタイプの可能性は無限大だと思う。2024年この秋、プリンセス脳の不倫托卵ドラマがあったとしても別に良いじゃないさ、と思っていた。そのさまをガッツリ魅せて欲しいとも思った。
しかし、第2話で風向きが変わってきたのだ。2話では宏樹がなぜモラハラになったのか、その背景が丁寧に描かれた。会社ではパワハラ上司と性悪の部下の板挟みで大変な宏樹。ストレスで過呼吸になっちゃってツラいときに、美羽からもらった宝物のタオルハンカチをぎゅっと握りしめて耐えちゃう宏樹。美羽の母親のとんでもない高額な医療費を毎月支払っている宏樹。子供ができたと聞いて、自分は妻子を傷つけてしまうのではないかと不安になって空回りして自らATMオンリー宣言をしてしまう宏樹。でも赤ちゃんが生まれたら感動しすぎて大号泣しちゃう宏樹。1話では視聴者を震え上がらせ、最低モラハラ野郎と認定された宏樹に、ものの1時間ですっかり私たちは絆されてしまった。宏樹、とりあえず一刻も早くメンクリ行ってよ!!って皆んなが感じたと思う。あんまり無理しないでよ!!って。
一方、王子様ポジのはずのアフリカの冬月はというと、正直よく分からなかった。1話でテロに巻き込まれて死亡したという情報はあったけれど、視聴者全員が彼は100%生きていると確信していたので生存情報に驚きはゼロだったし、同僚の下原くんとの一時的な取り違えも、なんだかヌルッと進んだ。引っ掻き回し要員であろう莉紗の動きもよくわからなかった。
第3話は、さらに宏樹劇場が加速したように感じた。冒頭こそ、冷たい夫の気配も残していたが、母子の退院の日は仕事を早退して迎えに来てくれるし、寝室を分ける宣言もしていたにも関わらず 実際にはベビーベッドは寝室に移してるし、家も綺麗に掃除しておいてくれているし、子供の名前もめちゃくちゃ一生懸命に考えてくれるし、お宮参りには車椅子の美羽のお母さんをサプライズで連れて来てくれるし、夜泣き対応も交代してくれるし、赤ちゃんを はちゃめちゃに溺愛しているし、何よりもあんなに泣きそうな顔で真摯にこれまでの態度を謝ってくれて、もうなんなの!!宏樹!!美羽が許さなくても、もう私は宏樹を許す!!!となった。
一方で冬月くんはというと、アフリカから帰国したが、彼のさっぱりとした爽やかさは顕在だった。それは異国でテロに巻き込まれ、一時は生死の堺を彷徨った人なのに、あんなに変わらないのは、もしかしたら、冬月くんはとても大物なのかもしれない。同僚の下原くんの死についても、まるで悟りをひらいているかのようなポジティブな凪の空気を感じた。3話のラスト、これは絶対にあの思い出の図書館で再会するよね!!と思ったら、そのまんまドンズバッと再会したので、そこはもはや爽快だった。ハグも爽やかな風のようだった。
今、冬月くんがとても気になっている。3話の時点で、スーパーパパ 略して スパパパ に転生してしまった宏樹を相手に、この爽やかな凪の感情を装備したニュータイプ王子 冬月くんは、どう戦って行くのか。これから2人が対峙する事とかあるのかしら??あるわよね!!??気になってる!!!!
正直、このドラマは1〜3話までとても速足で駆け抜けて行った印象だ。再会から妊娠も早かったけれど、妊娠から出産もとても早かった。アフリカでの悲報からの帰国再会もすごく早かった。そこに視聴者を焦らす意図は全く感じられなかった。生き急ぐこのドラマには、この先にもっととんでもないストーリーが待ち受けているのでは無いかと、俄然、期待が高まっている。そういうの嫌いじゃないです。
第1話をみて、単なる令和のプリンセス脳不倫托卵物語だと思っていた自分に張り手をくらわせたい。ここからは、情緒不安定からの華麗なるスパパパ転生をした娘ちゃん溺愛の宏樹が、本当のことを知ったらどうなっちゃうの??というのと、ポジティブ爽やかな冬月はいったいどうやって、どういう状況で美羽たちの間に食い込んで行くのか??が、見ものになってくると思っている。がんばれ!!!!両方!!!!ファイッッッ!!!知らんけど。
さてここまで、主人公の美羽に関してほとんど言及してこなかったが、美羽にも、もちろん頑張って欲しい。宏樹と冬月という種類の違うメンズに挟まれていて、ここまでイマイチ個性を主張しきれていない感じがしているが、美羽はもっとやれるはずだ。「そして私は悪女になった」とキャッチフレーズにあるのが、まだ私たちはその真の悪女ぶりをしっかり実感させて貰っていない。きっと出てくるよね??見せて欲しい。美羽劇場の開幕を私は待っているのだ。
ところで、このnoteの冒頭で書いた私の問いだが、ここまで書いているうちに少し気持ちの整理が出来てきた。私はこの先、このドラマを突っ込みながら見ていくと思う。美羽と冬月の純愛を信じるには、私はちょっと心が擦れすぎている。ごめんな。
さて!!明日はいよいよ第4話の放送ですね。とてもとても楽しみです!!!
まだ見ていない人、1話だけみてお休みしていた人、私と同じく3話までじっくり楽しんできた人、みんな一緒に楽しみましょう。托卵の本番はこれからです!!!!!