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2024クイーンSコガネノソラ紹介【ゴールドシップ産駒】

2024年7月28日クイーンS(GⅢ)をコガネノソラが勝利しました。

筆者の覚え書きとして記事にします。

【注意】
・血統評論の記事ではありません。
・競馬予想の役に立たない情報です。

この記事は2024年9月9日時点のものです。

オークス出走まで

コガネノソラは2021年5月6日生まれ。
生産者ビッグレッドファーム。
馬主ビッグレッドファーム。
ラフィアンでもコスモでもない牧場持ちの馬である。

2023年8月5日
菊沢厩舎から鞍上柴田大知騎手でデビュー。
3着。

その後未勝利2戦を2着、4着と勝ちきれず。
ここでゴールドシップ産駒と相性の良い横山武史騎手に交代。

ここからコガネノソラの物語が始まります。

2023年10月9日
東京1800m、2歳未勝利で初勝利。

2024年4月6日
中山1800m、3歳1勝クラスで連勝。

2024年4月28日
東京1800m、スイートピーS(L)を石川裕紀人騎手で三連勝

あっという間にオークスへの出走権を手にします。
最初の3戦は何だったのかと思うような破竹の三連勝。

ゴールドシップ産駒は騎手の相性の良し悪しが結構はっきりと出るタイプだと筆者は思っています。

特に柴田大知騎手との相性の悪さは知っている方もいらっしゃるかと思いますが、ここで長々と書くわけにもいかないのでウマホのデータのみ記載します。

柴田大知騎手がゴールドシップ産駒に騎乗した場合
240戦中9勝 勝率3.8%(2024年9月1日まで)

9勝の内訳
新馬戦3勝・未勝利戦6勝

(GⅢ馬コガネノソラの新馬と未勝利の計3戦、GⅡ馬ゴールデンハインドの新馬戦、オークス馬ユーバーレーベンのアルテミスSなど重賞馬級にも騎乗しているのですが…)

コガネノソラの3連勝は逃げや差し。
産駒らしく長くいい脚を使えるタイプ。
弱点はだれが見ても分かるほどのソラ使い。
スイートピーSでは中団から直線外に持ち出し、先に抜け出したニシノティアモに追いつき差し切る。
勢いそのままま差を広げるかと思いきや明らかに減速。
競り合ったままクビ差で先着。

「抜かせるものなら抜かしてみなさい」
とでも言っているようなこのレース、1:45.6はスイートピーSのレースレコード。(1986年~2024年スイートピーSまでのタイム)

素質が開花し始めた瞬間でした。

石川騎手のコメント

石川裕紀人騎手(1着 コガネノソラ)
「(菊沢)先生や前走で乗っていた(横山)武史からソラを使うところがあると聞いていました。今回も早めに抜け出しそうでしたが、ギリギリまで追い出しを我慢しました。やはり、抜け出そうとした瞬間に少し周りを気にするようなところがありましたが、内容としては100点の競馬ができたかなと思います」


2024年5月19日
オークス。

鞍上はスイートピーSから続投した石川騎手。

レースは中団後方あたりから進み、直線はいいところまで行きましたが12着に。よく見ると15番のサフィラをガン見しているような…?

石川騎手のコメントは以下の通り。

コガネノソラ12着・石川騎手
「連戦でしたけど馬自体に疲れは見えなくて、むしろいい状態と思える返し馬でした。ポジションは馬のリズムで、1コーナーの入りもいいところだと思っていましたが、直線に向くにつれて反応が鈍くなってしまいました。若干、距離が影響したかなと思います」

距離が長かったのか、連戦ローテの疲れが出たのか。
残念ながら見せ場なく終わりました。

参考情報として石川裕紀人騎手の東京2400mの成績は71戦0勝でした。

クイーンステークス

二桁順位となってしまったコガネノソラ。
次走は通常であれば秋華賞へのトライアルなどが候補に挙がりますが、古馬も出走するクイーンステークスに決定。

自身が得意とする1800m。
ゴールドシップ産駒と相性の良い札幌競馬場です。

鞍上は数多のゴールドシップ産駒を勝利へ導き、(Xなどで)ローカルのルメールや札幌のルメールと呼ばれる丹内祐次騎手。

ローカル戦に強く、ゴールドシップ産駒の特徴を捉え勝ちきれない子を勝たせ、ゴールドシップ産駒ウインキートスで目黒記念(GⅡ)を勝利した実績のある騎手です。

クイーンステークスの斤量はグレード別定
コガネノソラ、ボンドガールは51kgの最軽量

丹内騎手が51kgに騎乗するのは2020年6月13日コスモジェミラ(ゴールドシップ産駒)の駒ヶ岳特別以来、約4年1ヶ月ぶり。

武豊騎手が51kgに騎乗するのは2018年10月27日プリュスの国立特別以来、約5年9ヶ月ぶり。

普段は乗らない軽斤量に乗ると言うことは、2人とも厳しい減量をしたのではと想像します。
苦労してでも乗りたい魅力が2頭にあったのではないでしょうか。

丹内騎手は調教から乗り込んでおり、インタビューでも自信満々。

「早くから騎乗が決まっていたので段階的に絞りました。今の時点(水曜)で49.7キロ。今から競馬でも行けまっせ」とややハイテンションな返答で、仕上がりは万全の模様。
あとは馬の状態だが「中間もつきっ切りで調整してますが、非常にいい動きでしたよ。力は出し切れると思います」と同じく万全だそうです。

このレースには実績馬が多数出走。
22秋華賞馬スタニングローズ
22フローラS(GⅡ)覇者エリカヴィータ
23紫苑S(GⅡ)覇者モリアーナ
24中山牝馬S(GⅢ)覇者コンクシェル
23フェアリーS(GⅢ)覇者キタウイング
24フェアリーS(GⅢ)覇者イフェイオン
そして
昨年クイーンS2着のゴールドシップ産駒のウインピクシスや、ウマ娘を運営するサイバーエージェントの代表取締役が馬主の実力馬ボンドガール。

1番人気は23NHKマイルカップ(GI)2着、24阪神牝馬S(GII)2着でルメール騎手が騎乗するウンブライル。


2024年7月28日
札幌11R 晴/稍重 芝右1800m
コガネノソラは7枠12番

外からの競馬となったコガネノソラ。
中団につくも外を回る形に。

4コーナーの終わり、コガネノソラを含む外の馬が少し膨れ内の馬との間に隙間ができる。
ぽっかりと開いたその隙を見逃さず追い込んでくるボンドガール。

直線は混戦。
ゴールまであと少し。
横一線。

抜け出したのはコガネノソラ。
迫るボンドガール。

コガネノソラかボンドガールか。

先にゴールへ飛び込んだのは…

コガネノソラ!!

アタマ差凌いで接戦を制したコガネノソラが見事クイーンSを優勝しました!

1:47.4コガネノロラ
1:47.4ボンドガール
1:47.5アルジーヌ
1:47.5ドゥアイズ
1:47.5コンクシェル

0.1秒以内に5頭が集まる大接戦。
手に汗握る一戦でした。

丹内騎手は2022年エルムステークスのフルデプスリーダー以来、ゴールドシップ産駒では2021年目黒記念のウインキートス以来の重賞制覇。

丹内祐次騎手
「スタートでどういう風に乗ろうか決めていたんですけど、まあまあゲートも出ることが出来て、51キロなので多少外を回っても大丈夫だなというのは自分の中でありました」
「落ち着いて乗っていこうかなと思って、どっかで動ける位置ににいればいいかなと思っていました。いいスタートでした」
「手応えもあったのでどこから動いていこうかというところでしたが、攻め馬も乗っていましたので、この馬のことも把握していましたので自信を持って仕掛けていました」
「攻め馬もいい脚使えてたので自身はありました」
「見た目はそんなに走る感じしないんですけど、実際乗ってみたらすごくバネもあってすごく良い馬です」
「また乗れるといいです。とりあえずまずは無事にいてくれればいいです」

筆者は「見た目はそんなに走る感じしないんですけど」で笑ってしまいました。

2着ボンドガールの鞍上武豊騎手のコメントには「あと2歩でした」とありました。
たしかにあと少し長ければ…なんてタラればはいくらでも考えられますが、しかしやはり1800m三連勝の実績馬は伊達ではなかった。

各騎手のコメントはこちらの記事

さすが札幌のルメール。
別の動画ではレース前でのインタビューと共に札幌競馬場を解説しています。

コガネノソラは秋華賞へ直行。
筆者としては丹内騎手はローカル巧者でありますが、京都での騎乗は改修工事後はわずか4レースのみ。通算でも42レース1勝と経験があまりないのが心配。
とはいえ手の合う丹内騎手とのコンビも見たい気持ちも。
続投か、はたまた別の騎手になるのか気になるところです。

コガネノソラの血統

ラフィアンにもコスモにも所属しなかったコガネノソラ。
その血統はというと、実は良血。

父ゴールドシップ
母マイネヒメル
母父ロージズインメイ

近親
叔父ウインマーレライ(GⅢラジオNIKKEI賞)
叔母ウインマリリン(GⅠ香港ヴァーズ、GⅡフローラS、GⅡ日経賞、GⅡオールカマー)
コラソンビート(GⅡ京王杯2歳S)

祖母は名牝コスモチェーロ。

2005年に海外から輸入され9戦1勝。
繫殖牝馬となったコスモチェーロの所有牧場はビッグレッドファームからコスモヴューファームと変わり、2023年4月27日にその生涯を終えました。
子、孫、ひ孫の三世代連続重賞馬輩出。まさに名牝。

コスモチェーロの娘たちはマネヒメルがBRF、ウインセルリアン、ウインマリリンがCVFで繁殖入りしました。(ウインセルリアンは2022年に転売不明に)

そのためコスモチェーロの子孫達はBRFとCVFの二か所から生まれ、CVF生産馬はウインに、BRF生産馬はラフィアン・コスモのクラブに所属する可能性が高いのですが…
コガネノソラは5月6日生まれという遅生まれなので馬体が小さかったのか他にも理由があるのか謎ですが、ビッグレッドファームの牧場持ち馬に。

そしてコガネノソラの血統の特徴はもう一つ、母父ロージズインメイ。

同配合で有名なゴールドシップ産駒はオークス馬ユーバーレーベン
勝ち上がり率も高くゴールドシップ産駒のニックスではと呼ばれる金薔薇配合から2頭目の重賞馬が誕生しました。

明暗

このレースに出走していたウインピクシスは最下位でゴール。
レース後に鞍上横山和生騎手が心配なコメントを残しました。

横山和騎手「上がりかけに歩様が悪くなった。何もなければいいんですが…」

その後のエコー検査で「右前繋靭帯不全断裂」で競走能力喪失と診断。

上原調教師「年齢を重ねて蓄積されてきたものもあったのだと思います。ジョッキーが無理をしなかったおかげで命には別状なく、無事に繁殖牝馬として生まれ故郷に戻せることにはホッとしています。重賞を勝てる力はあったのに勝たせてあげられず、申し訳ありませんでした。優れたスピードがある馬で、いいお母さんになると思いますので、子供に期待しています」

横山和生騎手の判断で最悪の事態は免れましたが、重賞まであと一歩のところまで来ていたウインピクシス。

これが最後のレースとなりました。

ゴールドシップ産駒の谷間の世代である3世代目で最も重賞に近かったウインピクシス。

奇しくもラストレースの勝馬が同じゴールドシップ産駒、同じ母父ロージズインメイのコガネノソラ。

まるで世代交代のバトンタッチを見ているようでした。

ウインピクシスが成し得なかった重賞勝利。
いつの日か母に似たかわいい仔が成し遂げる日を願っています。

最後に

2024年2月9日
マイネヒメルからゴールドシップ産駒の栗毛牡馬が誕生しました。
コガネノソラの全弟。
2月9日と遅生まれが多いゴールドシップ産駒の中でありがたすぎる早生まれ。
期待しかありません。
贅沢言わないからダービー勝って。

オークスは残念な結果になりましたが、ゴールドシップ産駒のオークス出走は5年連続。
しかも2021年生まれのゴールドシップ産駒牝馬はわずか23頭という5世代中最少の頭数でした。

毎年生まれる競走馬は7000頭とよく言われますが、その中からオークスへ出走できるのは18頭。

出走のボーダーラインは毎年変わりますがゴールドシップはその狭き門のオークスへ毎年牝馬を送り出し、出走した5頭中4頭が重賞馬になっているのです。

ウインマイティー・マーメイドS(GⅢ)
ユーバーレーベン・オークス(GⅠ)
ゴールデンハインド・フローラS(GⅡ)
コガネノソラ・クイーンS(GⅢ)

コガネノソラの次走は10月13日の「秋華賞」
秋の女王を決める決戦はクイーンS以上の猛者たちが集うことでしょう。

オークスよりもゆったりとしたローテとなります。
丹内騎手のコメント通り「無事にいてくれれば」それでいい。

秋の空を黄金色に染めるその日を願っています。

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