前広に仕事を進め,今日は定時で帰宅して,テニスシューズでウォーキングは如何?
February 16, 2022
2月も中旬になり,天気予報では雪マークがつく日もあるものの,テレビCMでは花粉対策。スーパーの売場には,ちぢみほうれん草のような冬野菜に並んで,新じゃが,新玉ねぎと,春野菜が並ぶようになりました。未だ寒い日はありますが,春の足音は着実に近づいています。
ところで、国や地方自治体が作成する文章は公用文と呼ばれ、書き方のルールが定められています。先月、「公用文作成の要領」が約70年ぶり(!)に見直され、文章中に「!」や「?」を使うことも可能になったのだとか。
中央省庁ではHPに掲載する文言にもガイドラインが定められていて、たとえば数字は1桁の場合には全角、2桁は半角といった細かい決まりも。(数字の記載方法については新しい要領では同一文書の中では半角か全角のいずれかに統一することに。)そのため、文科省では、文書作成時には「一太郎」(老舗のワープロソフト)の公用文チェック機能を使っていました。
役人言葉には、公用文のほかにも様々なお作法が。大臣の国会答弁や閣議後会見の想定問答の原稿は、文章を短くするためなのか、漢文風。たとえば、「日本の水際対策について今後の対応をどう考えるか」という質問であれば「我が国の水際対策について今後の対応の見解如何(いかが)」のような感じになります。
また、書き言葉だけでなく話し言葉でも耳慣れない言葉がいろいろ。「公電(※1)の電媒(※2)と原紙(※3)を保存」くらいはなんとなく想像がつきますが、「骨太(※4)のたまごめ(※5)で、頭の体操(※6)をするので打ち合わせ。時間はP(※7)でスケジュールに。」なんて言われた日には、牛乳とペンを持ちながらラジオ体操でも始めてしまいそうです。(ネイティブではないので例文がエセっぽかったらすみません)
民間企業でも、たとえば銀行では、「念のため」は「為念(ためねん)」、「ダブルチェック」は「再鑑」という独特の言い回しがあるのだとか。財閥による特徴もあるようで、三菱UFJ銀行の本学担当者との打ち合わせでは「前広(まえびろ)」がよく登場します。「前もって」の意味で、三菱系の会社でよく使われるようです。
英語でも、同じモノでも呼び名が変わることが。たとえば、モンタナ滞在中、スニーカーでハイキングをしていたところ、チューターだったマダムから、テニスシューズだと滑ることもあるから今度ハイキングシューズを買いにいこうと言われました。はいている靴はテニスシューズじゃないのになと思っていたら、どうやら、アメリカでは一部の州を除いて、スニーカーのことはすべて「テニスシューズ」というのだとか。(なぜテニスが運動の代表になっているのかは不明...)
大学でも、学生担当部署には「だるま」や「教務貼り」といった用語も馴染みがあるかもしれませんが、課や部をまたぐと同じ学内であっても異文化に。なんだか相手と話が通じていないな、と思ったら言葉を変えてみるとよいかもしれません。
さて、今日はノー残業デーです。「ノー残業」という言葉があるということは、残業がある日がデフォルトということ。残業がない日がふつうになり、「イエス残業デー」のほうが特別になるように、今日は早めに業務を切り上げましょう!
*答え(私調べ。)
(※1)公電:公用の電報。在外大使館等との公式な連絡は、電報で行われます。
(※2)電媒:電子媒体。紙媒体が主流なので、あえて電子が強調されるのかも。
(※3)原紙:オリジナル。複製可能なものも含まれるので、原本ではなくても原紙に。
(※4)骨太:骨太の方針。
(※5)たまごめ:ネタを施策に落とし込むこと。響きが物騒です。
(※6)頭の体操:頭の整理、シミュレーション。
(※7)P:調整中、仮、保留。Pendingの略のようです。
*公用文作成要領(令和4年1月11日)
https://www.bunka.go.jp/koho_hodo_oshirase/hodohappyo/93651301.html
最初の段落は旧・公用文作成要領風に書いてみました。新要領では、「売場」→「売り場」、「,」→「、」「未だ」→「いまだ」になるそうです。
*Sneakers vs Tennis shoes
https://ftw.usatoday.com/2017/07/sneakers-tennis-shoes-united-states-regional-dialect-what-do-you-call-them-poll
(写真:ハイキングが楽しいグレーシャー国立公園)