#19 夢とこころ
浜辺に建つ旅館にひとりで泊まった。
夕方、太陽が海に沈んでいくのを大きな窓から飽きもせず眺めていた。
「千と千尋の神隠し」に出てくるみたいな水上を走る電車が視界を横切るのを見て、夢の中にいると気が付く。
ー ①
<夢日記>
②
田舎道を走る車の後部座席に乗っていた。
みんな耳慣れた方言で話していたから、
地元の風景だったんだろう。
運転手の不注意で車内がガクンと揺らいだ次の瞬間、
車体ごと川に落ちていた。
隣に乗っていたおばあちゃんを助けなきゃ、と真っ先に思った。
午前3時に飛び起きて、そのまま眠れなかった。
この日は明け方に熱を出して、丸一日をだめにした。
③
芸人さんの中で最も影響を受けたオードリーの若林さんに会った。
「2008年のM-1からずっと応援してます。…ええと、
10年来ラジオ聴いてて、2018年の武道館も行きました。若林さんの面影を追ってキューバに一人旅もしたんです。
東京ドームもチケット取れたら行きたいと思ってます」みたいなことを矢継ぎ早に伝えると、若林さんは笑って
「そっか、ありがとう。東京ドームは君を笑わせるためにやるね」
と言ってくれた。都合のいい夢だ。
④
芸人さんの中で2番目に憧れているランジャタイの国崎さんに会った。
「本当に国ちゃん見てると元気なれます。
”太鼓寿司”と”チャンペイチョンペチャイ”と、
あとやっぱり”弓矢”のネタが特に好きです」
みたいなことを私はやっぱり大慌てで伝えて、
国ちゃんはそんな私に快くサインをくれて
極め付けにハグまでしてくれた。
なんて都合のいい夢だ。
睡眠薬で電源が切れたように眠るのも、
アルコールで昏睡するのとも違う。
私が自力で生み出せる”最も質の良い眠り”へのルーティンが、就寝前のCBDの接種みたいだった。
ーーー
「ここ最近、体調とか大丈夫だった?」
久しぶりのプライベートレッスンで先生に尋ねられた。
「や、実はこの1ヶ月くらい何故かずーっと体調が悪くて、引っ張られるみたいにメンタルも落ち込んでばかりでした」
先生に聞けば、9月中旬までの約1ヶ月間は
水星が通常と逆向して動いていたらしい。
その影響で体調を崩したり、予定が狂ったりとイレギュラーな出来事が多く起こりやすかったのだとか。
病院で検査をしても原因が分からなかったここ最近の発熱や不調は、遠く遠く離れた惑星の動きの影響だったのかもしれない。
気を取り直して、約1ヶ月ぶりに先生に稽古をつけていただく。
「うわかっこいい、リキッドモーションや…!」
「これがホンマの、リキッドモーションや!!」
でたらめな関西弁で笑い合った。
先生のダンスはやっぱり綺麗だ。
ーーー
オリエンタルダンサーのYuukaちゃんと待ち合わせる。
レモンサワーとウーロン茶で乾杯したあとで、
ダンサー同士、もしくはダンサーと観客という関係を降りて話すのは初めてだったなと思い、どうしてか居住まいを正す。
ショー出演やレッスンに、日頃からすごく忙しくしている(ように見える)彼女の、ダンスに費やす合間に流れる時間を知ると
なんというか”人生”を強く美しく歩んでい(るように見え)て
眩しくて、羨ましいなと思った。
「ショーで踊ってる時どんな気持ち?」
話していて心地がいいのはさっぱりした言葉の選び方のせいだろうか。
私とゆうかちゃんは同い年で、
違うスタイルのベリーダンスを踊っていて、
同じかたちの葛藤や喜びを知っていて、
温玉の乗ったつくねを半分に分け合った。
うそみたいにお互いを尊敬していたことが話すほどに判明して可笑しい。
本人は謙遜してあまり褒めさせてくれないけれど、
遠くの空で光る星みたいにずっと見えていた子が
同じ目線でこちらを見つめ返してくれていたのは
私にとってはとんでもないことだった。
ー今夜だけは勘違いしてもいいだろうか。
踊ることは呪いだし、祈る行為だなと
いつからかずっと思っている。
いっぽう書くことは新しい習慣になって、
こちらは読み返せば
(といって読み返さないでほしいのだけど)
ぎゅぎゅっと要約したら同じような内容のことを
いくつも書き連ねている。
ーみんなみたいに出来なくて、なんとなく自分なんか居なくていいんじゃないかという気がしている。
だけど、だからこそ人前で踊ることを頑張りたい。
傷をたくさん刻んだガラス玉こそ
光の中で乱反射して輝くのだと証明したい。
そんな感じ。
こころをことばにするのは何度試みても難しいし、
他人を日記に登場させるのは緊張するな。
もしよければサポートいただけると大変有り難いです。 今後の創作にきっと生かします🏁