「離れていても家族」
本書は表紙だけ見ると、「家族をテーマにした短編のアンソロジーかな?」のようにライトな雰囲気を醸し出しているが、中身は世代の異なる社会学者たちの研究成果が詰まった一冊。
内容紹介の一文からは、多少お堅い印象を受けるが、文書の構成や統計データの示しかたや、日本とイギリスのリビングの写真など視覚的な情報もあり、読みやすい工夫がされていると感じた。
「亭主元気で留守がいい」ってコピーが80年代に流行語に選ばれたそうだが、この時代は日中に家に誰もいないことはさほど珍しくもない。
「家」ってなんだろう。
「家族」ってなんだろう。
そんなふうにふと疑問が沸いたら、本書を読むと自分なりの「家」や「家族」のありかたを再考することができるように思う。
終章のタイトルは、
「離れても共にいても家族」
固定化された幻想の「家族」は、これから新しい形になっていくのかもしれない。
そんな希望を感じさせてくれた一冊だった。
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