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石田淳一「肖像」

こちらこそ一昨日はありがとうございました。
展覧会を見たあとでナンバーワンを定めるというのはとてもいいですね。私も次からそういう風に鑑賞したいと思いました。勉強になります。

私が会場で、ポットの横にオレンジの3つ並んだ絵が好きだと言ったのはなぜかと考え直してみると、画家の視点に自分を重ね合わせたからかもしれません。
描かれていたのはとても身近なものでした。例えばオレンジを3つ買って、それを無造作に食卓に放っている。使ったままのポットを置きっぱなしにしている。
それ自体は日常にはよくあることですが、それを一列に並べて絵を描こうという、あんなに隅々まで何かを見ようということは通常ありません。

でも、何が対象であっても、細部までくまなく観察するという行為がとても尊いものであるような気がしたのです。
それは普段、自分が身のまわりのものを見たり、耳を傾けたりすることをいかに怠っているかを自覚させられたせいだと思います。


ちなみに私の最近の感覚では、エゴイズムが蔓延る世の中でも、一部から調和の方向へ進もうという人たちが少しずつ増えているのではないかという気がしています。
そういう人たちは「直接性」をそなえています。あるいは「直接性」を志向しようという気概をもっていることが伝わります。
あなたが引用された執行さんの自己認識とそれは通じるように思います。


これは、友人から届いたメールにたいする私の返信だ。
土曜日に半蔵門にある戸嶋靖昌記念館に行ってきた。
そこで展示されていた作品のなかで、友人は平野遼「歩く人」が自分の一作となったとメールに書いてきた。確かに彼はその作品の前で長いこと足を留めていた。

「どの作品が好きでしたか」と問われて私は「これかな。オレンジがみっつ、かわいいなと思っちゃった」と軽率な返事をした。
私は30歳を超えた今でも自分の内面を語ることが怖い。
文面では多少饒舌になれる。それで上記の返事を書いたのだ。

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エリンギ
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