見出し画像

#4 政治意識の高いEU諸国の学生に学んだこと

Servus!
現在私はEU加盟国であるオーストリアで留学しており、そこには沢山のEUに関する講義があります。『EUの経済』、『EUの歴史』、『EUと隣国の関係』などなど。タイトルにEUという言葉が含まれていなくても、彼らにとってEUという存在は、政治・経済を語るには外せないものであることは間違いありません。そして、政治・経済を語るためには自国の伝統、文化についてもよく理解している必要があるということを感じたよ!ということについて書きたいと思います。

EUという仮想国家

はじめに、EUについてさらっと復習してみましょう。

欧州連合(EU)
・経済通貨同盟、共通外交・安全保障政策、警察・刑事司法協力などの幅広い分野での協力を進めている政治・経済統合体。
・2019年時点の加盟国数:28(イギリスは離脱交渉中)
・2017年時点での総人口:5億1246万人(日本の約4倍)
・2017年GDP:17兆3254億ドル
(外務省公式HPより)

日本の4倍の人口、世界人口第3位で経済大国アメリカの人口が約3億2800万人であることを踏まえると、以下に大きなグループであるかがわかると思います。そのような国々同士で人と物が自由に行き来し、経済活動を行っています。
28か国から成る5億人規模の一つの政治・経済を共有する仮想国家とも呼べるもの、それがEUという存在です。
つまり、EU圏内での"隣国"と言う概念は日本のそれとはかなり異なります。距離はより近く、影響はより直接的です。

EU加盟国出身学生の政治意識が高い

私の大学には他のEU加盟国からの留学生も沢山来ています。それらの学生たちと講義を一緒に受けていて面白いと感じるのは、彼らの政治意識がとても高いこと!

政治意識とは
政治および政治的事象に関する人々の態度,考え方,意見,関心,信念などの総体のこと。一般にはエリートの政治意識より一般大衆のそれをさす場合が多い。欧米において上述の意味に相当する概念は政治的態度 political attitudesと呼ばれており,心理学における社会的態度のうち政治的事象に対する態度のことをさすが,特にこの用語は一般大衆の態度を意味している。
コトバンクより

彼らはもちろん、自国の政治・経済状況について精通していますが、それ以外にも諸国の状況についてもよく理解しています。
例えば、ここ数年Brexitと呼ばれるイギリスのEU離脱が大変なニュースですが、これに関して自分の国がどのような影響を受けるか、そしてそれにどのように対応していけば良いと考えているか、一通り話すことができます。(もちろん英語で!)また、他国の選挙でどのようなリーダーが選出されたか、ロシアや中国、アメリカなどがどのようにEU全体、ひいてはヨーロッパ社会全体に関わってくるのかをとてもよく知っています。そして、これらの話題について話すことをあまりためらわないのです。

飲み会でも政治ネタは大丈夫(?)

留学開始当初、新歓のような交換留学生のための飲み会がありました。そのような場所でも、みんな超フリーダムに政治について語り合っています。私も、『君は自分の国が好き?どういうところが好きなの?』『最近の中国の一帯一路構想についてどう思う?』みたいなことをガンガン聞かれました。これってスタンダード?それともただここの学生が攻めてるだけ?と困惑しましたね。政治と宗教って避けるべき2大トピックだと思っていたので...。
中でもぎょっとしたのは、ベルギー人がロシア人に『君は自分の国が好き?』と聞いていた場面。
私は『EU諸国そして世界中の資本主義国家と対立しているロシアからきた学生にほぼほぼ初対面で聞く質問なのか?!』と冷や冷やして見ていました。そして、そのロシア人学生は『もちろん!ロシアに対して色々な意見があるのは知っているけど、私は世界で一番の国だと思ってるしロシア人に生まれて幸せ』と言っていました。その後も和やかに、その2人は話していましたね。

つまり、自国ゴトはEUゴト、EUゴトは自国ゴト

EUという組織は各国間との密接な関係の上に成り立っています。EU内で起きていることは、自分の国で起きていることのように捉える必要があります。そんな共生社会で育った若者たちはとても真剣に自分たちの国にもEUにも向き合っています。自分たちが生きる社会は自分たちだけのものではなく、そこには沢山のファクターがあることをきちんと理解しているからです。

まとめ

グローバル化が進み、お互いに切りたくても切り離すことができないほど相互的に依存しあっている今日の国際社会。そこで生きる私たちにとって大事なもの、それはクリティカルな政治意識だと感じます。今回私自身も、人前で自信を持って国内外の情勢について説明できるほどの知識が無いことが如何に問題であるかを痛感しました。世界は思っている以上にとても強くつながっています。『日本で生きていくから、大丈夫』『外国で暮らすから大丈夫』というのはとても安易だと思います。政治意識を高く持つことはとても格好良いと思います。そのような人が少しでも増えれば、今よりちょっと良い世界を作っていことができるのではないかな、と思いました。

それでは!