明日、親に聞いてみたいこと
高校3年生の秋口のこと
校内は大学受験に向けてギアを一段上げた雰囲気が漂う中、
私はといえば、
すでに部活も引退し、早々に進路も決めてしまって、
何もすることがなくなり、寝てばかりいた。
彼氏も親友も受験モードで頑張っていたから邪魔したくなかったし、
学年で大学進学を選ばない人なんて激レアで、
私だけ空気の抜けた風船みたいな腑抜けなかんじだった。
遊び相手もおらず、
学校から帰っていつものようにゴロゴロしていたら、母が
「あんた、そんな寝てばかりいたって時間がもったいないから、卒業するまで海外にでも行ってくれば?」と言ってきた。
え。海外、
…えぇ!そんなのアリ!?
生まれてから一度も外国に連れていってもらったことなんてなかったし、
とくに裕福な家庭でもなかったし、
わたしの「暇つぶし」のなかに、
まさか[海外に行く]なんて発想はなく、
そのチャンスはいきなり隕石のごとく降ってきたのだった。
びっくりしたのと同時に
一気に視界が開けた感覚がして
卒業までの日々を
海外で学んでみることにした。
担任の先生に相談してみたが、
受験シーズンのこんな時期に遊学など前例がないし、卒業後にしてほしい、とぜんぜん取り合ってもらえなかったので、高校は休むことにした。
卒業できるギリギリの出席日数を確保すれば
そこから先は卒業式まで欠席したって問題ないだろう。
出席日数から出発日を割り出してみると12/8で、
3/1の卒業式まで約12週間あることがわかった。
H.I.Sなど海外留学の斡旋をしてくれるパッケージサービスもあるようだったが、高そうだったので利用せず、
国も、地域も、語学学校も、
航空会社も、何もかも全部、
自分で調べて現地と直接やり取りして決めた。
ホームステイ先は語学学校に斡旋してもらえるようだったのでお願いした。
クレジットカードも高校生にはよくわからなかったので、トラベラーズチェックを利用することにし、
毎日為替レートを新聞でチェックして
ほぼ最安値のタイミングで購入した。
初めて乗る飛行機も
学校帰りにJTBカウンターに何度も通い、
航空会社を決め、購入した。
授業ではあんなに苦手だった英語も
語学学校との入学手続きとなれば
解読するしかなくて、
いっしょうけんめい訳しては、
いっしょうけんめいメール文を打った。
(2001年当時、翻訳機能はあったのだろうか?覚えていない。)
当時、家のパソコンがWindows98で
インターネット回線もISDNとかで
とにかく家では調べ物やらメールのやり取りが捗らないから学校帰りに生涯学習センターのパソコンコーナーを借りたりしたのを覚えている。
で、いま振り返って驚くのは、
その間、親がほとんど関与していなかったということだ。
国や地域や語学学校を決めるのも
親のアシストがあった記憶がまるでないのだ。
両親とも英語はまったくできないし、
海外経験もハネムーンに行ったきりだろう。
親だけでなく、
身近に海外に慣れている大人の知り合いが
誰もいなかったため、
国も地域も語学学校も航空会社も
一切のことがわたし任せで
・なぜそこにしたのか
・いくらかかるのか
などを親にプレゼンして
🆗をもらうようなやり方で準備をしたような気がする。
親になってみて、
子どもをそこまで信頼して
なにもかも任せられるだろうか!?と
今になって思うのだ。
ましてや女子で、その当時も携帯電話はあったが、せいぜいショートメールができるくらい。(もちろん海外には携帯は持って行かなかった。)
ちょうどいま高校3年生の娘ちゃんがいる友人にこの話をしたところ
「えー心配だなぁ。行かせられないかも」
と言っていて、わたしも同じように思うのだ。
行かせるにしても
もっと信頼できるルートで
安心材料をかき集めてからやっと🆗を出すとか…
当時は、
連絡も簡単に取れない時代だからこそ
相手を信じるというのがデフォルトだったのだろうか。。。
逆にいつでもLINEで繋がっていられる現代は
信じて待つ、というようなちからが
知らず知らずのうちに薄まっているのか。。。
そんなようなことを思った。
とにかく
これまで
その頃のはなしというのを
わざわざ親としてみたことがなかったから、
明日からの家族旅行で
ちょっと聞いてみたいと思っている。
なんで「海外行ってくれば?」なんてわたしに言ってくれたのか、(←今考えてもまったく不思議。そんなこと言いそうにない親だもの) とか、
留学準備は何もかも、わたし一人で進めた記憶だが、その記憶は正しいか、とか、
行かせる時の気持ちや、日本で待っている間の気持ち、など。
ちょうど、
わたしたちも親として
息子の夢を叶えるために
一つの覚悟を決めたばかりで、
決めるまでは、先の見えないミライへの不安と
[親の責任]と[子ども(ミライ)を信頼する]の
天秤がグラグラすることを体験したばかり。
それもあって、
わたしの親はあのとき
どうだったのか、聞いてみたい。
無事に行って帰って来られたし、
今となっては、すごくいい経験させてもらったなーと感謝してます。
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