拝啓 いとしい小さな宝物

2024年3月13日。今日はすがすがしいほどの快晴。外はまだ寒いものの、冷たい空気がしんと私の背筋を伸ばしてくれる。桜はまだ咲いていないが、梅の花なのか、桃の花なのか。小さくてかわいいピンクの花びらが、清楚に青空を彩っている。
青、って、なんでも似合う色なのかもしれないね。青空にはピンクの花びらも映えるけど、赤いハイビスカス、黄色い向日葵、雪の銀世界、夜へむかうオレンジ色のひかり。なんでも似合う。青はあなたの色だよ、健人くん。

中島健人くん。今日はあなたが30歳になった日だ。勝利くんの言葉を借りると、こんなめでたい日なのに、世界に祝砲は上げられなかったし、ふつうの、いつも通りの日常だった。でも、わたしの今日は、わたしにとって特別だったよ。

健人くんは、2024年3月31日をもって、いとしいSexy Zoneから卒業する。厳密に言えば、Sexy Zoneは改名するからメンバーみんなが卒業なのだけど、ほかの3人と違うことと言えば、あなたはこれから1人で世界を歩んでいく。
正直に言ってしまえば、寂しいよ。悲しくて、やるせなくて、今年の1月と2月は、私にとって地獄のような日々だった。でも同時に、「そうだよね」と納得してしまったのも事実だ。あなたは悲しいほどに噓をつかない人だから、ずっとずっとこの未来はわたしのなかでもあった未来だ。あなたは今日この日を、30歳になる未来を、そしてその後を、ずっとずっと伝えてくれていたもんね。

風磨くんの言葉を借りるのなら、「背中を押したい」。その一言に限る。
考えた。「みんな悲しむと思うけど、やりたいことがある」なんて言われたら、私があなたの親なら、「誰かのことを気にしないで。あなたが世界で一番大切だから」とそっと抱きしめてあげる。私があなたの親友なら、「寂しいけど、ずっと味方だから」と強く抱きしめてあげる。私は残念ながら親でも親友でもないので、抱きしめてあげることはできないが、言葉なら、あなたに伝えられそうだ。だからこのフォロワー数10も満たない小さなnoteで、私はあなたへの愛を語る。

「年齢なんて、ただの数字だよ」
その言葉はきっと正しいと思う。
「グループでもできることなんじゃないの」
その言葉も、きっと正しい。

でも私も25歳を超えたとき、ふと考えた。「このまま私ってこの人生?」って。<30>って、意外と大きな壁だと思うんだ。私はずっと東京に焦がれていたから、27歳のとき、えいやと東京へ飛び込んだ。もし失敗しても、まだやり直せる年齢かなって。ワーホリが30歳までの制度と知って、今必死で英語を勉強している。結婚出産も考えると、30までに色々経験しないと、って。
30歳の壁を越えた、お兄さん、お姉さん方は、それでも「年齢なんて、ただの数字だよ」と教えてくれると思う。でもこの焦燥は、そんなアドバイスじゃ止められない。と同時に、「自分の未来って、もしかしてまだまだこれから?」という希望も見えるのが、この年齢だ。まだまだ若手扱いしてくれるし、失敗してもやり直せる。そして「やり直そう」という体力がある。これって、すごく奇跡なのだと思う。私でさえこう思うのだから、アイドルを職業としている彼にとっては、もっともっと考えているだろう。

グループの存在だって、きっとそうだ。私も別に、東京になんて来なくてよかった。地元には家族がいるし、親友もいる。別に仕事で困ってなんかなかった。今している仕事も、きっと地元でもできると思う。
でも、環境を変えなきゃ、私は本気になれないと思った。「田舎だから」なんて、そんな言い訳したくなかった。そしてありがたいことに、環境を変えるという「選択肢」がある。これもすごく奇跡的なことだと思う。

わたしはあなたと同世代だから、いろいろと分かってあげられることもあるのだと思う。そして同時に、私自身も考えるきっかけとなった。

これからもあなたは、わたしの目にもとまらぬ早さでこの世界を駆け抜けていくのだろう。でもあえて言わせてほしい。
【安心してくれ。あなたが失敗したって、休んだって、後悔したって、泣いたって、あなたを愛している人はごまんといる。たとえ一生会えなくても、あなたがそこにいるという事実で、わたしはきっと、今日も頑張れる。愛してる。愛してる。大好き。明日も明後日も愛してるから、だからあなたは、明日も明後日も、どうか安心して、あたたかい布団で眠ってくれ。】

気が向いたら、またわたしの夢にでも出てきてね。
お誕生日、おめでとう。

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