【コロナ時代の出産体験記】 出産は想像の10倍壮絶だった #えりらざぴ出産レポ
先日念願の第一子を出産した。
コロナで立ち合いも面会も一切禁止の中、丸4日かかった出産。
自分が想像していた10倍しんどくて壮絶な、でも奇跡のような体験だったので、忘れないようにこの出来事をnoteに記録しておこうと思う。いつか出産を経験、もしくは立ち会うかもしれない全ての人に、何かしら参考になれば嬉しい。
(※ 前置きをしておくが、私の出産の場合は控えめに言っても「幸せで素敵なお産♡」とは言い難いものだった。だが、出産は100人いれば100通り存在するので、私の例は本当に一個人の例として捉えてほしい。)
里帰り出産、計画無痛分娩を選択した理由
私は現在東京に在住している。地元は滋賀県なのだが、当初私は里帰り出産をすることは全く考えておらず、無痛分娩の多い東京の病院で産むつもりでいた。
だが、産む予定だった東京の病院で妊婦健診を受けた時に、退院後すぐに産休で滋賀県に帰る予定であることを告げると、「出産直後は母体も赤ちゃんもとても身体的ダメージが大きいので、長距離移動はやめた方が良い。里帰り出産にした方が良い」と諭され、結局滋賀県で産むことになった。
無痛分娩を選択した理由はシンプルで、「痛いのは嫌だ」ただそれだけだった。科学の進歩によって痛さを軽減できるのに、そのメリットを享受しない選択肢はないと思ったし、私の周りは無痛分娩で出産している友人も多く、全く抵抗感はなかった。
友人の無痛分娩体験レポートなどを見ていると「無痛のおかげで産後の回復もとっても早かった!」「お産のプロセスと赤ちゃんに集中できてとても素敵なお産になった」「無痛最高」と、ポジティブな意見がとても多かったので、問答無用で無痛分娩を選択した。
無痛分娩は、硬膜外麻酔(脊椎らへんに入れる麻酔)を伴うので、麻酔医の方が常駐しているような大きな病院などでないと、計画無痛分娩で行う事が多い。(計画無痛分娩とは、自然の陣痛を待たずに麻酔をかけ、陣痛促進剤を打ち、人工的に陣痛を起こすことで分娩日を計画する分娩方法。つまりあらかじめ産む日を決める)自然の陣痛が起こってから麻酔を打つ、だと麻酔が効かない事も多いらしい。
私の産院も、計画無痛分娩のみ対応していたので、それで行くことにした。
事前の無痛分娩説明会で、初産での無痛分娩は自然分娩よりも時間がかかる可能性が高いということやその他様々なリスクも高まるという説明をされたが、その時の私は「でもみんな無痛分娩でめっちゃいい感じに産んでるし!私骨盤広いし絶対安産や!2〜3時間のスピード出産とかになるかも〜〜ワクワク〜〜〜〜!!」というアホみたいに楽観的な考えでいた。
コロナ禍での立ち合い・面会の禁止
産院から予定日1ヶ月前には地元に帰ってきてほしいという依頼があり、私は一足先に実家に帰っていたのだが、その矢先に新型ウイルスによる緊急事態宣言が出された。立ち合いを希望していた夫は、急いで東京から滋賀の私の実家に駆けつけてくれて、その後出産予定日まで私の実家で過ごすことにした。
だが、どんどん状況は悪くなるばかり。初めは「旦那さんのみ立ち合いができる」だったところから、「旦那さんの立ち合いは生まれる直前の1時間のみ」になり、最終的に「立ち合いも面会も一切禁止」となった。
初めてのお産、たった1人で迎えるのは不安が大きかったが、こればかりは仕方ない。それでもせめてオンラインで生まれる瞬間を共有できればとスマホ用のアームを購入し、zoomでお産ライブをすることにした。
また、せっかくこんな一生に一度あるかないかの体験なんだから、もっと多くの人ともこの体験をシェアしたいと思い、ツイッターで「#えりらざぴ出産レポ」というハッシュタグで発信をすることにした。
これで産む準備は万端である。いざ、入院へ。
入院1日目 明日の出産に向けてドキドキワクワク
まず入院1日目は昼の14時からの入院。
「この日は何も処置ないですよ〜明日から始めますよ〜」と初めから言われていたので、心はリラックスとドキドキワクワク高揚感の入り混じった不思議な気持ちだった。
時系列のメモはこんな感じ👇
入院中は事あるごとに、このNST(ノンストレステスト)というモニターをつけられる。赤ちゃんの心拍とお母さんのおなかの張りをモニタリングする装置なのだが、これをつけてる間はずっと寝たきりで、少し動くと正確に赤ちゃんの心音などが取れなくなるので、じっとしてなければいけない。
シャワーは硬膜外麻酔のチューブを背中に入れると入れなくなるので、今日から暫く入れない。
こんな感じでアームをベッドに取り付けて、旦那さんとzoomをしていた。
入院2日目 今日産む!と思ってたのに・・・
さあ、2日目から陣痛促進剤投与開始である。
今日産むんだ!と意気込んでいた私であったが・・・
陣痛促進剤を投与したら、すぐに陣痛が来て、すぐに麻酔を投入して、当日中にポーン!と生まれるもんだと思っていた私(謎の楽観主義)は、バルーンを入れても促進剤を入れても全く進捗がない事に驚いた。
促進剤も点滴で入れると思っていたのに、錠剤での投与だったので、それが効かなかったんじゃないかと考えたり、助産師さんがかなり威圧的で嫌な気持ちになったりで、なんだかずっとモヤモヤしていた。
ただ、初産の無痛分娩で1日目で生まれたらラッキーだよと言われていたので、まあ今日はこんなもんかとガッカリしながら1日を終えた。
入院3日目 バルーン抜けた!今日こそは!!!
さすがに今日産めるかな〜??と思いながら迎えた3日目。
この日は点滴での陣痛促進剤が投与され、「おお!これこれ!」という感じだった。
ただ、点滴での促進剤は分娩台の上でずっと打たなければいけないため、テレビも何もない分娩台の上で朝9時から夕方4時まで7時間ずっと寝たままの状態。
お腹にNSTのバンドを巻いているので、体勢変えたりもできず、ずっと仰向けで横たわったまま。そして話し相手も誰もいない分娩室で1人陣痛が来るのを待つ・・・。これがなかなかキツイ。
昨日入れたバルーンが抜けた(=子宮口が昨日より開いている)ことが唯一進捗が感じられる嬉しい出来事だった。
入院4日目 人工破水するも・・・
さあ、入院4日目。
出産予定日からもう3日目なので、流石に今日こそは産めるよね・・?とすがるような、祈るような気持ちでいた。
ただ、朝の内診で子宮口の開きが振り出しに戻っている発言を聞いて、絶望から1日が始まる。
もう毎日分娩台でずっと1人で寝たきりで、気が狂いそうだった。この状態が永遠に続くような気がしたし、SNSなどで「明日とうとう出産です〜」みたいなことを呟いていた反面、まだ生まれてないのかよと思われてるだろうな・・という謎の負い目もあった。
ただ、この日は大きな進捗があった。人口的に破水させてもらったのだ。
もうこれが泣き叫ぶほど痛かった・・・。とにかく思いっきり手を突っ込まれてグリグリされるのだが、想像を絶する痛みだった。
でも破水したことで、何人から「人口破水したらそっから2〜3時間くらいでお産進んで産んだよ!」という声を聞いていたので、「これで・・・これで私もやっと・・・産める・・・」と安堵していた。
ただ、結局この日も最後まで本陣痛に繋がることはなく。お腹は痛いだけで、それをひたすら何時間も我慢して1日が終わった。そろそろ限界だった。
入院5日目 限界突破の末、 とうとう息子爆誕
もう憔悴しきって臨んだ5日目・・・。火曜日に入院したのにこの時もう土曜日になっていた。なんで本陣痛来ないのか。なんで赤ちゃんは降りてこないのか。沢山の人が「ママのお腹が気持ちよくてずっといたいんだね」ってとても温かい言葉をかけてくれて救われたけど、それでも、流石に何かおかしいんじゃないか、自分に欠陥があるんじゃないかと思い始めて不安で一杯だった。
そんな気持ちで、最期のXデーを迎える。
最終日は臨場感を伝えるため当時のメモをそのままnoteに貼ります👇心折れすぎてネガティブな発言多めですがご容赦ください。
それでは時系列でどうぞ。
8:30
・内診、昨日と進捗変わってないと言われる。まじか・・・嘘やろ・・
9:47
・陣痛促進剤の点滴入れ始める
・点滴痛いので反対の手に変えてもらうが、そっちの方が痛い
・もう痛い事ばかりでこんなことでも心が折れかける・・・
11:00
・助産師グリグリ内診 嫌いなお局助産師さん・・・
・麻酔まだ入れてないからグリグリがめちゃめちゃいたい😭
・終わって1人で分娩台に横たわっていると、もうこれがいつまで続くのかと考えて涙が止まらない
・旦那とお母さんとzoomで励ましてもらう
・泣いてるの見られるの恥ずかしいので何とか涙を止めようと思うが止まらない
12:30
・お局助産師さんに泣いてるの気付かれて、「なんかいじわるしてるみたいでごめんねー」といわれる・・つらい
・これだけお産進むの時間かかってるのでエコー撮って異常ないか確認
・赤ちゃんが横を向いてるらしい
・陣痛促進剤本当は30分ずつに一回お薬の量増やしていくのにお局さんが放置して全然きてくれない
・1人分娩室に放置状態・・・
・お局さんが薬忘れて、「あー忘れてたごめんごめん忙しくてさー私三人ほしいわ〜」とか言ってて怒りと悲しみがこみ上げる。こっちは必死なのに・・
12:50
・先生に内診してもらう
・子宮口4cm。昨日よりまた狭くなってしまってる・・なんで・・・
13:00
・陣痛が痛くなってきたので、麻酔入れるとのこと
・痛みレベル10段回中何かときかれ4と答える、生理痛の最上級レベル
15:00
・陣痛が本格的に痛くなって来たが、左側だけ麻酔が効かない
・コールドテストも右は何も感じないけど左は冷たいのをしっかり感じる
・ずっと左が痛いと助産師に伝えるが、放置される
16:00
・1人で分娩室で泣きながら痛いー痛いーと悶絶する
・全然無痛分娩ちゃうやん・・・多少痛いとかじゃない、人生で経験したことない痛み
・1〜2分間隔で耐え難い痛みがやってくる、「あ、やばい、きたきたきたきたきたーーーーーもうやめてええええーーーーー(号泣)」というのを何十回(いや多分何百回)も繰り返す
・助産師さんが腰をさすってくれるとかもない、分娩室で孤独
・もしコロナじゃなかったら旦那さんやお母さんに付き添ってもらえたのにな・・
・横になったり、あぐらかいたり、姿勢を変えることを許してもらう
・でも全然痛い
・左側だけ、気絶するような痛み
・陣痛が来るたび、顔を交互に横に背けるほどの痛み
・人生で一番、今まで経験した中でレベチの痛み
・自分の手で支えてる板に大切な人が乗ってて下がサメだらけで、ガーンってハンマー手に振り下ろされるたびに骨折れてもその板が落ちないように耐え続けるみたいな(これは当時のメモだけど意味わからん笑 多分逃げられない戦いを表現したかったんだと思う)
・腰を車にゆっくり弾かれ続けるみたいな
・睾丸を定期でゆっくり握り潰され続けるみたいな
・許して助けてと言ってもずっと十何時間も続く拷問
・いつ終わるかはわからない
・お局助産師が破水の抗菌処理のための点滴入れ忘れてていれにくる
・点滴の入りが悪いと言ってまた違うところに点滴を刺される
・すいませんもっと優しくしてください。本当に痛いんですって懇願するも、点滴刺さってる部分をギュッと押したり、まじでわざとやってる?ってくらい乱暴にされる
・ただ点滴はうまかった。3つ刺した中で一番痛くなかったのでそこだけ評価。さすが年の功。
17:00
・助産師交代
・怖い嫌いなお局さんから若い人へ
・若い人も初めての人で不安いっぱい
・先生とお局と若い人が内診
・いい感じらしいがまだ赤ちゃんは高い位置にいるとのこと
・子宮口はだいぶ柔らかくなってきたと
・麻酔が左側だけ効きが悪いことを必死に伝えるが、「精神的に麻酔聞いてないって思っちゃって痛いって思っちゃってるだけやから。もう陣痛弱くなるから麻酔追加もできないし我慢しかないわ!」「内診で痛くないなら麻酔は聞いてるから!ただそう思ってるだけ」ってずっと言われて殴りたい気持ち。本当に痛いんじゃあ。。。
・でも陣痛が痛すぎて泣いててそれどころじゃなかった
・陣痛が弱くなるのも嫌だから泣きながら耐えるしかなかった
・早く産むには我慢するしかない
18:00
・熱が38.5度になる
・インフルエンザになったときみたいに視界が狭まりぼーっとする
20:00
・さっきから全然たってないうちに子宮口全開と言われる
・急いでお産の用意をすると言って、助産師さん用意し始める
・いきみかた指示されてひたすら1人の助産師さんが準備バタバタしてる横で、1人で死に物狂いでいきむ
・いきみかたは陣痛きたら深呼吸して息止めておへそみて思いっきり息が続くまでいきむ
・目は開く
・きばるみたいに!
・息切れたら2回目!
・助産師さんと私1対1やしなんかイメージと違う、もっと人いると思ってた
・放置されて1人でいきんでる私何?
・いきむの上手ーと言われる
・30分くらいで、もうあと2cmとか言われるからあと5回くらいいきんだら出てくるんかと思いきや、全くそんなことはなかった
・ここから3時間続く地獄
・とにかく必死
21:00
・もう無理助けて帝王切開してもうこれ以上無理ですうううと泣き叫ぶ😭今思い出しても辛すぎて泣ける
・本当に泣き叫んで助けを求めてた
・もう休憩させて欲しいと懇願する、却下される
・体勢を横向きに変えるがあんまり踏ん張れてる気がしない
・もう気が遠くなりそう、というか意識朦朧
・途中で男性の医師と看護師さん追加
・手をグリグリ入れられるが手を入れてもらってる時の方が全然マシ
・ずっと入れててください!!!という感じ
・麻酔が効いてないとひたすらいう私
・まだですか、後どれくらいですか、とひたすら聞くが、まだもうちょっとかかるねーと言われ続け「もう無理です・・・もう無理です・・・」ととにかく泣いていた
・途中で携帯の電源切れて家族とのzoom切れる
・意識朦朧の中看護師さんに頼んで、iPadに切り替え
21:30
・先生がなんか痛みを和らげる処置を考えくれてると助産師さんに聞かされて藁にもすがる思い
・もう帝王切開になってもなんでもいい早くこの苦しみから解放されたい
・手術服みたいなものを着て先生登場
・私と赤ちゃんも体力がなくなってきて陣痛が弱くなってるから吸引分娩をしますとのこと
・違う麻酔を入れてもらう
・ちょーっとだけ痛みマシになったかも。。
・なんかでっかい吸引の機械が入るように、会陰切開をする
・ジョキジョキ切られてるのがわかって怖い、たまに痛い(気がする
・そして吸引の機械が入り(ちょっと見えたけど巨大な鉄の塊だった)、陣痛が来るタイミングでまたいきむ!陣痛がこのときちょっと遠のいてて間隔があく
・陣痛が来たタイミングで看護師さんが思いっきり私のお腹を押す
・そして最後!なんか大きな塊がやってくる感覚がわかる
・もう満身創痍
・最後の一踏ん張り
・頭が出た!!うおおおおおおお
・股の間から人間が出てきたああああ
・すごい!!!この瞬間ビデオ撮りたかった
21:49
・息子爆誕
・でも泣いてない
・となりでなんか助産師さんと看護師さんが処置してる
・怖い
・場が凍りつく
・呼吸器をつけられる息子
・大丈夫?大丈夫?こわい
・でもなんとかソフトな泣き声を聞かせてくれた
・怖かった。。。
・すぐ呼吸器も取れて
・抱っこもできた、わがこ。。。。
・大きい。。。。。3354グラムだって
・可愛い、、、
・zoomで家族みんなで安堵・・・
・ベビーは色々な処置のためちょっと連れていかれる
・胎盤とかが出る、この辺もう記憶ない
・会陰切開したところ縫われる、なんか引っ張られてる感覚、麻酔効いてて痛みはない
・吸引分娩なので、裂傷が大きいのと失血量も多かったらしく(1リットル以上)そのまま2時間分娩台の上で点滴をすることに
・ホッとしたのか、急な吐き気に襲われ、吐く
・隣のベッドには赤子が寝かされ、2時間赤子と2人の時間を過ごす、幸せ・・・ほっぺたぷにぷに・・・やっと会えた・・・感動
・その間に各所に出産報告など
・2時間後、赤子は病院側に預かってもらって、私は自室に帰る
・足がガクガク、車椅子に乗せられて運んでもらう
・トイレが怖すぎて恐る恐る・・・これからしばらくトイレの恐怖と向き合うことになる
・精根尽き果てて、死んだように眠る
・・・と、こんな感じで、とうとう、とうとう、4〜5日に渡る苦闘の末、我が息子が爆誕した。
🔼1日中泣きすぎて目がパンパン
全て終わって思うが、私は完全に出産をなめていた。
もちろん大変なのはきっとそうなんだろうと思っていたが、想像の何倍、いや何十倍も凄い体験だった。
人によっては、私ほど手こずらなかった人も、すぐに産めた人も色々いると思うが、少なからず世の中のお母さんがみんなこの命がけの出来事を体験してると思うと、全員偉すぎて盛大に表彰してあげたい。
今日で息子が生まれて1ヶ月
今日で息子が生まれて1ヶ月になる。
毎日毎日コロコロいろんな表情をし、すくすく成長していく我が子を見て、この歳になって初めての体験をいくつもさせてもらっている。今まで見たことのなかった新しい世界が開けた感じ。
そして言わずもがな、我が子はとんでもなく可愛くて、愛しい。本当に頑張ってよかった。出会えてよかった。無事に私たちのもとに生まれてきてくれて、本当にありがとう。
2020年。
思い描いていたような2020年とは大きく違っているけれど、我が子にはこの激動でカオスな時代を、強く、しなやかに、生きていって欲しい。
そしていつか彼が大きくなった時、5月の初めの、この人生で一番心に残る体験を、話してあげようと思う。
PS.
私はSHEという会社をやってるのですが、産休中ずっと会社を守り抜いてくれたSHEのメンバーには本当に感謝しかないです。
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