Şivan Perwerコンサート@シュトゥットガルト
朝ゴロゴロしていると、
「おはようエリカ、こっちへおいで、一緒に朝ごはん食べよう」
Şivan Perwerから電話をもらう。
私のホテルからみんながいるホテルまでは3kmほど離れている。
急いでシャワーして化粧して準備してフロントまで降りていくと、マネージャー的な人が迎えに来てくれていた。
「Şivan先生から”明日絶対エリカを迎えに行くのを忘れないでくれ”って100回言われたよ」
なんて言ってくれる。
Şivanのホテルへ行き、Şivan、マネージャー、Hemrînという女性歌手、私の4人で朝食とる。
数日前に、「”Kurdistanê Kurdistan”をHemrînと2人で歌ってくれ」とŞivanから言われていたので、飛行機の中からずっと練習していた。ステージの上で歌詞を見ないで歌えるように、歌詞も全部記憶して歌い込む。
この歌は歴史上の人物なんかも出てきて、全体的に歌詞が重いのでとても覚えづらいし、なんと5番まであって長いのだ。
朝食時に、「えりかはCanê Canêも歌うんだよ」と言われる。これは完全に覚えているし、持ち歌と化しているので歌えるのがとても嬉しい!
朝ごはんを終えて一旦ホテルまで送ってもらい、本番までにKurdistanê Kurdistanを固めようと、3時間くらい、受験勉強さながら歌詞を覚えることに集中した。
さぁコンサート会場へ行こうと、またマネージャーのデリルが迎えにきてくれて、みんなで向かう。
バンドの人たちが到着していたので、挨拶がてら「今日のレパートリーはどんな感じですか?」と尋ねてみたら、「わかんないな」と言われる。
Şivanのバックをずっとやっている人たちだから、何がきてもいけるんだな。めちゃかっこいい。
「どのタイミングで私は歌うのかなぁ」と思いながらバックでうろうろしていると、開演の時間が近づいてきて、「エリカとHemrînはあそこに座って」と、ステージ上の椅子を指示される。
え!2曲しか歌わないのにずっとステージにいるの!
何もしない人がステージにいるのはだいぶ変だと思ったが、大将の指示なので大人しく座る。にしても空調が全然効いてなくてめちゃくちゃ暑い。ミュージシャンも全員汗だくだ。
Şivanのパフォーマンスはやはり圧巻。観客は終始熱狂していた。
Canê Canêもとても良い感じで歌えたのだが、なんと、Şivanが”Kurdistanê Kurdistan”の存在を完全に忘れ、熱狂のうちにコンサートをフィニッシュさせてしまったのだ。
この曲に10時間は注いだのに!!
かなりショッキングだったが、歌を覚えることに無駄なことなんてないから、ね。と言い聞かせる。
でもショックショック大ショック!!
そして、それ以上の悲劇はその直後に起こった。
熱狂した観客が押し寄せステージに上がってきて、Şivanを取り囲んでしまったのだ。
何人かの関係者が即護衛して、Şivanはなんとか楽屋へ戻れたのだが、楽屋前まで人々がなだれこんでしまい、完全なるカオス!
どさくさに紛れて私も写真をバシバシ撮られそうになったので、人垣をぬってなんとか楽屋へ逃げ込んだ。
そこから結局Şivanは写真撮影に応じ、日本公演の時のように1時間半ほど拘束されていた。
スターは本当に大変だ。