#ありがとう亀さん。巨人・亀井善行選手の引退セレモニーから学んだこと
2021年10月21日、読売ジャイアンツの亀井善行選手が引退を発表。23日に本拠地・東京ドームで引退セレモニーが行われ、17年間の現役生活への思いを語った。
自分はDAZNでセレモニーを観ていただけだけど、彼がオレンジ色の花々で彩られたスタンドマイクの前に立った瞬間から涙がこみ上げてきてしまい、そこからチームメイト1人1人とハグを交わすまで、ずっと泣きっぱなしだった。
引退への思いを語る彼が、背中越しにーー背番号9越しに映し出される映像を見て、「この見慣れた後ろ姿がもう見れなくなるなんて信じられない」と胸が痛んだ。
でも同時に、学ぶことも多かった。
私が引退セレモニーや引退にまつわるコメントのいろいろを見聞きして思ったのは、亀さんが私が思っている以上に謙虚で、慈悲に満ち溢れた人だったということ。
たとえば引退会見では家族(自身のお子さん)に対して、
「子供たちも学校で何か言われてるんじゃないかとか不安しかなかった」
(出典:https://twitter.com/hochi_giants/status/1451055876387663873)
と、プレイヤーでありながら子どもの気持ちを案じていたと言っていて、家族の幸せを願う素敵な父親なんだなと思った。
ファンに対しても、引退セレモニーで
「ジャイアンツファンのみなさま、今シーズンはいいプレーが見せられず、本当に申し訳ありません。心が折れそうになったことも何度も何度もありました。その心をつなぎとめてくれたのが、ファンのみなさんのあたたかい拍手でした。あの歓声がもう聞けないと思うと、さみしいです。本当にファンのみなさん、一人一人に頭を下げたい気持ちです」
(出典:https://hochi.news/articles/20211023-OHT1T51220.html?page=1)
と言っていて、(野球選手であるからといって)決して驕り高ぶっていない姿勢が見えたし、いち選手としてだけではなく、1人の人間として思いを語っているんだなと思えた。特に「一人一人に頭を下げたい気持ち」の部分が、彼の謙虚さを物語っている気がする。
そして個人的に一番胸を打たれたのは、チームメイト、特に若手選手への思いを語った時。
「尚輝、ポジティブに頑張れよ。聖弥、あんたは天才だから。もうちょっとだけ頭使っていけよ。きっしゃん、お疲れ。勇人、あとは任せた。3000本目指して頑張ってください」
(出典:https://hochi.news/articles/20211023-OHT1T51196.html?page=1)
引退発表直後の動画でも、ファンに向けて
「若い選手にもいい選手はたくさんいますので、みなさん、若い選手や現役選手にも温かいご声援をしてあげてください」
(出典:https://www.instagram.com/p/CVSgANQlCUj/)
と語っている。
これらの言葉を受けて、亀井善行という人物はなんて利他的で、自己犠牲的な人なんだろうと感じ入った。
プロ野球界は弱肉強食。他の選手よりもいい結果が出なければ、レギュラーから外されることも、1軍から外されることも、契約を解除されることもある。だから「我先に」という精神で、練習や試合に臨んでいる選手が圧倒的多数だと思う。
亀さんにももちろん闘争心はあっただろう。でも彼が違うのは、競争心を持ちつつも「周りを生かすことを選び続けた」ことだ。
自分のポジションを脅かす存在であるはずの若手選手を見守り、必要があれば自分からアドバイスを送る。そんな親心や愛情やまなざしがあったからこそ、引退セレモニーで尚輝&聖弥に(一言だが的確な)助言を送れたのだろうし、ファンにも「若手を応援してやってほしい」と素直に言えたのだろう。
(そういえば、こんな動画も出ていた↓)
引退スピーチのあとにナインとハグを交わすシーンで、みんなが涙目だったのは慕われていた証拠だ。
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私が亀井選手の引退セレモニーなどで学んだのは、端的に言うと
●競争が激しい世界でも、周りと共存するのは可能だということ
●他を生かそうとすることで、結果的に周りから愛され、信頼され、必要とされる存在になるということ
の2点(もっと出てきそうだけど、キリがないのでこの2つ)。
亀さんは自分について
「坂本勇人みたいなスター選手にはなれなかった。うらやましい部分もあったし、リスペクトしかない」
(出典:https://twitter.com/sanspo_giants/status/1451820733043142656)
と言っているけれど、亀さん自身もジャイアンツの中心選手であることは間違いないし、他球団ファンからも引退を惜しむ声が上がっているし、「巨人といえば亀井」みたいな認識のされ方をしていると思う。
周りを生かしながら自分のポジションを確立することは可能であり、それが「記憶に残る選手」になることにもつながるのではないか。そんなことを思った。引退後も愛されそうだし、球団からもメディアからも、彼のプレースタイル、人柄、言葉は必要とされるだろう。
関わる人すべてを幸せにするある種の「求心力」。それが亀井善行という人物が17年間輝き続けられた理由なのかもしれない。
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長々と語ってしまいましたが、亀井選手、17年間本当にお疲れ様でした。
私は2019年に本格的なジャイアンツファンになったという新参者ですが、それでも亀さんのプレーに何度も心が浮き立ちました。
どうか引退後の人生も幸せなものでありますように。
その前にCS、日本シリーズもありますが、最後の最後まで亀井選手らしさを見せてください!
本当にありがとうございました!!!