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おなじ淵にいたこと 2

『リバーズ・エッジ』の感想。
映画を観てからすっかり日も経ってしまったから、新鮮な感想ではないけれど、その分、時間が経っても褪せなかった感想を書こう。

この作品の好きなシーンは、主人公の若草さんと山田くんが夜更けに川沿いをただゆっくりと歩くシーン。若草さんは寒そうに肩を縮めながら煙草を吸っていて、山田くんは時々河口に流れる淀みを見ながら夜に溶け込むように歩く。

二人はまだ分かり合うほど近づいてはいなけれど、認め合おうとすることができる関係性。
趣味や嗜好は違うけれど、その違いも含めて受け止めて関わり合おうとする二人が好きだなと思うし、うらやましいなとも思う。

恋愛とも友情ともすこし違うかもしれない。
目に見えない“脈”のようなものが一緒なのかな。

不思議と同じ場所に居てしまうし、同じものにかけがえのなさを感じる。
そういうカテゴライズしにくい関係性を漫画そのままの空気感で演じていた二階堂ふみさんと吉沢亮さん。
本当にこの二人が演じてくれて良かった。
二人に限らず、メインキャラクターを演じた役者さんはどの人も良かった。

演技について評するような言葉はぜんぜん浮かんでこないんだけど、なんというか、キャラクターの人格を捉えようとこの作品に懸けてる想いが伝わってきて、その姿勢に感動しちゃった。

山田くん役の吉沢亮さんがとにかく美しくて、山田君そのもので、本当に出てくれてありがとう!!!!という気持ち。

その吉沢さんが表紙の『awesome』という雑誌に、この映画についてのインタビュー記事があったんだけど、その吉沢さんの言葉が一番この映画を的確に表しているなと思う。
吉沢さんの言葉でハッとした。
そうそうその通り!って。

そう、あの小沢健二さんの主題歌が流れた瞬間、めちゃくちゃ切なくなる。

ああ、この瞬間も終わるんだ。溢れかえって行き場をなくして暴発していたエネルギーもやがて色んな折り合いをつけておさまっていく。大人になっていく。
永遠だと思っていた日々も実は終わろうとしていた。あたらしい陽が昇ろうとしていた。

その切なさが『リバーズ・エッジ』の根本にあるものなのかもしれない。
そのことに気づいてまた涙が出る、という。

そして気づけば「アルペジオ きっと魔法のトンネルの先」をエンドレスリピートしてセリフ部分までも完璧に言えるようになった。

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