デザイナーがビジネス・アーキテクチャをはじめて4ヶ月の記録

2025年1月1日から、正式にエンタープライズ・アーキテクチャ部署に異動になった。2024年の9月から12月までは、一時的にソフトウェア開発部門から貸し出されている状態だった。それが正式に異動になったのだ。

年の変わり目でちょうど良いので、過去4ヶ月を振り返ってみたい。



はじめに

私は、インタラクションデザイン、サービスデザイン、ヒューマンセンタードデザイン(HCD)等を学び実践してきたデザイナーです。過去10年以上デザイン手法を駆使しつつ、プロダクトマネジメントとビジネスアナリシスなどもやってきました。

そんなソフトウェア開発現場のデザイナーが、4ヶ月前、ビジネスアーキテクチャの世界に足を踏み入れました。この4ヶ月の経験、主要な学び、直面した課題、洞察と反省を共有できればと思います。

4ヶ月の旅の記録

9月:泥の中を泳いでいる

  • チームで使われる言葉の意味すらはっきりわからなかった。どんな質問をすべきかもわからず、泥の海で泳いでいるように感じました。ユーザーや現場の毎日の運用から遠く感じ、最初はデザイナー職を恋しく感じたりもしました。

  • シニアBAの指導のもと、実践を通じてBAの実践を学び、新しい役割に適応し始めました。

10月:基本を学ぶ

  • オンラインコースと実践を通じてEAとBAの基本を学びました。用語、構造、方法論を理解し始め、多くの「アハ!」の瞬間がありました。

  • 一つのターゲットステートアーキテクチャプロジェクトは、BA部分だけでなく、EA全体の実践を理解するのに特に価値がありました。

  • 泥の海が澄みはじめました。

11月:実践、実践!

  • 実践、実践、実践に焦点を当てました。BAの標準的な実践を続け、実践を通じて学びました。

  • できるだけスタンダードに従おうとしましたが、それを特定のコンテクストに適用するのは難しいと感じました。また、BAの実践の課題と限界も見えてきました。

  • TOGAF BA Foundationの認定を取得しました。

12月:応用し始める

  • 一部のBAの実践について自信を持って話せるようになりました。3ヶ月前には何を質問すべきかもわかりませんでした。

  • ヒューマンセンタードデザイン(HCD)の専門知識をビジネスアーキテクチャ(BA)の実践と組み合わせ始めました。BAとHCDの原則を組み込んだBAテンプレートを作成しました。基礎を固めつつ、少しずつ応用が効くようになってきた実感があります。

  • 知識とスキルをさらに向上させるために、ビジネスアーキテクチャギルドに参加しました。

直面した課題

BCマップはユーザーフレンドリーではない

ビジネスケイパビリティ(BC)マップはユーザーフレンドリーではありません。ユーザー(読者/視聴者)に文脈を提供しませんが、これはBCマップの性質に起因します。

BCマップとバリューストリームのどちらが先か問題

最初はBCマッピングから始めましたが、とある部署のビジネスアーキテクチャに取り組んでいる際に、バリューストリームと並行してBCマップを作成する方が効率的であることに気付きました。これについては別で記事を書いています

ビジネスユニットと組織のBC

ビジネスユニットにBCを提示しながら、組織全体のBCも理解してもらわないと、ビジネス側はサイロに入ったままのフィードバックを戻してきます。しかし、両方を全部説明し続けることが効率的なのか、という疑問が湧いてきました。そして前述で気付いた通り、もしやバリューストリームにマップされたBCだけ提示しておいた方が、理解もされやすいのでは・・・と思っています。

スタンダードとコンテクスト

BizBokリファレンスモデルを使用して標準に従おうとしていますが、それではコンテクストを失うため、ビジネスユニットにリファレンスモデルに基づいたBCを説得するのは非常に難しいと感じました。これについても別で記事を書いてあります

誰のためのバリューストリームか

HCDから来た当初、BAの実践にはユーザーと顧客の視点が欠けていると感じました。バリューストリームの顧客はエンドカスタマー(私たちの場合は受益者)であるべきだと思いましたが、リファレンスモデルは内部のステークホルダーの視点からバリューストリームを見ることがあると感じました。例えば、「支援物資を届ける」を、組織が支援物資を届けることがバリューなのか、それとも受給者が支援物資受け取ることがバリューなのか? これも考えたくて記事を書きました

BCカタログの管理が悪夢に

BAツールがないと、ビジネスケイパビリティカタログの管理は悪夢です。組織で買ってくれる(以前使っていたツールはリタイア)ことになっているので待っています。

達成と主要な学び

EAチームと組織への貢献

ビジネスケイパビリティマッピングとバリューストリームをメインに、ターゲットステートアーキテクチャに貢献しました。

私の主要な学びと達成

  • TOGAF EAフレームワークとEAの概念を学びました。

  • BAの方法論と実践を学び、改善しています。

  • 前の役割では学ぶ機会がなかった組織内の様々なビジネスについて多く学びました。

  • TOGAF BA Foundationの認定を取得しました

  • ビジネスアーキテクチャギルドに参加しました。

次のステップと結論

次のステップ

  • BAの実践を学び続けます。これまで初期段階、BCとVSを始めましたが、学ぶことはまだたくさんあります。

  • BAマップテンプレートとアーティファクトを改善し続けます。ビ

  • ジネスとのBA/EAの作業の提示とコミュニケーションを改善します。

  • 将来的にはCBA認定を試みたいですが、BAの経験が数年必要です!

結論

エンタープライズ・アーキテクチャチームに移り、BAの旅を始めたことを非常に嬉しく思います。最初は迷子でしたが、デザインとBAの実践の間に多くの共通点があることに気付き始めました。両方を統合する方法が見えてきて、とても楽しく学んでいます。BAの世界ではまだ初心者ですが、この旅を続けることにワクワクしています。

デザイナー、特にサービスデザインをやってきた人の次なるキャリアとして、ビジネス・アーキテクトは良い選択かもしれないな、と思います。

もともと英語で書いたプレゼンテーションを翻訳したのでぎこちない日本語で失礼。


いいなと思ったら応援しよう!