重い辞書@イスタンブール
カラキョイのSala Musicで、承っていたBijan Kamkarのダフ教則本をゲット。
店番をしていたOmarさんは、ウード職人であり奏者でもあるとのことで、
「君のために弾いてあげよう」と、ウードを奏でてくれた。
これがまた大変美しい音色で、どこか別の世界へ一瞬にして連れていってくれた。
突然こんなに素敵な演奏に出くわすなんて、ついてるなぁ。
Şivan Perwerコンサートの時に一緒に来日していた音楽プロデューサーのHakan Akayさんが久しぶりに電話をかけてきてくれた。
「エリカ、元気にしてる?」
「ハカン先生、3日前にイスタンブールに来ました。5月12日にはパリのŞivan先生のコンサートに行きますよ!」
「あ〜、、、そのコンサート、施設の設備不良で延期になってしまったんだよ」
えーーーーーーー!!!!!!!
悲報に次ぐ悲報
去年もこういうことが度々あったのだけれど、コンサートの延期・キャンセルが本当に頻繁にある。
だから、事前に予定を立てて、飛行機のチケットを取ったり宿泊施設を予約したり、という手配は必要な遠方の人は基本的に行かない方がいい。
近所にやってくる興行を楽しむのが最適解だ。
というわけなので、明日からドイツ・ニュルンベルクに渡り、友人のところでお世話になる。
11日には歌の師匠であり大切な友人であるアリ・テクバシュのコンサートへ行く。
今のところ不穏が動きがない、けれど、何の動きもない(アリ自身も全く告知していない)ので、催行されることを祈るしかない。
そんなハプニングに降られつつ、ワッカス先生(クルド語の先生)へのお土産を探そうと、本屋「Medya Kitabevi」へ向かう。
クルド語で書かれた書籍を多く扱う書店だ。
「最近出版された小説はありますか?」と尋ねていると、
「あれ?エリカやんな?」奥の方から声が飛んできた。
「はて、誰やったかな」と思っていると、「国際母語デーの時にインタビューしたErcanやで」。
オンラインで取材を受けたジャーナリストだった。なんという偶然!
クルドの出版業界についての取材のために来ているという。直では初お目見え。
「これとこれ、最近出たやつやで」サクッと出してきてくれた。
「ありがとう。クルド語の先生へのお土産やねん」
「ワッカス先生?」
「そうそう」
話が通じすぎて怖い。なんで全員が全員と知り合いなん?
そこにもう1人、お客さんが入ってきた。
「日本人のエリカやんな?SNSでフォローしてるで。」と言われる。
彼はエラズー出身で、イスタンブールで弁護士をしているという。
「嬉しいな!ぜひ本をプレゼントさせてくれ!」
彼がプレゼントしてくれたのは、「クルマンジー↔︎ザザ」の辞書。特大サイズの辞書!
「僕は父親がクルマンジー、母親がザザを話す。クルマンジーとザザは違う言語、っていう人も多いけど、実際はものすごく近い。同じ言語の方言やもん。この辞書で、ザザも勉強してほしい。二つの言葉が、別の言語じゃないってことをわかってほしい」
大きな想いのこもった、大きな贈り物。ありがたい!!重い!!物理的に!
ザザの歌も歌うけれど、意味を調べるのにも苦労していたので、この辞書を大いに活用させてもらおうと思う。
しかし、デカくて重い!帰るまでFatihん家で寝かせておく。
ユクセコヴァ出身のオーナーSametが営むバー、micasaへ、挨拶がてら一杯、とおもいたち足を向けてみる。
残念ながらSametは不在で、でも一杯はいただく。後で連絡してみたところ、9月まではエルビルにいるとのこと。
カールスバーグ一杯で謎に酔ってしまったので、ベシクタシュにあるFatihのバーまで酔い覚ましがてら歩いていく。
ベシクタシュに限らずだけれども、繁華街のバーはどこもかしこも毎日めちゃくちゃ混んでいる。相変わらずFatihのバーも大盛況で、ほぼ満席。
ビールとサラダをいただきながらこれを書いている。
明らかにものすごく忙しいのに、Fatihはたびたびこちらに来て話しかけてくれる。優しくていい子だ。お父さんとお母さんは上手に育てたわ。
同僚に「オレのおかんやで」といちいち紹介してくれる。お邪魔してます、おかんです。
ライブのパートとダンスのパートが設けられていて、ダンスの時間になると若い女子がみんな立ち上がって楽しそうに踊り出す。誰がどう見ても若くて美しい。若さと美しさが溢れて飛び散っていた。いいなぁ、と単純に羨ましくなった。
てかぱき働く息子の姿を見届けて一足お先に帰宅。
明日はニュルンベルクに飛ぶ!