"life"重視!見習いたいフィンランドのワークライフバランス
プライベートが充実していない人生なんて人生じゃない
フィンランド人は口を揃えてこう言います。もちろん私も同感、、、。だけど、日本で働いていると、実際は平日もプライベートを重視するってとても難しいですよね。
皆さんは1日何時間働いていますか?日本で働いていたら、1日10時間労働なんてよくありますよね。私もしょっちゅうです。新入社員の時は終電まで、、、とかよくやっていました。早く帰りたい、と思う気持ちもあるけれど、仕事終わらないし、明日にまわしたくないし・・・。仕事が楽しいっていうのも正直あります。だからついつい遅くまで働いてしまう。時短勤務と叫ばれている中でも、実際に定時勤務を徹底している人ってどのくらいいるのでしょうか?
フィンランド人の働き方
私は研修前から北欧の人たちのワークライフバランスにとても興味を持っていました。どのように実現しているのか?どうやったら日本の企業でも取り込めるのか?研修中にできる限りの人と会って、話を聞きました。(主に大学関係者)
ワークライフバランスのための制度は色々なものがありますが、今回は主に勤務時間や勤務形態について、取り入れていきたいフィンランドの例をご紹介しますね。
勤務時間
8〜16時というのが一般的な勤務時間です。(特に大学勤務の場合)もちろん、全国民がそうではなく、職種や役職によって異なります。サービス業の人は勤務時間が遅いこともありますし、どこの世界でもIT企業の場合はなかなか多忙で残業もあるようです。とはいえ、、、16時に仕事が終わる!日本じゃ考えられないですよね。きっと16時に終わってもそわそわしちゃう・・・。でも、これがフィンランドでは当たり前。退社後、家族や友人と過ごす時間も十分にありますし、スポーツや語学の勉強、趣味にあてる時間もしっかりあります。毎日リフレッシュできているから、平日働きすぎて、週末寝て過ごす、、、なんてこともまずフィンランド人には考えられないでしょう、笑 トップの写真は平日のタンペレの夕方。こうやって仕事終わりに集まって、家族や友人と川辺で過ごすのも彼らの日常です。
トゥルクのアウラ川沿いのレストラン。
トゥルクのアウラ川。フィンランドは夏が短いので思いっきり楽しみます。夜が長いので、みんな外で遅くまで過ごします。
Flexibility制度があるため、8〜10時までに出勤し、16〜18時までに退社すればいい、という風に設定している企業も多いそうです。それぞれの家庭の事情や希望により、その日によって出社時間を変更することもできるし、それぞれ都合に合わせて早めに出勤する人も遅めに出勤する人もいます。
基本的に残業はなく、みんな定時退社を徹底している印象です。もし、残業した場合は残業時間を、違う日の勤務時間に当てることができ、早く退社することができます。(例:月曜日に8〜18時まで働き、2時間多めに働いたので、水曜日は8時に出社し、14時に退社する、など。)個人的にこの制度、とても素晴らしいと思いました!
勤務時間を管理している会社もあれば、本人に任せている会社や大学もありました。ただ、一貫して、勤務時間の管理は基本的に本人に任せているところ。細かく上司に報告する必要はありません。また、勤務時間の調整や変更について、報告や申請の義務はありません。
リモートワーク
リモートワークも一般的に活用されています。自動車通勤の場合、自宅勤務だと運転しなくていいので環境にいいとむしろ推奨されています。(sustainabilityを重視している北欧ならではの考え方!)
リモートワークをする場合、基本的に自分の意思で決めることができます。事前に申請する必要などはなく、共有スケジュールにリモートワークと記載し、他のスタッフが分かるようにしておきます。上司には一本メールを送れば十分とのこと。対等な関係、信頼が構築されていることが分かります。
ミーティングがある場合は出社するけれど、それ以外、自分の業務をする場合は特に会社でも自宅でも変わらないので自宅からすることも多いというのが大学スタッフの話でした。複数のキャンパスを持っている大学はそもそもSkype meetingで会議が行われることが多いため、会議が入っている日であっても最近はリモートすることが多いと言っていました。
リモートワークが円滑にできるよう、全ての書類やデータはonline上で管理されているとのことでした。フレキシブルワークも推奨されているため、リモート&フレキシブルを活用し、仕事の合間に私的な業務をすることも問題ないし、周りに迷惑をかけず、しっかり自分の業務を行っていればいいわけだから何がいけないの?という様子でした。金曜は特に全日、もしくは半日リモートする人が多いそうで、午後にはあまりスタッフがいなくなるそうです。(金曜は週末!という感覚ですね!"TGIF - Thanks God, It's Friday!")
休暇
4週間夏休みを取るのは当たり前。旅行好きなフィンランド人は近郊のヨーロッパ諸国に旅行に行くことが多いそうです。国際結婚も一般的なのでお互いの家族に会いに行くことも。また多くのフィンランド人がsummer houseと呼ばれる別荘を湖や海のそばに持っています。夏はそこで過ごすことも多いそうです。(素敵・・・!)ただただ、summer houseのガーデニングをしたり、本を読んだり、サウナと湖に入ったり、バーベキューしたり・・・最高のリフレッシュですね。
また、男女ともにPh.Dを取得することも日本より一般的で、夏休みにThesisを仕上げる予定の人も会った人の中に多くいました。確かに、いくら平日の退社時間が早いとはいえ、仕事も家事も心配しなくていい!夏休みの方が集中できますね。
正規雇用の場合、4週間の夏休みに加え、もう1週間休暇が取れる企業もあるそうです。分けて取っても良いし、丸々一気に5週間休んでも良いそう。特に大学は夏の間は授業があまりないため休みを取りやすい環境が整っていますね。夏は首都のヘルシンキでも少し閑散としているそうです。
コーヒーブレイク
毎日9:30、14:00にコーヒーブレイクをとる人が多いとのこと。しっかり休憩を取らないと仕事の効率が下がる、というのがフィンランド人の考えです。同僚とのコミュニケーションをとる場にもなっています。仕事・プライベート、多岐に渡る会話をするそうで、私生活についても共有する方がお互いを知り、信頼関係を構築し、生産性が上がるという考え方がベースになっています。他部署の人との会話から新しい仕事が生まれたり、部署を超えて仕事をするときもコーヒーブレイクで構築された信頼関係があるととてもスムーズに進むそう。
私も、朝一で大学訪問があった場合、必ずモーニングコーヒーがふるまわれました。時にはデニッシュも一緒に!いきなり仕事の話をするのではなく、コーヒーを飲みながら世間話をすることで良いアイスブレーキングになりました。(フィンランド人も日本人もシャイなので、少しずつ関係性を深めていく場合にはとても良い方法なのかも。)
複数の大学スタッフからは一日6時間以上業務を遂行した場合、それ以降は業務効率が著しく下がるというリサーチが出ている、という話も聞きました。オンとオフをしっかりわけ、仕事に集中する時はしっかり働く、というのがフィンランド人のワークスタイルです。
産休/育休
女性は1年はFull Paymentで産休・育休を取れます。2年目以降はお給料は減るけれども育休を取り続けることができ、最長7年(子供が小学校に上がる年)まで取ることができるそうです。安心して出産や育児に集中することができますね。
男性も育休を取るのが一般的だそうです。ただし、取る期間は人によってまだ異なり、大都市に住む教育水準の高い男性の場合、80%が育児休暇を取るそうですが、地方や給与水準・教育水準の低い家庭ではまだまだ男性の育休取得率は低く、期間も短いそうです。
フィンランドのトップ大学、ヘルシンキ大学の職員の男性は1人目のとき8ヶ月、2人目のとき1年取得したとのこと。
男女で1年間の産休・育休をシェアすることも可能。前半を女性、後半を男性が取ることも一般的です。出産直前・直後はもちろん女性が休む必要がありますが、赤ちゃんが5〜6ヶ月になったところで男女交代、男性が育休で子どもを育てるという流れです。昼間に街でベビーカーを押しながら散歩する男性を見ることも多かったです。男性の育休取得率の低さがニュースで話題になっていましたが、日本でもし男性が昼間にベビーカーを押している男性に遭遇する確率ってどのくらいなんでしょう・・・。
学業休暇
大学に戻って学びたい、Master/Ph.Dを取得したいという希望がある場合、学びならpart-timeで働くことができるシステムです。今のポジションが保障されたまま、part-timeで働くことができるので、安心して勉強に専念することができます。part-timeになるからといって、職務内容が変わったり、契約社員になる必要がないのです。
企業にとっても社員がより高い学位を取得して、企業に残ってくれることはメリットだと考えているので、このようなシステムを導入・奨励しています。Master/Ph.D取得が目標の私にとっては、まさに夢のような制度・・・。日本だと、どういう形態になるのかな、、、と不安になったり、full-timeのままMasterを取得するためには自分の時間を削ってますます忙しくしなければならなかったり、、、もしくは転職や転籍という違うポジションを考えがちですよね。フィンランドではそのような心配はありません。
人生がハッピーになるポジティブな働き方
いかがでしたか?これだけ制度が充実していたら、色々なことがポジティブにうまく進んでいくようなぁ・・・というのが私の感想です。
日々の生活が充実しているから、仕事も集中し楽しんで働ける。産休・育休の制度も保障されているので育児に集中できる。(それでもフィンランドも少子化の流れが進んでいるようですが・・・)自身の個人的な成長のために時間を費やすことができるため、長期的に見ても充実した人生を送ることができる。休暇をしっかり取得できるため、仕事への不満が少ない。信頼ベースでの働き方が定着しているため、どこでいつ働くかを自分で決めることができる。"不安"や"不満"が少なく、"安心"できる労働環境が成り立っていると感じました。これを国全体で徹底して行なっているスケールの大きさにただただ感心してしまいます。
とある大学の学長退任パーティー。金曜の午後、ガーデンパーティーが大学の庭で開かれました。14時からスタートして、教職員同士で話をしたり、スピーチが行われたり。軽食とアルコールも振舞われました。そして16時頃なんとなく終了し、その日はみんな、このまま仕事終了です。
ワークライフバランスの改善が男女平等への鍵
この働き方、ワークライフバランスの改善と同時に男女平等にも大きく関係していると思うんです。
日本の場合、子供がいると時短勤務や残業なしの勤務をするのはだいたい女性ですよね?保育園に預けていても基本的に子どものお迎えは女性。男性は残業が当たり前、遅くまで仕事をしています。必然と仕事を頼みやすいのは残業ができる男性、そして、昇進が早いのは多く仕事をした男性・・・。能力重視と言えど、同じ能力を持った人の場合は?多く働いた人の方が多く仕事をするわけですので、昇進が早くなりますよね。イコール、日本の企業の場合、女性にとってとても不利な労働環境なんですよね。男性の育休取得推進はもちろんですが、それ以外にも全社員の残業時間の改善、リモート・フレキシブルワークの推進など多くのことを同時並行で進めていかないと、男女平等はもたらされないと感じました。
特に残業・・・。残業できる人が昇進するってとても不公平ですよね。日本社会全体として、変わっていかなければならないと思います。ということで、私も帰国したら、ノー残業の徹底!これが今の目標です。
取り組み例募集中
みなさんの会社で行なっているワークライフバランス制度や勤務制度、ぜひ教えてください!みなさんが抱えている問題ももしよければぜひ聞かせていただきたいです。
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