都市伝説 ゆきまる

20xx年○月✕日、A県A市のうさぎカフェで私はたくさんのうさぎとふれあった。どのうさぎも人懐っこく、愛想が良くて幸せだった。今日はうさぎさん達のお陰で、充実した1日だった。
実は、私には溺愛しているうさぎのぬいぐるみの「ゆきまる」がいる。とてもかわいいのだが、ぬいぐるみなのでリアルのうさぎさんのように愛想良くしてくれないし動いてくれない。正直、飽きるだろう。一生可愛がれる自信が無い。…なんだろう。うさぎカフェに行ったせいかゆきまるよりあそこにいるうさぎさんの方が可愛くみえてしまう。
私は思わず、
「ゆきまるなんかより、リアルのうさぎさんの方がかわいいなー」
と呟いてしまった。
少しゆきまるが可哀想だなと思ったが、感情の無いぬいぐるみだからいいだろう。
だが、ゆきまるの目は、部屋の照明で光っているだけなのに、私にはとても悲しそうで、今にも泣きそうになっているように見えた。その目が、私の罪悪感を刺激する。なんだか気分が悪い。
普段ゆきまるとは一緒に寝ているのだが、今日はいいや。
おやすみなさい。

-翌日 00:00:00
胸の上に何かがのしかかっている感じがした。それに、喉が少し痛い。なんだろうと思い少しだけ目を開ける。…おかしい。何か嫌な予感がする。
大きな物体ということはわかるのだが、なぜそれが私の胸の上に…?とても不気味で、目を開けるのが怖い。その恐怖心が、私の好奇心を刺激した。
好奇心に負けて、目を大きく開けてみる。

すると。
その大きな物体が持っている包丁の刃が、喉元に今にも突き刺さりそうになっているのが見えた。刃先と喉にある距離はゼロ。そうか…。だから喉が痛かったんだ…。
そして、大きな物体の正体はまさかのゆきまるだった。状況がうまく整理できない。え…?ゆきまるが、どうして…?なんで、ぬいぐるみが…?

「あたち、可愛い?」
喋らないはずのゆきまるが、私にそう尋ねる。ぬいぐるみが喋ったことに対して驚いてる暇なんか無い。今はこの子のせいで私の命が危ないんだ。可愛いって言ってあげないと、殺される。
「可愛いよ。」
私は、罪悪感で泣きそうになった。そうか。
『ゆきまるなんかより、リアルのうさぎさんの方がかわいいなー』
私がこう言ったせいで…ゆきまるちゃんを傷つけてしまったんだ……。悲しませてしまったんだ…。私は…なんてことを…。ごめんね…。
気がつけば、涙が流れていた。
「そんな言葉、信じない。許さない。じゃあねー」
ゆきまの私を責める言葉は胸に、ゆきまの握っていた包丁は喉に突き刺さった。
そして、
私の意識はそこで途切れた。

【解説】
「あたち、可愛い?」と聞かれた時点で、死は決まっている。どのように返答しても、殺される。特に「ブサイク」などの批判的な返答だと滅多刺しにされるだろう。
対処法はゆきまるちゃんの地雷を踏まないことに限る。

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