父の日に父を思い羽田空港へ
父のファーストキャリアは、ANAの飛行機整備士だった。
朝羽田空港に向かい、青と白のロゴを背負って、飛行機と向かいあう毎日だったらしい。
小さい頃から海外に連れて行ってもらう機会が多かったからか、飛行機を見ると、胸がおどる。「あの飛行機はどこに行くんだろう」と思いながら、見えなくなるまで見つめ続けるような子だった。
飛行機への愛はそんなもんじゃおさまらない。
大学の授業中、周りの友達がインスタやTwitterを見ている中、Flightradar24を見てリアルタイムで飛んでいる世界中の飛行機をトラッキングしていたのなんて金沢大学で絶対自分だけだったと思うし、好きなYoutuberは東海オンエアです、と友達が言う中、「東海オンエア?何それ美味しいの?」と思いながら、管制官とパイロットの無線通信音源を拾った動画を見て「うわ!今Good day!って言うた!!!かっこよ!!!」と胸を躍らせちゃう系女子大生だった。
今でも飛行機の音がすると空を見上げるし、見つけたら見えなくなるまで見つめ続ける。何がいいかはわからないが、あー飛行機っていいなぁと、毎回思わされている。飛行機大好き芸人養成所があったら入りたい。
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物心がついて、父の日には「パパありがとう、長生きしてね」と画用紙に似顔絵を描いて渡していた幼稚園時代。
小学校に入ると、似顔絵ではなく、ハンカチや傘、ひまわりをあげるようになったっけ。
中学校の記憶はあんまりないんだけど、高校生の頃には確か飛行機のプラモデルとか、(父が謎に好きだった)デルタ航空のグッズとかを買ってあげてたなぁ。
大学生になってからはすぐ近くに父がいないようになり、父の日にもLINEで「いつもありがとう!」と送るだけになっていった。
長生きできないことが分かってからは、「長生きしてね!」なんて軽々しく言えなくなって、去年はローソンで使える1,000円分のLINEギフトに「いつもありがとう!ローソンで好きなの買って!」とだけ書いて送ったな。
あれから一年が経って、お父さんがいない1回目の父の日がやって来た。
もともと自分が飛行機が大好きなのもあるんだけど、ありがとうと直接言えない代わりに、(父の日が今日であることを忘れていながらも、朝から「今日羽田行こうかなー」と思ったことも何かの縁かなと思いつつ)父の大好きだった空港にやって来た。
ANAの航空機見ると、今でこそいろいろ思う。
今まで飛行機を見ても、「お父さんあれを整備してたのか」と思うことなんてなかったし、何回羽田空港に来ても「ここで働いてたのかぁ」とか思うこともなかった。やっぱ人間って、状況が変わるとモノの見方もガラッと変わるなぁ。
飛行機って本当にいいなと思う。
その感情はまだ言葉にできないので言語化はしないけど、そんなわたしのことを、きっと父は空から「雨降りそうやで、はよ帰れやー」とか言いながら、笑って見ててくれてるんやろなあ。
あー空港って一生おれるなぁ。
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