祈りのことば

※なんの脈略もなく、散文を解き放っています。コンサートレポは比較的理性的ですので、本当はそっちを見てもらいたい。

どうやら、ジャニーズ事務所が解体されるらしい。小学生の頃の私…ううん、2か月前の私でも、そんな予測はできなかった。でもこの答えは、そうするしかなかった―――いや、そう思いたい。この答えは、『ジャニーズ』という組織が憎くて仕方ない世間の私刑ではなく、今もなお執拗にタレントや事務所を叩いているのは、あくまでも性加害への抵抗なんだと。こうすることで、芸能界の、世間一般の、性別年齢問わない性加害の再発防止になるのだと。これは正義のための犠牲だったのだと。そう信じてなきゃ私はどうにでもならない。

母は昔からSMAPが大好きでした。妹が産まれる直前、SMAP×SMAPで少年隊がゲストだったときに陣痛が来て、「ヒガシと慎吾の絡みを見るまでは、少年隊の歌をSMAPが歌うまでは、絶対に病院に行かん」と駄々をこね、先生に怒られたらしい。
だから私の幼少期は、SMAPと共にあった。ライブに初めて行ったのもSMAPだし、車の中では絶対にSMAPのライブDVDを見ていたし、裁縫が得意な母が、参戦服としてたくさんの服を作って、それを母の友人たちと着て楽しそうに写真を撮る姿が、わが母ながら可愛いなと思っていた。
嵐を好きになったのも、母がきっかけだ。『花より男子』や『魔王』を見て、「嵐のCD買ってみようかな…」とぼそっと母に呟いたら、「じゃあライブに行くか」と連れていってくれたのが、10周年のライブだった。そこで誰よりも全力で笑い、踊る相葉ちゃんが、私として初めての『担当』だった。次々に出るドラマ、CD、DVD、雑誌。決してお小遣いは多くなかったけど、友人たちと協力してコンプリートしたし、何より母は理解が凄かったから、ファンクラブ代とか、コンサートのための遠征費は「出世払いだよ」とか言いつつ出してくれた(思えば返していない)。母も母で、身近な娘がジャニオタになってくれたから、嬉しかったのかもしれない。
後に妹は関ジャニ∞ファンになり、今は熱心になにわ男子を追っている。私も私で、嵐が活動休止してからは、Sexy Zoneが新たな担当だ。

幼少期から、共にあったジャニーズが、もうなくなっちゃうんだって。
世間は「名前が変わったからといって、中身は変わんないでしょ」と言う。かのロミオとジュリエットだって、「薔薇は薔薇という名前でなくても、美しいのには変わらない」と言う。
バカ言えよ、変わるわバーーカ。
マネジメント契約だけでなく、エージェント契約も、独立も可能になる。ジャニーズで培ってきたエンターテインメントのノウハウはリセットされる。今までの功績も全部全部なかったことになる。「ジャニーズなんで!」とキラキラ笑う彼らには、もう二度と、二度と会えない。それに反論すると、「性加害に加勢するんだ」と、どこかともなくヒス構文が飛んでくる。疲れたな、私はただのファンだったはずだが、どうやら加害者の一員らしいぜ。笑っちゃうね。

話を戻す。

マネジメント契約だけでなく、エージェント契約も、独立も可能になる。

私としては、これが一番大きい。第三者の目を気にせず弱音を吐くと、感情が二律背反している。
『あんなに幾多の試練を乗り越えてきたSexy Zoneは、絶対に4人でエージェント契約、もしくは独立する』
『ソロが集まったようなグループだし、もう全員十分に地位を確立しているから、解体になるかも』

正直言えば、もう彼らが幸せならなんだっていいのだ。でもいちファンとしては、どうしたって、彼らの幸せ=私の幸せだと、信じてやまないんだよ。
風磨くんは今年のコンサートの挨拶で、「もう誰一人だって辞めさせない」と強く、強く言った。解散するタイミングなんて、正直いくらでもあった。3人体制のとき、風磨くんと健人くんが頗る仲が悪かったとき、聡ちゃんが活動休止したとき、マリちゃんが活動休止したとき、仲の良いグループで、相次いで脱退が報じられたとき。そして今。それでもずっと手をつなぐなんて、それはもう愛以外ないじゃないか。
でも同時に、なんとなく彼らには、これから深い話し合いをするうえで避けて通れない現実があると思う。
客観的に見て、健人くんはすごく海外に目を向けているなと感じている。来年には海外ドラマも出演が予定されているし、2020年にポニーキャニオンからユニバーサルミュージックへレーベル移籍をしたのも、海外志向の強い健人くんの意見が大きく反映されたのではないかなと思う。ジャニーズ愛は強いと思うが、そこまで固執しているイメージはない。
どちらかといえば、勝利くんも海外志向は強い方だろう。ただ海外ドラマやハリウッド、とかではなく、あくまでもショービジネスとして。ジャニーズにこだわっている彼のエンターテインメント性は、私は大好きだし、ジャニーズから離れることはないと思う。
聡ちゃんは海外でも、国内でも、というイメージが強いが、「どこで」やるのかではなく「誰と」やるのかに、固執されていそうだ。他3人が独立を選ぶなら独立もするだろう(あくまでもジャニーズ内)。それは甘えでは決してなく、それでも続けていく内面の強さであり、そして続けられるという実力面の強さもある。
一方風磨くんは、そこまで海外志向は強くない。まずは日本で売れてから、というのが、彼の考え方だ。そして「海外」は欧米ではなく、アジアへ向けてのビジネスを考えている。ただジャニーズを離れる、という考えは、毛頭なさそうだ。

ここまで弱音を吐いてもなお、私はどうしても、どうしても4人がバラバラになる未来が見えない。でも、それが怖い。冷静になれば4人の個性なんてジャニーズいちバラバラなのに、仲の良さで売っているグループではないのに、ずっと一緒につかず離れずな距離でいる彼らしか想像できなくて、その想定外の姿を近いうちに見せられたら、私は本当に本当に、立ち直れないのではないか。正直言うと、マリちゃんの卒業は素晴らしいものだったが、まだ寂しいのだ。「ここにマリちゃんがいてくれたら」と何度も思ってしまうし、そしてこれからも思うだろう(だが、こんな騒動になる前に、マリちゃんが良い形で卒業できたのは、本当に良かった。繊細で誰よりもジェンダー意識の高い彼には、この業は重すぎる)。

私は祈るしかない。信じる、なんて言葉は言わない。「彼らの幸せ=私の幸せ」なんて、そんなおこがましいこと言えやしない。
どうか今日も、彼らはたくさん笑い、そして夜は暖かい布団で眠っているのだと。そしてそれはこれからも続くのだと。どうか、どうか、祈るしか、私には方法はない。

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