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【金沢】「鮨 みつ川」で寿司を学ぶ

所謂「まわらないお寿司」を始めて経験したのは、社会人になってからだ。高級ステーキ屋の店主を夫に持つ友人に連れて行ってもらい、すっかり虜になってしまった。コロナ禍ということもあり、現在は接待などで訪れる機会もなくなってしまったが、今でもたまに、自分へのご褒美と言い訳をして、定期的に寿司の名店を訪れている。

鮨 みつ川

今回伺ったのは、石川県金沢市、観光地としても有名な「ひがし茶屋街」に佇む「鮨 みつ川」である。大将の光川浩司氏は1976年生まれ。銀座の超名店「銀座 久兵衛」で修業をされた後、ドイツで握っていた経験もある。大阪でも修行の経験があるそうで、日本中の寿司を知っていると言っても過言ではないだろう。

そんな「鮨 みつ川」は、ミシュラン一つ星である金沢本店以外にも、東京 六本木と、北海道 ニセコに店舗を持つ。光川氏は1か月にこの3店舗を回っており、そのスケジュールはInstagramから見ることができる。金沢本店に関しては、大将が不在のときは、弟子の秋濱氏が握っている。

みつ川では予約時にコースを決める必要があり、寿司のみだと8,800円(税込)、つまみと寿司だと16,500円(税込)である。今回は寿司のみでお願いした。

※上記はお昼の価格。夜はおまかせコースのみ19,800円(税込)。

お昼ということもあって控えめのコースをお願いしたのだが、今となれば、とてつもなく後悔している。それくらい、みつ川は感動的だった。

こだわりに触れる

大阪から来たことを伝えると、「大阪の寿司はシャリが冷たいから、こちら(北陸)の温かいシャリを食べると違和感があるでしょう」と一言。自分が今まで食べた寿司のシャリを思い返してみる。確かに、冷たかったような……。

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ネタが大きい分、シャリは小さめ。ネタとシャリの温度が相まって、一体になっている感覚が何とも感動的だった。13貫とところてん、アナゴの肝という内容だったが、特に感動的だったのが「まぐろの漬け」。寿司屋に行くと、コースに必ず含まれていると言っても良いだろうこの漬けまぐろは、筋もなくネットリとしていて、本当に美味しかった。

また、大将の光川氏は、「漬け」からヒントを得て、現在はスズキを3%の塩水に漬けているそう。漬け=甘いたれである必要はないだろうと考えたとのことだった。わたしは、こういったこだわりの話が大好物だ。

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今回、「穴子の肝」を始めて食べる機会があった。穴子1匹あたり、取れる肝は1つだそうで、こちらは2匹分。ほんのりと感じる苦味は、鮎に近いかもしれない。穴子の肝は、鰻の肝と違って苦味が控えめであるため、つまみとして最高なのだそう。確かに、決して大きくないこの肝1つで、日本酒がどれほどでも飲めそうな濃厚さだった。

東と西の寿司を学ぶ

現在光川氏は、3店舗の中でも、東京 六本木店で握ることが多いようだ。大阪人の私からすると、東京の寿司は、どうしても高級なイメージが先行してしまう。そんな私は東京で寿司を食べた経験がない。

今回、大将に大阪と東京の寿司を比較して頂いた。大将曰く、関西の寿司屋は、お酒と一緒に味わうことを前提としている店が多く、つまみに力を入れている大将が多いそう。一方で東京は、純粋に寿司を味わうための寿司屋と、居酒屋使い(=関西風)の寿司屋と、2パターンがあるとのこと。1人あたり2~3万円するような寿司屋を「居酒屋」と表現するのは少々抵抗があるのだが、東と西の寿司を知り尽くした大将が言うのだから、間違いないのかもしれない。

まとめ:寿司通になるためには、必須のお店かも

今回、平日のお昼ということもあってか、客は私と夫の2名のみだった。元々、最大でもカウンター7名の小さなお店なので、2名でも居心地の悪さはなかった。また、この日の大将は非常にリラックスされていたのか、饒舌に色々と教えてくれた。高級店に行くと、つい自分もかしこまってしまったり、見栄を張りたくなったりして口数も減ってしまうものだ。ただ、一流の店主は本当に知識豊富で、こだわりが強く、話していて面白い。特にみつ川の大将は、媚びるところがなく、ハッキリと断言される方なので、聞いていて気持ちが良かった。

寿司屋を訪れた際は、勇気を出して、あれこれと質問を投げてみるのも良いだろう。きっと大将が、寿司の新しい世界を見せてくれる。


「鮨 みつ川 金沢本店」 石川県金沢市東山1-16-2

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