引っ越しするか迷ってる

10年前の2月の初めに、東京に引っ越してきた。
あっという間とも感じるし、いろいろ有りすぎた…とも感じる。
父が転勤族だったこともあり、人生で引っ越しは8回。
あと何回引っ越すかしら。

自分の意思だけで引っ越そうと思ったことは進学の1回だけ。
子どもの頃は親の都合だし、大人になってからは誰かと生活を始めることだったり、それが突然終わることだったりするから。

1つの家に積み重なっていく年月のあたたかさも魅力的だけれど、そういう人生にはならなかったのだから、仕方ないと思っている。
こちら側の人生の良さもあるはず。

実家では三世代5人家族で賑やかだった。
女性ばかり12人のシェアハウスで暮らしたこともある。
好きなひとと一緒に暮らす楽しさも、1人で暮らす自由も経験できた。

一緒に住んでいると、距離が近すぎてうまくいかないこともある。
一緒に住んでいると、ただそこにいる存在自体に救われる気持ちになることもある。

きっかけの良し悪しは多少あれど、引っ越しというのは生活の強制リセット。卒業式も入学式もない大人にとっては、立ち止まり、振り返り、未来への希望と恐れを認識するタイミング。どんなときでも変化の前は怖い。

服も食器も本も、全部は持っていけないこともあった。
何年か前まで気に入っていた物が、この先の私にはフィットしないなと気づくこともあったし、泣く泣く手放した物もたくさんある。

家具や家電の買い直しは、単に出費の問題だけじゃなく、失敗したくない決断の連続で精神的にもタフ。

引っ越しの事務手続きは得意になったけど、空っぽになった部屋を見て、毎回CMみたいに泣いてしまう。
このCM本当に好きだから貼っておくね。

引っ越しすべきか迷っている

もうすぐマンションの更新があって、
どうせなら、少し生活をコンパクトにシンプルにしたいと思ったから。
心が自由でいるために。
東京の家賃の高さにはゲンナリもしてる。
住む部屋が、街が変われば、生活も変わる。
最寄駅までの間の寄り道。スーパーの品揃え。お散歩コースの河川敷。

コロナ禍も相まって、いま一番家で過ごす時間が長くなっていて、家の重要度が高まっている。寝に帰るだけの部屋とは訳が違う。

度々思い出す大前 研一さんの言葉。

人間が変わる方法は三つしかない。一つは時間配分を変える、二番目は住む場所を変える、三番目は付き合う人を変える、この三つの要素でしか人間は変わらない。もっとも無意味なのは、「決意を新たにする」ことだ。かつて決意して何か変わっただろうか。行動を具体的に変えない限り、決意だけでは何も変わらない。
「時間とムダの科学 」大前 研一 (著)

遠くに引っ越せば、変えようと思わなくたって、強制的に変わってしまう。

引っ越ししようと思いついたときは、例えば家でオンラインレッスンもしたいし、もう少し広くて家賃も抑えられそうな郊外に住むのもよいなと思ったのがきっかけ。
やれることを増やさなくては、と。

それが、ウォーターサーバーを解約して、棚の位置を変えてみたりとちょっと模様替えをしたところ、急にしっくり馴染んで愛着が増してしまった。
おまけに今まで選択肢になかった「ベッド処分すれば広く使えていいんじゃない?」という考えまで降ってきた。(今日処分した)

ヨガ以外の仕事も変えようと思っているから、あれもこれも変化を起こしまくってたら疲れちゃいそうではある。
本当にこんなこと言いたくないけど、若い頃みたいに無限にエネルギーがあるわけじゃないから、エネルギー漏れは防いで、注力するべきことに集中したい。
慣れているこの部屋に、街に、まだ留まるのもいいのかなぁ…。

映画『あのこは貴族』

映画『あのこは貴族』を見て、印象的だったシーンがある。
ストーリーは、「富裕層」と「庶民」の対比が軸で、松濤のお屋敷でお嬢さん育ちの華子(門脇麦ちゃん)と、地方出身で大学進学で上京した美紀(水原希子ちゃん)の関わりを描いている作品。

2人とも20代後半で出会い、華子は実家よりも更に裕福な家に嫁いでいたが、あまり幸せではなかった。そして、ひょんなことで美紀が一人暮らしするアパートに行くシーンがある。
華子があまりにも真剣に部屋の中の食器、アクセサリー、写真などを眺めるので、美紀は恥ずかしくなり、「こんな狭くてひどい部屋って初めてでしょう」と自虐してしまう。
でも、華子は「落ち着きますね。全部美紀さんのものだから。」と感心した様子で言う。

全部わたしのものしかない部屋

家が小さいから、物は少なくしたい。とことん気に入っているものだけ、大事に手入れして管理できるものだけ。

スマホの充電ケーブルだって、黒は絶対買わなくて、白いのを探して買っている。こだわり。
自分の小さなこだわりが詰め込まれた部屋は、私そのものと言ってもよいくらい。

出張や旅行から家に帰ってくると、帰ってきたなぁ…って、もう1人の自分に会えたようて安心する。

美紀の部屋はそういう部屋。何でも持っていそうな華子だけど縁遠かったもの。

部屋は私そのものだから、部屋が荒れると生活やメンタルも荒れるし、逆もしかり。
自分の中のオカンを発動させて「ほらまたこんな散らかしてー!片づけなさーい」と励ましながらなんとか正気を保つようにしている。

実は、この記事は数週間下書きに保存してあって、書き加えていたのだけど、その間にすっかり思考が整理された。
もうしばらく、この家にいよう。

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