結婚式延期、そして答え
2019年7月。
かねてよりお付き合いをしていた男性(現:夫)よりプロポーズを受け、婚約。
2019年8月。
「1年後はオリンピック。東京2020に合わせるのもいいかもね。」
そうして実施を決めた2020年8月の結婚式。
夫は東北、私は九州の出身。言わずもがな遠方のゲストが多い私たち。
「せっかく来てもらうのだから一緒に観光も楽しめるような、京都の会場にしよう。」
「”来てよかった”と思ってもらえるような、ゲストが喜びそうな企画を用意しよう。」
そんなことを考えながら、ゆっくりゆっくり時間を練って作り上げていた結婚式でした。
ところが、それから半年足らずで世の中は激変。
何が起こったかは、周知の通り。
あれよあれよという間に状況は悪化し、大規模イベントは中止・延期が当然のような選択となってしまいました。
その代表が「東京オリンピック延期」。
同じ時期に予定をしていた私たちの結婚式。
実施したいけどゲストの安全は保証できないし、分からないことが圧倒的に多くて、何より、怖い。
すでに4月の緊急事態宣言で、規模縮小は確定していた。
ガイドライン通りなら大丈夫だろうと一時は決行を決めていたのに、日に日に「過去最多」を更新し続けるニュースがどうしても目に入る。
そんな状況下で人を集めることに対する不安はやっぱり大きくて、怖くて、分からなくて、いろんなことを考えれば考えるほど何が正しいのかが見えなくなり、最も安全そうな「延期」という決断をしました。
延期するにしても、会場側との契約面、いろんな人の都合など様々な面で制限があり、少しでも状況が回復することを信じて、2021年2月への延期を決めたのでした。
さて。
一時は落ち着く兆しが出ていましたが、秋、冬になるにつれ、望んでいた回復には程遠い現実がそこにはありました。
ですが、大人の事情もあり二度目の延期は難しく、一時は「中止」の選択がちらついた。
毎日のニュースで増える数字を見るたびにメンタルは少しずつ削られる。
期待しては裏切られ、また期待するのも怖くなるそんな毎日。
妙に華やかな結婚式の夢は見るし、Googleで「コロナ 今日」を日々検索する呪縛のような苦しさが続く。
人生で最も華やかな1日を迎えるはずなのに、どうしてこうも毎日苦しいのだろうと、思わずにはいられなかった。
そして2021年1月。
二度目の緊急事態宣言発令のニュースが飛び込んできた時、いよいよパニックになり、泣きながら母に電話をした。
私たちの結婚式を、誰よりも楽しみにしてくれていたであろう母が涙ながらに言ってくれたのは「エリカたちが辛いならやめなさい。でも、どんな形であれ形に残そうと思うならやってみなさい。」だった。
背中を押してくれた気がして、嬉しくて、また泣きました。
不安はまだまだあったけど、これまで使ったことないような膨大な金額を既にかけていることもあり、たくさんの人を既に巻き込んでしまっていることもあり、楽しみに待ってくれている人がいることもあり、ここまできて易々と諦めることは、やっぱりできなかった。
悩んで、悩んで、何日もかけて夫と相談し、
「両家の両親4人が出席できる限りは実施する」
「会場が実施を決めている限りは実施する」
ことに決めたのでした。
”どんな形であれ”実施する。
これが私たちの答えでした。
たとえゲストが全員来れなくても、6人だけの式になっても、形に残すことに、決めたのでした。
もちろん、国の出しているガイドラインに沿う形で、私たちと会場と、そしてゲストのご協力を得ながら出来うる最大限の対策を講じて。
仕事上の制限や体調面の心配などから直接会場には来られないゲストにはオンラインで参加してもらえるような、新しい形で。
オフラインとオンラインがそれぞれの楽しさを共有できるような、会場、ゲスト、もちろん私たちにとっても、初めての形で。
※実施の詳細については以下の記事で紹介しています。
これが、私たちの出した答えでした。
いろんな思いとこだわりと、新しさを織り交ぜながら実施した結婚式。
私たちにとってかけがえのない、大好きなゲストに見守られながら、
ささやかで、そして本当にあたたかな2時間となりました。
そして、実施から1ヶ月近くたった今。
会場からも、ゲストからも体調不良の連絡もなく、ようやくほっと一息つけている今です。
ーー
結婚式に限らず、今はどこにも何の答えもないことの方が圧倒的に多く、何をやっても正解でも間違いでもないと思うのです。
誰かにとって正しいことは、誰かにとってまったく正しくないこと。
そんなことばかりが溢れているような気がします。
だからつい、「全部自粛」を選びたくなる。
誰からも批判されないし、傷つかない。最も安全かもしれない。
もちろん、外出も、外食も含めて完全自粛が求められている人はいるのかもしれない。
やっぱりそれが正しい、ということももちろんあっていいと思う。
でも、それは私たちではないと思いました。
私たちは「何もしないこと」ではなく「何かすること」で乗り越えていきたいと。
できない中でもできることを。
ルールは守って、できることを、考えて考えてやってみようと思ったのでした。
今の日本で、最善策はどう導かれるべきか。そんな内容を解いた、日本を代表するマーケター森岡毅さんの本にこんな言葉がありました。
”プロフェッショナルならば、100でも0でもないその間に、最大限の努力と知恵を振り絞って”解"を見つけるべきです。”
引用元:森岡毅(2020),誰もが人を動かせる!,日経BPマーケティング
私たちをご担当してくださった皆さまは本当にみんなプロフェッショナルだったと思います。
結婚式もビジネスであり、一つの夫婦にとっての一大プロジェクト。
クライアントの声に耳を傾け、そして最善の策を一緒に作り上げてくださったことに本当に感謝しています。
本当に難しい状況ばかりだと思うのですが、そんな中、0と100の間で「これが私の答え」だとわからないなりに見つけながら闘っている人たちを、私は応援したい。
そしてこれからも、答えのない時代は続くと思う。
だからこそ、もがいて、悩んで、答えを探す努力を惜しまずにいたいと、強く思う。
こんなことを書きながらも、テキストを打つ手は不自然に震えている。
今でも、出した答えの正しさは、やっぱり分からない。
だけど。ゲストの残してくれたメッセージと、会場とスクリーンに溢れる笑顔と、泣顔を見せてこなかった人たちの止めどない涙がその答えであったと信じてみたいと思う。
そして、私たちの答えがひとつ、誰かの力になるのであればと、なることを願って、ここに記しておこうと思いました。
みんな頑張ってる。頑張ろう。がんばれ。
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