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自分らしく働くためのオフィスデザインとは

5月30、31日に東京ビッグサイトで開催された
オルガテック東京に行ってきました。

オルガテックとは、ドイツ発祥のオフィス家具の国際見本市。日本では今年で3回目の開催となります。

コロナ禍を経て、世の中の働き方やオフィス環境はだいぶ変わってきたなと思います。
オルガテックでも、これが今どきのオフィスデザインなのか、と勉強になることがたくさんありました。
様々なメーカーが働きやすいオフィス環境のために工夫を凝らした新商品や空間づくりをしていました。

オルガテックの展示を振り返りながら、心地よいオフィスデザインについて考えてみたいと思います。



心地よいオフィスってどんなの?

そもそも心地よいオフィスってなんでしょう?
清潔さ?充分な広さ?使いやすさ?
どれも不可欠な要素だと思いますが、
わたしは“コミュニケーションがとりやすいこと”が1番大切じゃないかなと思います。

働きやすさを物理的な視点では無く、感情的な視点で考えてみると、自分らしく振る舞えることが働きやすさ、心地よさに繋がると思います。

組織の中で働くということは、自分を評価する人が周りにいるということ。それは上司から受ける成績評価、という意味合いだけではありません。
あなたは気がきくね、とか、毎日遅くまで頑張ってるね、とか、職場の人が何気なくかけてくれる一言。これも評価のひとつです。

周りの人から見た自分と、自分が思う自分。
このふたつが良い方向でかちっと重なったとき、
自分らしく振る舞える、居心地のよい職場だと感じられるのではないでしょうか。


そして、かちっと重なるためには、お互いを知るためのコミュニケーションがとても大切。
オルガテックにも、コミュニケーションを誘発するようなデザインが多く見られました。

オルガテックで見つけた働きやすいオフィスデザイン


話しかけやすい雰囲気づくり

目上の人に話しかける時ってちょっと緊張しませんか?
業務のことで相談したいとき、契約書の捺印をもらいたいとき、タイミングをうかがってなかなか話しかけられない。
目上の人たちって常に忙しそうだし深刻な考えごとをしているように見えるんですよね。
(もちろん本当にそういう時もあるはず)
気後れせずに話しかけられない自分がもどかしい。
そんなもやもやを、デザインで解消できるかもしれません。

カリモクの丸っこいソファ

オルガテックでとにかく多く見られたのが、角のない丸っこいデザインのもの。ソファやチェア、テーブルなど、曲線を描くやさしい雰囲気を感じるものが多かったです。

もしこの丸っこい椅子に強面の上司が座っていたら、少しだけ話しかけやすくなるんじゃないかなと思います。

黒い革張りのどっしりとした椅子に座ってるときよりも、なんとなく穏やかなリアクションが返ってきそう。

サンゲツのディスプレイ

さらにらこんなポップな色の椅子だったら、むしろ話しかけたくなっちゃうかも。

職場の風通しをよくするためにも、皆が楽しく自分らしく振る舞うためにも、話しかけやすい雰囲気づくりってすごく大切だと思います。

最近部下との会話が減ってさみしさを感じている方にとっても、良い効果があるかもしれません。


バイオフィリックデザイン


聞きなれない横文字かもしれませんが、簡単に言うと植物や自然光や水など、自然の要素を取り入れた空間デザインのことです。

近年では家の中でも観葉植物を育てる人が増え、おしゃれな空間に緑は欠かせない存在となりしました。植物を見ていると気持ちが安らいだり癒されるという人は多いのではないでしょうか。

プリザーブドグリーン

オルガテックでも植物が展示されているブースは多数見られました。本物の植物、フェイクグリーン、そしてプリザーブドグリーン。

プリザーブドグリーンとは、生の植物を長持ちするようにように加工したものです。使用期限は2〜3年ほど。生の植物より長持ちして、フェイクグリーンよりリアルな見た目です。

植物があると、職場の雰囲気もやわらぐような気がします。緑の植物はオフィス全体にポジティブな印象をプラスしてくれます。前向きな気持ちになり心に余裕ができるとコミュニケーションも円滑に進みます。

それに、繁忙期でみんな余裕がなく、ピリピリした空気が漂っている時、何事にも左右されずただそこに存在している植物を見ているとちょっと冷静になれそうです。


個のスペース

コミュニケーションが大事なのになぜ個のスペース?と思われるかもしれませんが、個の時間が尊重されてこそ人と上手くコミュニケーションをとれると思います。

管理をする立場からしたら、部下の行動が常に視界に入っていた方が安心かもしれません。実際にずっと監視しているわけではないにしても、そういう職場環境にしたいと考える管理者は多いと思います。

もちろん、部やチームの人たちの仕事内容を把握していることはとても大切なことです。これもコミュニケーションのひとつだと思います。
しかし、ずっと見られていると感じると人は窮屈に感じてしまいます。
上司の視線を意識してしまい、自分らしく振る舞えずに縮こまってしまうかもしれません。

年頃の子どもが親の干渉を嫌がって部屋にこもることがありますが、あれは成長するために必要な時間です。
個室で過ごす時間は外部をシャットアウトするためではなく、自分の心を豊かにして外の世界へ出ていくためのものなのです。

ソロワークスペース
ほどよく周囲から隔離してくれる椅子

オルガテックでも様々なタイプの個のスペースが見られました。ブースとして仕切られているものや顔の横まで背もたれがあるもの。
これは見た目以上に周りの音が遮断され、包まれているような感覚がしました。

ソロワークスペースを取り入れ、意図的に個の時間をつくることで社員はのびのびと働くことができます。リラックスして作業ができるので、自分らしいアイディアが生まれるかもしれません。

そしてなにより、目の届かない場所にいても大丈夫と思われることは信頼されている証。自分が信頼されているという安心感は自己肯定感を高めます。


さいごに

最後に、少しだけわたしの話をさせてください。

オルガテックの中で、インテリアデザイナーの片山正通氏のセミナーに参加しました。

途中片山氏のある一言がわたしの涙腺を刺激してあやうく泣きそうになりました。
一瞬なんのワードに反応したのかわからず、頭の中で言葉を振り返ってみて気づきました。
それは、「屋上でみんなでバーベキューをやる」という一言でした。

え?って思いますよね。
わたしもびっくりでした。

もう10年以上前、わたしが新卒で入った会社は割とアットホームで、職場の人たちとお花見をしたりスノボにいったりバーベキューをしたりすることがよくありました。
わたしはそういうイベントに参加するのが好きだったし、会社に対しては不満も色々あったけど一緒に働いている人たちのことが大好きでした。

今個人で働いているわたしにとって、
「屋上で職場のみんなでバーベキューをやる」ことはもうできないのです。
それがさみしかったのです。笑

職場の人間関係って本当に不思議だと思います。
家族でも友だちでもない、年齢も育ってきた環境も違う。気が合って集まったわけではないのに毎日顔を合わせている。

それでも、戻れないことがさみしいと思えるくらいの関係を築くことができます。
それは日々のコミュニケーションがあってこそ。
わたしをわたしとして認識してくれる人の中にいられることは、とても安心できる尊いことだと思います。


職場のみんなが自分らしく心地よく働けるように、今回ご紹介したようなデザインの力を借りてみるのも良いかもしれません。


最後まで読んでいただきありがとうございました。
次回もよろしくお願いします。

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