ロケハンとWaar TV番組@Amed
今日はAzadの提案で、クリップの撮影場所候補へ行ってみることに。ロケハンだ。
グランドピアノが必要なのだが、この地ではグランドピアノはとても希少だ。
日本だとどこにでもグランドピアノがある。普及度合いで言うと、こちらのサズかダフには及ばないだろうが。
訪れたそこは、とても心地よいガーデンカフェ。
コーヒーを飲み、ワインを飲み、チャイを飲みながら、「こんな風な演出にしよう」と話し合う。
3時間も話しただろうか、是が非でも実現させたい。
ラビリンスのようなAmedの旧市街を3人でぐるぐる歩き回る。この街で生まれ育ったアザドがいろいろ説明してくれるので、1人で歩き回っているよりもずっと楽しい。
その辺にいる人を指して
「あれが、空腹すぎてバカ喰いしているクルドの母だよ」
「あれが、この服買おうかしら?と考えているクルドの母だよ」
「あれが、馬車馬の如く働くクルドの母だよ」
といじったり
泣いている子供がいると、
「あの子は、”僕たちには自分の国がない”って泣いているクルドの子供だよ」
といじったり、自虐気味なネタも挟んでくる。
しばらく一緒に過ごして、今日は解散。
さて夜はWaar TVというメディアの番組にゲスト出演する。
朝方、ゲルナスから電話でオファーがあった。先日のRudaw出演で芯から疲れ切ってきたので、それを伝える。
「ゲルナス、番組出演はもう疲れたから出たくない」
ゲルナスは笑って「わかったよ」と言う。
ところがその後、上席のメヘディが電話してきた。まだ会ったことがない人だが、彼は数多のスターの番組を作っているのでもちろん知っていた。
その彼がものすごく言葉を尽くして「どうかどうか、私の番組に出てほしい!」と乞うてくる。なかなか手練のネゴシエイターだ。
一旦考える、ということにしたが、彼はセルダルにまで電話して、「エリカに出るようにどうか説得してくれ」と言ったという。すごい囲い込みだ。
彼がそこまで言うなら、と、翻意し、出ることにした。
夜10時、指定された場所に行く。
これまで何度も観てきたメヘディの番組のその現場は、めちゃくちゃプロフェッショナルな感じの現場。カメラマン、照明、音声、大きなチームだ。
到着すると、メヘディがとても丁寧に温かく迎えてくれた。
「来てくれて本当にありがとう。とても嬉しい!」
先日のRudawのテレビマンとは全然違う。
番組で歌う曲を決め、軽くリハをやって、撮影スタート。私の他、2人のゲストがいて、トークと音楽を織り交ぜて進んでいく。
「エリカ、みんな家族みたいなメンバーだし、固い番組じゃなくて、カジュアルな感じだから、緊張せず、リラックスしてね」
と、言葉をかけてくれる。
メヘディの進行がとても丁寧でスムーズだったので、滞りなく進められた。歌も決して上手くはないが、メヘディのサズ演奏に合わせて楽しく歌えた。
2時間ほど収録して、深夜0時すぎに撮影終了。
メヘディが改めて丁寧にお礼の言葉をかけてくれて、ゲルナスがタクシーで送ってくれて帰宅。
出来栄えは完成してみてだが、楽しかったので出演して良かった。