ポールスミスのルームウェア
突然ですが
わたしには6年交際し、結婚して4ヶ月で末期がんがわかり、闘病3年で亡くなった夫がいます。
(詳しくはまたの機会に)
夫の最期は2人が暮らした自宅でのお別れでした。
今日は亡くなった時に着ていたルームウェアのお話です。
入院での検査の結果、末期がんが判明した夫。
12月の出来事でした。
結婚して初めてのクリスマス。判明してすぐに始まった抗がん剤治療で、年内に退院できるかどうか?という状況でした。
交際している時から欠かさずプレゼントを贈り合っていたわたしたち。
突然の出来事でお互いに気持ちはそれどころではありませんが、わたしはクリスマスプレゼントを何にしようか、毎日通院しながら考えていました。
もしかしたら、クリスマス当日も病院かなあ。
これから闘病生活が始まって、なにか役に立つものはないかなあ。
面会から帰る足で寄った百貨店で、ポールスミスのルームウェアを選びました。
朝から晩まで仕事人間だった夫が、これから家で過ごす時間が多くなる。かっこいいルームウェアだったら喜んでもらえるかもしれない。そう思って選んだものです。
がんがわかって3年。
治療の道がなくなり、夫の希望で在宅での生活となりました。
当然毎日着替えるわけで、ルームウェアもローテーションです。
亡くなったその日、着ていたのはそのポールスミスのルームウェアでした。
たくさんやらなきゃいけないことがある中で、わたしの妹(看護師)が夫から脱がせたそのルームウェアをそっとよけて取っておいてくれました。
夫の死後の手続きが落ち着く中、だんだんと悲しさに襲われます。
覚悟はしていたとはいえ、ある程度やらなければならないことがひと段落すると寂しくて寂しくてたまりませんでした。
そんな時のために妹はルームウェアを残してくれていたのかな。わたしは毎晩、夫があの時着ていたルームウェアのにおいをかぎながら、抱きしめて眠るのでした。
毎日当たり前に一緒に寝ていた夫はもうそこにはいませんが、夫のにおいがするのです。
そうして毎日抱きしめて寝ては、匂いが消えないようにとまた密閉して、しまいます。
そうした生活を半年ほど過ごし、密閉したまま大切なものをしまう引き出しに入れて、4年が経とうとしています。
今日、ふと思い出して、引き出しから出して思い切り顔を埋めてみました。
木の引き出しのにおいしかしません。もう夫のにおいはしない。わたしは、これを洗濯することに決めました。
これからはわたしのルームウェアとして活躍する予定です。
重たい話、死別の話が苦手という方、ごめんなさい。
今日どうしてか、そんなことを急にできるようになったんです。
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