【補助金ガイド】給与支給総額・人件費の違い
✅「給与支給総額」と「人件費」の違い
本日は、補助事業の申請要件に定められた「給与支給総額」と「人件費」について、2023年9月時点の【事業再構築補助金】と【ものづくり補助金】の公募要領等をもとに要約・解説します。
要領は補助金の種類・募集回で変更される可能性もあるので、必ず申請時点で、当該補助金の公募要領等を確認し、不明点は事務局に問い合わせるようにして下さい。
両者の違いを解説する前に、それぞれの補助金で決められた申請要件を説明します。
✅各補助金要領で定められた申請要件
申請要件を達成する事業計画の策定は、補助金採択の大前提です。
主要な要件は大きく2つあります。
上述の通りで、「給与支給総額」と「人件費」はそれぞれ評価のされ方に違いがありますので、混同しないようにして下さい。
✅「給与支給総額」として計上する費目
では、ここから本題の「給与支給総額」と「人件費」の違いについて説明します。
両者の大きな違いは、福利厚生費や退職金の計上有無です。「給与支給総額」は、福利厚生費や退職金を含みませんが、「人件費」は福利厚生費・退職金を含みます。
人件費は給与支給総額を包括します。
✅【事業再構築補助金】にて言及される「給与支給総額」
残念ながら、事業再構築補助金の公募要領やHPには、給与支給総額について明確な言及はなされていません。
その為次に挙げる【ものづくり補助金】にて言及される「給与支給総額」の定義を使って計上する事業者が多いです。
なお、公募要領には次のように回答されています。
上記から、「法人事業概況説明書」の人件費欄に記載された金額から、給与支給総額の判断がなされている可能性が高いといえます。「法人事業概況説明書」は申請書類として提出するので、人件費欄は正しく整備して下さい。
✅【ものづくり補助金】にて言及される「給与支給総額」
次に、【ものづくり補助金】の公募要領には、「給与支給総額」について、以下の通り言及されています。
さらに、「よくある質問」には、次のような回答があります。
給料・賃金・賞与や、給与所得とされる各種手当は含まれます。一方含まれないものは、福利厚生費と、退職金など給与所得とされないものです。
給与所得とされるものは、下記URLの国税庁回答を参考にしてください。
✅「人件費」として計上する費目
続いて、「人件費」の定義です。
✅【事業再構築補助金】にて言及される「人件費」
『事業再構築補助金』HPの「よくある質問」には下記回答がされています。
給与等だけでなく、福利厚生費や退職金等も含まれます。
✅【ものづくり補助金】にて言及される「人件費」
『ものづくり補助金』HPの「よくある質問」には下記回答がされています。
【事業再構築補助金】と同様に、給与等だけでなく、福利厚生費や退職金等も含まれます。
✅【一覧表】「給与支給総額」と「人件費」に計上する費目まとめ
各項目の該当有無を以下一覧にしました。
✅個人事業主の場合
上述した見方は法人の場合です。個人事業主の場合、「給与支給総額」、「人件費」、「付加価値額」の考え方は以下の通りです。
「人件費」の定義は、【ものづくり補助金】【事業再構築補助金】ともに同様と分かります。
「給与支給総額」は、【事業再構築補助金】では言及されていないので、【ものづくり補助金】を参考に計算すると良いかと思います。
「人件費」に関して、なぜ法人と異なった定義なのか正確には分かりませんが、税制上の配慮かと考えられます。
今回の解説は以上です。前提要件から要件未達・不採択は悲しいので、正しい費目算出をめざしてみて下さい。