見出し画像

ポイズンドーター・ホーリーマザー

本を読むのが好きだ。2週に1回、図書館で本を2冊借りて大体出勤時に電車で読む。ちびちび読むから返却日ギリギリまで読んでまた新しい本を借りるの繰り返し。今年の夏は西加奈子さんにはまり、図書館にある本(有名なタイトルは殆ど読んでないけど)を片っ端から読んだ。

そして、今回借りた湊かなえ薯の「ポイズンドーター・ホーリーマザー」。印象に残りすぎたので、細かく感想を残そうと思った。

まずはこの作品は短編集なので、小作品ごとの感想。

マイディアレスト

主人公と妹との関係性、年齢差や妹が妊婦、主人公である姉は独身で40歳という設定が我が家と同じで他人事ではなかった。うちは妹が出産後での特別扱いが気になったので、そこからも引き込まれて、結末にびっくり。あと湊かなえ作品はスーパーサンライズがよく出てくる。

ベストフレンド

大豆生田薫子、という人物に大豆田とわ子を連想させてわくわくしていたら、物語に引き込まれてとわ子どころではなかった。主人公の目線で物語に没入していったので、ラストでのどんでん返しに誰を信じたらいいのかしばらく心を揺さぶられた。

罪深き女

当事者は真剣に思っているのに相手にとっては大した関心事でなかったりすることもあるなあと。あと、親が変に厳しくすると思惑と逆になることもある。そのズレって難しいなって思う作品。

優しい人

私が気になって作品にした米津玄師の曲と同じシンプルなタイトル。やっぱり優しい人ってなんだろうって思う。周囲に優しいと言われて育った明日実の心情にしんどくなった。また、明日実の優しい人エピソードの中に私が苦手な描写が長々と描かれる。この描写を美談として扱おうとする学校の先生に疑問だ。私だったらこの段階で優しい人から脱する。事実はうまくねじ曲げられて伝わっていくんだなって強く思った。人が怖い。

ポイズンドーター

弓香目線からの友達(理穂)、母親に対する思い。

ホーリーマザー

理穂目線からの弓香、弓香の母親、理穂の義母などへの思い。最初は弓香目線で読んでいたからなぜポイズンはドーターなのかと思っていたけれど、目線を変えれば毒親は娘想いの母親であり、毒親に支配されていると悩む娘は毒娘になる。なんだか後味よくなく終わって、最後の清水友佳子さんの解説で救われた。

どの話も、フィクションもノンフィクションも、一方から見ればその人に感情移入してしまってその人の目線で物事を考えがち。しかし、立場を変えて見ると、また違った角度から見えてくるものがある。

そんなことに気が付き、絡まった感情の難しさを感じ、登場人物を愛おしくも憎たらしくも感じる。

ちなみに、私は図書館から本を借りる際、大体フィーリングで選ぶが、読んでいくうちに今必要だった本と感じることが多い(素直に受け取りすぎか?)。今回に至っては、ベストフレンドを読んだあたりから心が荒んできて、今じゃなかった感を感じたけれど、こうやってnoteに感想を書いているあたり、やっぱり今必要だったのかもしれません。

追記

読んだ後に、ドラマ化されていたことを知りました。キャストを見て、ドラマも好きそうでした。清原果耶ちゃん主演の回には「純愛ディソナンス」に出ていた髙橋優斗くん、「ホーリーマザー」には山田杏奈ちゃん、最近活躍されている俳優さんも沢山出演されているので観てみたいです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?