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「VOGUE BEAUTY NEXT」 新世代が描く、社会課題を変革する“美”の未来
『VOGUE JAPAN』 25周年と青山学院大学150周年を祝うコラボレーションイベント「VOGUE BEAUTY NEXT」が、12月8日(日)に開催されました。このイベントは、『VOGUE JAPAN』 発行人でコンデナスト・ジャパン副社長の平石敬晴さんと青山学院大学地球社会共生学部長エリック教授が昨年から共に温めてきた、『VOGUE JAPAN』と青山学院大学がZ世代とともにプロデュースした初の新世代ビューティーイベントです。
会場となったのは、今年創立された青山キャンパスの「マクレイ記念館(大学図書館・情報メディアセンター)」。「世界は一人ひとりの力で変えられる」(Be the Difference)というメッセージのもと、青山学院大学エリックゼミの学生たちと『VOGUE JAPAN』が手を携えて、「Inner self(内面)」と「Outer self(外面)」をテーマにトークステージやワークショップを展開しました。
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青山学院大学の教員として、今回の「VOGUE BEAUTY NEXT」イベントを共催し、改めて「美」が単なる外見や装飾にとどまらず、社会課題に密接に関わる重要な要素であることを実感しました。このイベントは、ファッションとライフスタイルの最前線をリードする『VOGUE JAPAN』と、社会的責任を重視した教育活動を行う青山学院大学が、Z世代を中心に新たな「美」の価値観を共有する場として大きな意義を持っていました。
特に印象的だったのは、「Inner self(内面)」と「Outer self(外面)」のテーマが深く結びついていた点です。外面を飾る美しさはもちろん重要ですが、それが内面の充実や社会的責任とどのようにリンクするかを考えることが、これからの美の定義に不可欠であると強く感じました。社会課題に対して敏感なZ世代が、メンタルヘルス、アイデンティティ、女性支援といったテーマを真剣に議論している姿に、未来のリーダーたちが社会を変革する力を持っていることを確信しました。
オープニングセッションでは、「美が人生に与えるもの」と、『VOGUE JAPAN』と青山学院大学の化学反応が生み出す新しい価値について、地球社会共生学部長エリック教授と『VOGUE JAPAN』ヘッド・オブ・エディトリアル・コンテントのティファニー・ゴドイ氏が登壇。社会課題に向き合う真の“美”とは何かを考え、初開催となるこの新世代ビューティーイベントが目指す意義について語り合いました。
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LESSON1では、「MENTAL HEALTH」をテーマに、シュウ ウエムラのスポンサードのもと、スマホやSNSに依存せず、日常を豊かにするための新しい視点を見つけるためのディスカッションが行われました。ゲストには、パラリンピアン・スピーカー・モデルの一ノ瀬メイさん、一般社団法人日本デジタルウェルビーイング協会(JDWA)代表理事の森山沙耶さん、ロレアル リュクス事業本部シュウ ウエムラ事業部ブランドジェネラルマネージャーの町田理香さん、そして青学エリックゼミの学生が参加し、エディター・ライターの大庭美菜さんがMCを務めました。このトークセッションでは、「connected not addicted」のキャンペーンを通じて、デジタルと上手に向き合う方法や、自己探求、自己表現の重要性が活発に議論されました。
LESSON2では、「IDENTITY」をテーマに元Sexy Zoneのマリウス葉さんをゲストに迎えたトークセッションが行われました。アートや社会課題への積極的な取り組みを行っているマリウス葉さんが、自身の過去と現在について語り、社会の変革に向けたビジョンを共有。自分の内面に隠されたバイアスに気付き、より良いコミュニケーションが生み出すハッピーな社会を提案しました。
LESSON3では、「WELLNESS」をテーマに、三菱電機スポンサードのもと、お笑い芸人のバービーさん、三菱電機 統合デザイン研究所デザイナーの奥田勇さん、青山学院大学エリックゼミの学生と共に、「女性支援」について議論しました。ユニークな演劇型ワークショップを通じて、女性特有の健康課題(生理や妊娠・出産)について理解を深め、働きやすい職場環境を作るための方法を探るセッションが行われました。
LESSON4では、「SELF-CARE」をテーマに、俳優の駒木根葵汰さんと樋口幸平さんが参加し、メンタルヘルスを整えるセルフケア方法についてディスカッションしました。若手俳優たちが実践するオンとオフの切り替え方や、内側からの美しさを育むための心のケアの重要性が話し合われました
「Outer self」をテーマにしたエリアでは、VOGUE BEAUTY AWARDS受賞アイテムをはじめ、最新のスキンケアやメイクアップアイテムが並び、来場者が実際に試せるタッチ&トライが実施されました。プロが教えるジェンダーフリーなメイクや、個性を引き出すメイク術を体験する機会も提供されました。また、図書館では、Vogueエディターが選んだ社会課題や美に関する選書コーナーを設け、学生たちが実際に本を手に取り、活字のメッセージに触れることが出来ました。ソーシャルメディアが乱立する現代で、厳選された本を通し『VOGUE』のエディターが活字を使った社会課題に基づいた美の追求をしていことを改めて実感しました。
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今回の「VOGUE BEAUTY NEXT」の最大の意義は、単なる美の追求にとどまらず、社会課題に対する新しい視点を提示し、持続可能な社会を実現するための意識改革を促すことにあります。VOGUE JAPANは、ファッションやライフスタイルの分野で常に新しい価値を発信してきましたが、青山学院大学とのコラボレーションにより、より深い社会的責任を果たすための「美」の再定義が行われました。美がもたらす社会的影響について再考し、未来の意識を変えるための強力なメッセージを発信するこのイベントは、Z世代を中心に新しい価値観を広める重要な機会となりました。
青山学院大学として、これからの取り組みとしては、学生たちに「美」が持つ社会的影響をより深く学び、実践できる機会を提供していきたいと思います。イベントで展開されたワークショップやディスカッションのように、学生たちが社会課題に対して能動的に関与し、自分たちの価値観を形作る場をさらに増やしていく必要があります。また、持続可能性やダイバーシティ、インクルージョンを重視した美のあり方を、カリキュラムにも反映させていきたいと考えています。このような社会的責任を意識した活動は、単なる一過性のトレンドではなく、これからの時代に求められる新しい価値観として定着させていくべきです。私たち教員も、学生たちとともに、その変革の一端を担い、より良い社会の実現に向けて学び合い、行動していきたいと思います。
VOGUE JAPANと青山学院大学の共同イベントは、持続可能で社会的に責任ある美の概念を提案し、参加者に社会的な問題を再認識させ、その解決に向けた行動を促す重要な一歩となったと言えるでしょう。
Peace out,
エリック