フリーネタ台本「1票の泡沫候補」
タイトル:1票の泡沫候補
テーマ:選挙
推奨人数:1人向け
推奨声質:男声
本文
(ため息をついて)
はあ……今回も1票しか獲得できなかったな……
もう、これで6回目の落選か……
でも、俺は諦めない
いつか必ず当選してみせる!
俺がこの国を変えるんだ!
……ん、どうした秘書?
ああ、そうか
この1票投票してくれたのは君か
ありがとう……君がいなけりゃ0票だったよ……
……え?
ああ、知ってるよ
候補者自身が自分に投票していいってことは知ってる
……いや、それはさ
自分で自分に投票するって……なんか嫌じゃない?
がんばってる感あるって言うかさ
なんかそういうの恥ずかしくない?
俺はそんな地道な努力する人間じゃないんだよ
この国を変えるべく生まれた人間だから
今はみんな俺の才能に気づいてないだけだから
正しく評価してくれる人たちに出会えてないだけだから
……なんだよ、なんでそんな目で見るんだよ?
に、逃げてなんかないよ
いや、行動に本音が出てるってどういうことさ
そりゃ俺はたしかに
演説の最後に「清き一票を! ……はい、誰も聞いてませんよね」
とか言ったけど
あれは事実を言っただけなんだからね!
恥ずかしくて逃げ道を作ってたとかじゃないから
(徐々に小声になる)
また落選した時のメンタルが辛くて
予防線を張ったとかじゃ……ない……から……
……う、うう……
「もう泡沫候補と言うか、終末候補ですよね」とか言ったの
そんな痛々しかった……?
そんなに情けなかったか……
それで君、演説から帰る時にわざと足ひっかけたのか……
……そ、そこまで言わなくても……よくない……?
俺だって頑張ってんだよ
なのに世間が俺を認めてくれないだけ……
(秘書にビンタされる)
うっ!
な、なんだよ!? 暴力反対!
……え、えっ
どうしたんだよ、そんな顔して……
あ、ああ、わかった
わかったから、泣かないでくれ……
……ああ、そうだよな……
君だけは俺に投票してくれたんだよな
応援してるからこそ、変わってほしい……か
……わかったよ
君の熱意は、伝わった
俺は……自分の人生を見直したよ
今こそ変わらなきゃいけない時なんだな
ありがとう、秘書
人の心を変えられる……
君こそが日本を変えるのにふさわしい人だ!
次回の選挙では、君が立候補してくれ!
俺が君の秘書になるから
……な、なんで断るんだ!?
俺が秘書をやれば絶対君が当選するよ
だって俺は天才だから……
あっ、どこに行くんだ?
待ってくれ、秘書ー!