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子どもから信頼される親になりたい

これまで「子どもがほしい」「子どもを育てたい」と熱烈に思ったことがないのは、母がわたしのことで悩んでいたのをみて、もし自分が親になったらこんな思いをしなきゃならないのかな、と思った経験からかもしれない。


幡野広志さんの人生相談を愛読している。今日更新された相談文と幡野さんの回答を読み、自分の中学時代を思い出していた。

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わたしは月経の意味も胸のふくらみの理由もよくわからないまま中学生になった。異性の身体のことはなおさらわからなかった。田舎の素朴な小学校では性の知識をふれまわる子もいなかったし、学校では身体の仕組みを教えるだけでセックスの仕方は教えない。家で教えられることもなかった。

中学にあがると一つも二つも先にすすんだ生徒がワンサカいて、無垢だった人たちも嬉々として性的な話題で盛り上がるようになる。左手で輪っかを作り、その輪っかに人差し指を差し込む仕草を見せられながら、知ったかぶりをした。知らないんだとからかわれたくなかったからだ。

廊下に袋のあいたコンドームが落ちているような学校だったから、親はかなり心配しただろう。娘は多分どんどん性的な知識を身につけて、彼氏もできて、その彼氏と二人きりで下校したり空き教室で過ごしたりしている。わたしは中学時代に何人かと付き合ったけれど、そして中には過去に先輩と大人みたいな付き合いをしていたと噂の男子もいた。
(担任はわたしが彼とべったりなのを見ても何も言わなかったけど、一度だけ「身体だけは大事にしろよ」と言った。その先生を尊敬している)

心配しないはずがない。そんなことは当時のわたしでもわかっている。自分の年齢でセックスをするのはリスクが高いと自分なりに理解していたし、何より親にばれて苦しい嘘をつくことになったらと想像すると怖すぎたので、絶対しないと決めていた。それを伝えれば相手も無理強いはしなかった。わたしは親が想像していたよりもずっと、判断のできる13歳であり、14歳であり、15歳だったのだ。

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今日の幡野さんの相談は、小学校中学年の娘がスマホで(おそらく)アダルト動画を見ていたのを見つけて悩むお母さんからのものだった。プライバシーの侵害。これは相手が子どもだろうが夫だろうが絶対にやるべきではない。書かれてあるとおり、信頼を失う。
わたしが中学生だったとき、母はわたしの机の引き出しを開けていろいろ見ていたはずだ。見られたくないものを、見たぞと言って心底嫌な顔をされたのは普段は忘れているがこういう時には必ず蘇る。
もしかすると、いまだに母はわたしが中学生の時セックスを経験したと思っているかもしれない。別に思っていてもいいけど、何を隠そう実際は19歳だ。高校すら卒業したあとだ。

性のことを教えもせず、子どもの目を塞ぐだけが、フィルタリング機能を設定するだけが「子どもを守ること」だと思っているからこんな悲劇が起きる。子どもは(その多くが)セックスをして生まれる。性のことが隠されていては、父母の行為とその結果である自分を尊いと思えない子がいても全然おかしくない。セックスは汚らわしいことではない。

いまはまだ子どもだから判断ができないって仰いますけど、娘さんが大きくなったときに持つべき判断能力を、あなたはどうやって教えるのですか? これからあなたが娘さんの代わりに判断し続けて情報を統制して、20歳で判断権を娘さんに返還したとき、そこには世間知らずで判断能力のない20歳の女の子がいるだけですよ。


わたしはもし子どもをもつことになったら、男でも女でもしっかり教えたい。正しい知識が身を守るし守らせると、信じているからだ。そしてプライバシーの侵害はしない。そう強く思っているので、今は子育てにも向き合えるかなという気になっている。

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