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【観劇感想】アマヤドリ「人形の家」|わたしは人間であるということ


引用元:アマヤドリ公式


1879年生まれだってことが最大の衝撃

恥ずかしながら未読の状態で挑んだ本作。何度も何度も繰り返される夫婦の会話は、まったく何故だか現代まで続いている会話そのもので面食らってしまった。
やだ、わたしたちって何も変わっていないのかしら。

ノラの言葉も思いも空を切るばかりで目の前のヘルメルには届かない。
夫は優秀で子どもは3人いて信頼できる乳母もいる。
なにがそんなに不満だというのか。ヘルメルには本気でわからないんだろう。

「君は妻であり母だ」

きっとわたしたちが思う以上にわたしたちはこの言葉に蝕まれてるんだ。妻も母も所詮は状態を指す言葉でその内実は問わないというのに。
そんな確信をどんどん深める会話と演出の渦の中にふと自分の人生を想ったり。「普通は、」という普通の中に女性はどれほど含まれてきたんだろう。

ただ今も昔も変わらない女の生きにくさがある一方で、男にだって密やかな生き辛さがある。立派であれという勝手なルールに彼等はどれほど傷付いてきたんだろう。わたしは昨今男性こそ自身の傷を無視している気がしてならない。ちょっと迷子になりそうだから話は一旦戻すけれど。


最も素晴らしい奇跡を目指してわたしたちは今日も他人と生きる。他人にああだこうだと感想を言いながら自分の価値観に疑念を抱く。

最後にようやく開いたドアに今までずっと家にいたって気付いてなんだかちょっぴり武者震いがした。

頑張れ、ノラ
頑張れ、わたしたち

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