へし切長谷部にハマったころの話 #沼落ちnote
刀剣乱舞を始めたのは、もう10年近く前のことなのでおぼろげなことも多いが、書き残しておこうと思う。
刀剣乱舞のサービス開始である2015年に登録したので、相当早期のユーザーだった。プレイヤーとしては怠け者で、審神者レベルはどんどん他の人に追い越されている。
その当時、刀剣乱舞は爆発的な広まりを見せていて、友人たちの間でも流行していた。私も試しにやってみるかとプレイするようになった。
刀剣乱舞は、ときどきキャラクターの会話が発生する以外は、作業ゲームだった。しかし、その会話の意味深なやりとり、刀たちが持つそれぞれ違った思想が魅力だった。
そこで「へし切長谷部」というキャラクターにハマったのだ。
「へし切長谷部」は前開きのカソックを着た、神父のような外見のキャラクターである。一見禁欲的で、主に対しても従順である。だが彼には、ある悪癖があるのだ。
へし切長谷部は元の持ち主、信長が臣下に自分という方を下げ渡したことを恨んでおり、ときおりそのことをせりふに混ぜる。
猫なで声で従順な言葉を吐きながら、同じ口で恨みをつぶやく、二面性のあるキャラクターなのだ。
彼の回想を追っていくと、徐々に彼への価値観が変わるのだが……。
あまり詳しく書きすぎると面白くないのでその辺りにしておこう。
私はこのキャラクターが大好きになってしまい、小説を書き、同人誌を出した。そこにはいかがわしい内容も含まれる。一応このnoteは全年齢のため、どういかがわしかったかは書かない。
ニトロプラスが初期から二次創作のガイドラインを出していたため、のびのびと創作することができた。
長谷部が好きだった時期は、何だか異様だった。毎日長谷部のことを考えていた。
私は今まで、こうやって特定のキャラクターを好きになったことはなかった。
自分はこういうことができるんだな、ということがまず衝撃だったのだ。
今、私の長谷部に対する「好き」という感情は落ち着いている。もはやあの熱度で長谷部を好きになることはないだろう。しかし、好きという感情が薄れても、私の頭の中には長谷部がいるような感じがする。
頭の中の長谷部は、呼び出すとときどき現れてくれ、何かを話しては、また私の頭の奥に引っ込んでいく。
心の中にキャラクターがいるというのはこういうことなのか。
一次創作のキャラクターが頭の中にいることはわかっていたが、他人の創作のキャラクターが頭に住み着いたのは初めてかもしれない。
長谷部は、私の頭の中でコーヒーでも飲んでくつろいでいると思うよ。