フリーネタ台本「全裸in段ボール箱」
タイトル:全裸in段ボール箱
テーマ:犬の日
推奨人数:1人向け
推奨声質:男声
本文
うう……ここはどこだろう?
寒い、それにひどい匂いがする……
ゴミ捨て場……なのかな?
どうやらここは、段ボール箱の中みたい……
どうして僕は、全裸でこんな所にいるんだっけ?
これじゃまるで、捨て犬じゃないか……
ん……そこにいるのは、女の子?
ま、待って落ち着いてください、悲鳴を上げないで
あーっ、写真を撮らないでください
困ります、ネットに上げないでくださいってば
えっ……助ける、って
い、いえ、女の子に助けてもらうほどでは……
そりゃ……困っては……いますが
……そうですよね、こんなことになった理由、気になりますよね
……ええと、そうだ思い出してきました
あの、ヤクザに殴られたんです
えっ?
たしかにこの辺は怪しいお店が多いですけど
違いますよ、そういうお店には行ってません
ぼったくられたり、むりやりお金を取られたりはしませんでした
……ええ、かわいい子のいる店に行ったのは、その通りなんですが
ほら、昨日はハロウィンでしたよね
その、かわいい女の子が魔女のコスプレしてるのが
お店の外から見えまして……
何というか、一目惚れ……でした
運命を感じてしまったんです
それで、入ったんですよ
そのドッグカフェに
……え? ええ、ドッグカフェです
その子、とてもかわいいティーカッププードルで
ミキちゃんって名前だったんですが
一緒に過ごした時間はわずかでしたけど……
僕の運命の相手だって確信するには、十分な時間でした
だから僕、説得したんです
「こんな水商売なんてやめましょう、
あなたはこんな店にいていい女性じゃありません」
って……彼女の眼をまっすぐ見つめて
真摯に伝えたんです
そしたら彼女も僕をじっと、
熱のこもった眼差しで見つめてくれたから
もう、すっかり頭が熱くなっちゃって
それで「……僕と結婚してくれますか」って言ったら
嬉しそうに「ワン!」って鳴いたので
まあ、その……さらっちゃいました
だって、あの、ミキちゃんに
「ここから逃げ出して自由になりましょう、
僕と駆け落ちしましょう」って言ったら
キャンキャン鳴いて喜んでくれたんです
だから、僕はその場でお姫様抱っこして
店から彼女を連れ出して、走って逃げて……
それから街中を逃げ回って、人気のない路地裏に行って
一緒に隠れてたんですけど
そこで身を寄せ合っていたら、彼女の肉体の柔らかさと
火照った体温が伝わってきて……
それでもう、愛しくてたまらなくなって
彼女に……優しくキスして……
もう我慢できなくなって、押し倒して
ズボン脱いだところで
ヤクザに見つかってボコボコにされたんです
……ええ、実はそのヤクザも、ミキちゃんのことが好きだったらしくて
惚れた女を奪っていった僕が許せなかったそうで
それで……こうして身ぐるみ剝がされて捨てられたんです
……ああ、バカですよね
あはは、変態すぎますね、その通りです
僕なんて、さっさと消えた方がいいですよね……
え……いや、大丈夫です
わざわざ服なんてもらわなくても……
段ボールで隠しながら歩きますよ
女の子の服で股間隠してたら、それこそ変態ですし
……って、あれ?
この服って……
もしかして昨日、ミキちゃんが着てた服じゃありませんか?
あ、あの、待ってください
犬サイズの服じゃ小さすぎて隠しきれませんよ
あの、君はいったい、何者なんですか?
あっ、どこに行くんです、待って……
……って、あの、邪魔しないでください!
あの女の子を追いかけなくちゃ……
え? 警察?
現行犯逮捕……?
ま、待って、連行しないでください
ごめんなさい、ごめんなさいー!
う……うう……
いったい、あの女の子は何者だったんだろう……?