Pavilion of Participating Countries at Arsenale / Venice Biennale 2019
Giardiniのそれとは違い、大きな建物の一室を使う形で各国のパヴィリオンが展開されているArsenaleでは25もの国の展示を見ることができました。
Republic of Kosovoの展示はAlban MujaによるFamily Albumというプロジェクトの展示でした。正直紹介するのはこれだけでいいんじゃないかと思えるくらい強い展示。くらいので写真ボケていますがここに写っている方々の家族が写っている写真についてのインタビューです。
ご存知の方も多いと思いますがコソボ自治区はバルカン半島の内戦でとても大きな被害を受けながらもアイデンティティを強く保とうとしている地域です。非人道的な行為、政治が行う信じられない選択、振り回される民衆、世界の注目が集まります。当然のごとくジャーナリストはこの地を訪れ、その場の出来事をあの手この手で記録し世の中に知らせます。出来のいい写真は数多くのメディアで何度も報じられます。そした写真に写っている家族に対するインタビューと、その写真を取り巻く前後で何があったのかを見せる作品でした。(もちろん写真の中には、政府がプロパガンダ的に使うものもあります)
耳慣れないコソボの言語、英語の字幕に追いつくのに必死だったのですが、淡々と語る彼らの日常はそれでも伝わります。これは私たちにとっても地続きの現実なんだということが突きつけられる。
Turkey(トルコ)パヴィリオンでは映像と大掛かりなインスタレーション。この映像はとてもシュールなもので、人や物が想像できない様子でコラージュされていました。この作家İnci EvinerさんはUAEのシャルジャビエンナーレでも見かけたことのある方。彼女の作品のベースにある価値体系が知りたくなります。
Philippines(フィリピン)パヴィリオンは長蛇の列でした。天板がガラスで構成されている3つの島に上がってもらう作品となっていたので人数制限が必要となる作品です。また鑑賞者ひとりひとりにスタッフがつきっきりで作品の説明をしてくれるという万全のサポート体制。そりゃ列ができるのは仕方ないですね。私のサポートについてくれた方は口数の少なそうな方だったのですが、ご本人も作家をされているというところから話が盛り上がり色々と皮肉交じりのやり取りができました。
「作品のこの部分はフィリピンがアメリカの植民地化にあった頃をイメージさせます」「フィリピンはスペインの植民地でもありましたよね」「そうです。フィリピンはいろんな国に支配されてきました。もちろん日本にもねw」「ははは」
People's Republic of China(中国)の展示は規模が大きい。ちゃんと何にお金をかけているかが垣間見える。今年の中国は技術に対するお金のかけ方が目立ちます。写真は映像にうつる人の様子から職業をタグ付けし、同じ構成でタグが存在しているGoogleMapの映像を引っ張ってくるというものでした。私は「Peddler(行商人)」とタグ付けされています。
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もっと他にもいろいろな国の展示があったのですがピンキリ。今回はKosovoの内容の重さが際立っていた気がします。展示は別問題として。
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