#20 「暮夜に踊る、月と海」後記
師事しているYuukoKader先生主催のハフラ
「暮夜に踊る、月と海- Dancing in the night, moon and ocean -」に出演させていただきました。
(つい当たり前みたいに使ってしまいますがハフラというのはベリーダンス用語で、主に近しい人達に向けたアットホームなダンスパーティのようなものです)
先生のもとに集まった出演陣のソロや群舞はどれもそれぞれの色に輝いて見えて、「LUCE(イタリア語で”光”)」を冠するスクールらしい色彩豊かなステージでした。
私のレッスンを受けてくれているMirandaとYuちゃんも一緒に出演してくれました。
それぞれに悩みながら自分のソロを作り上げていくのを少しだけ手伝いながら近くで見させてもらっていたので、
2人の堂々としたパフォーマンスを誇らしい気持ちで眺め、本人たちと同じくらい私にまで嬉しいコメントが届くとあたたかい感慨が込み上げました。
私は贅沢にも、ハフラ第2部で
関島種彦 さん(バイオリン/マンドリン)
サルディ佐藤・比奈子さん(ピアノ/アコーディオン)
蔡怜雄さん(トンバク/ダフ/フレームドラム)
山本裕之さん(コントラバス)によるバンドの生演奏でソロを踊らせていただいたのでした。
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候補曲のレコーディング音源が届いたとき、
「朗読と即興」という潔いタイトルが目に留まった。
何気なく再生をタップし、そうして息を呑む。
異国のことばの後に、ぽつりぽつりと続く死生の哲学。
呻くようなバイオリンの主旋律に共鳴する伴奏。
(ポルトガル語とかだろうか?と思っていたら
まさかのエスペラント語とのこと。興味深い)
”これしかない”と直感が叫んでいた。
ダンサーごとに演奏してもらう曲が先着希望順だったことを思い出して、急いでLINEを立ち上げ、親指を走らせた。
当日までの軽いリハーサルだけで迎えた本番。
”朗読する詩が決まっている以外はほとんど即興なんです”と伺っていたので
必然的に私のほうも即興で踊ることになる。
その場かぎりの音楽に、言葉にどれだけ身を浸すことができるだろう?
程よい緊張と胸の高鳴りを感じるほどに、頭は冷静に冴えわたっていった。
月明かりのような、海底のような真っ青なライトを当ててもらった。
時折り、くぐもったように
うねるように混ざり合って、音と言葉が雪になって降り積もっていくようだった。
2度と戻らない命の回転。
「幻想とともに死を愛する」
どうにも甘美に響く一節が気に入っている。
私はこの瞬間にこそ生きられていて、
だから死んでしまいたかった。
ダンサーやミュージシャンにとどまらず、手を身体を動かして自ずから何かを生み出す人を尊敬している。
デザイナー、芸人さん、作家、編集者、タトゥーアーティスト…など
これまで色んな分野の「生み出す人」に出会ってその矜持を垣間見るたびいつだって心が震えて仕方なくて、時には憧れのあまり”私も〇〇さんみたいになりたい”なんてさめざめ泣いてしまう。
「あなたでなくては」と言ってもらえることの難しさとかけがえのなさを、痛いほど知っているから。
生演奏で”詩を踊る”ことはこんなにも難しく、
そして楽しいのだと身体に刻んだ。
思いが乗った言葉は、きっとそのまま心の一部だからだろう。
これからも誰かが詩を詠んでくれるなら、喜んで踊りたい。
もしよければサポートいただけると大変有り難いです。 今後の創作にきっと生かします🏁