すべてのお母さんに、自由を。
このnoteは、LINEを使って家族や友達にギフトを贈れるサービス「LINEギフト」から、母の日に気持ちを伝えるため、思い出を振り返る「ようやく気づいたありがとう」という企画で依頼を受けて執筆しました。
私の母は、本当にできた人だ。
私は生まれて一度も、母が弱音を吐いた所を見たことがなかった。
私は3人兄弟の長女で、1歳下に双子の妹弟がいる。
物心ついた頃からそれが当たり前だったので何も思ったことがなかったが、今思うと、当時母1人で3人もの赤ちゃんを見ていたということになる。
私は0歳の息子をパートナーと2人で見るだけでも毎日必死なのに、日中母一人でどうやって乗り越えていたのだろうと今でも不思議だ。
母は生まれ育った京都から父との結婚を機に滋賀県に移り住んできた。住み慣れた場所を離れて、友達もいない田舎に引っ越すのは、きっと寂しかったと思う。
そんな中、ほぼ3つ子状態の我が子とのみ、向き合う毎日が続くわけだ。母は働いていた銀行をやめて、専業主婦になっていたので、社会との繋がりもない中で、自分の人生をほとんどすべて子供に捧げてくれた。
母は、子供だけでなく、誰に対しても愛情深く、接する人だった。
私から見た母の印象は、何事も手を抜いたり嫌がったりすることなく、粛々ときちんと物事をやり抜く人。強い責任力と忍耐力に、そこはかとない愛情が装着された人。
子供の頃から、母が理不尽な場面に遭遇する所も沢山見てきて、子供ながらに心を痛めていたが、そんな時も一切弱音を吐かずに、気丈に振舞う人だった。
そんな母とのエピソードで忘れられない事がある。
一年前、里帰り出産で子供を産み、実家から検診に向かう車の中でのことだ。
私はSHElikesという女性向けのライフ&キャリアスクールを創業し、日々女性のキャリアや生き方について考える職についている。
仕事は大好きで、自分が子供を産む前も、自分が将来子育てと仕事をバリバリ両立していくんだという事を信じて疑わなかった。
そして満を辞して産休に入り、出産後も3ヶ月育休を取らせてもらうことになったのだが、その3ヶ月で感じたのは、子育ての楽しさや幸せを知ると共に、仕事人としての自分のキャリアが遠のいていくような感覚だった。
里帰りしていたというのもあるかもしれないが、今まで24時間会社のことを考え、起きているほとんどの時間をPCの前で過ごしていた自分が、ぷっつりと社会との糸が切り離され、自分は社会の役に立っているのだろうか...とじわじわ自己肯定感が蝕まれていくのを感じた。
母との車の中での会話は、そんな矢先の事だった。
何気ない仕事の話をしている中で、母は言った。
「実はお母さんも、あなた達が小さい頃に、お花屋さんで働きたいってお父さんに言った事があったんよ。
どれだけ頼んでもあかんって言われたけどな。」
「お母さんもずーっと何年も子育てばっかりしてきて、しんどいなぁって思う事があって。
スーパーの花屋さんで求人のチラシ探してきて、お父さんに直談判したねん。でも許してもらえへんかった。」
「お母さんは、恵里と違ってそんな才能もないから。
でも自分の力でちゃんとお金を稼いで、自由が欲しいと思ってな。
お花屋さんはあかんかったけど、そのあとお父さんの会社を内職で手伝うようになって。親戚のひとたちと働いて話すだけやけど、それでもどれだけ救われたか。」
この話を聞いた時、私は内心衝撃を受けた。
私は、母が「働きたい」「自由になりたい」と思っていたことを
一つも知らなかった。
私たちと過ごす日々の中で、母はそんな部分を一度も口に出したことはなかった。
家族と子供の側にいることだけが、おこがましくも母の幸せなんだと思い込んでいた。そんな自分にそのとき気づいたのだった。
母も自分と同じだった。
一人の女性として、自分の可能性をもっと広げたかっただろうし、
様々な新しいことに挑戦したかっただろう。
花屋さんで働きたかった。
パン屋さんで働きたかった。
社会の一員として自由な存在でいたかった。
そんな、当たり前の個人としての欲求を、沢山押し殺してきた過去があったのだと思うと、車の後部座席で涙が止まらなかった。
母は今、幸せだと思う。
それでも、過去の母にタイムマシンで会えるなら。
私が
彼女の底知れぬ愛情深さと、
彼女の先回りした想像力や気遣いと、
彼女のとんでもない未知なる可能性に、
気づかせてあげたい。
そしてそっと自由への背中を押してあげたい。
タイムマシンが存在しない今、
自分にできることは、
過去の母のような人にそっと寄り添い導くことと、
母がやりたかったこと、叶えたかった夢を私が見せてあげることだと思っている。
世界一尊敬する、私のお母さん。
お母さんに才能がないなんて、嘘です。
私はお母さんが誰よりも素敵で、
愛する才能、愛される才能に溢れている人だということを
知っています。
私はお母さんの娘に生まれてきたことを、
一生誇りに思います。
これまでも、これからも、ありがとう。
「ようやく気づいたありがとう」というテーマで執筆しました。お母さんに向けて、今だからこそ言えるありがとうを伝えてみませんか。
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