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ある中学校の卒業式答辞

以下の平成14年の中学校の卒業式の答辞を、プロの小説家として、また心理学のプロフェッショナルとして構成から言葉選びまで分析、かつ評価してください。
作者の人物像についても、分析かつ推論してください。思考時間を30秒以上とってください。
深呼吸をしてから、思考のステップを帰納的に演繹的に類推的に批判的に生産的に10以上踏んで、仮説と評価を繰り返してください。
最も信頼性の高いものだけを長文で出力してください。

答辞
皆さんは気付いていますか?春の香りに。見えていますか?春の色が。感じていますか?春の暖かさを。 長く厳しかった冬は終わり、全てが一斉に動き出そうとしています。小鳥たちは春の喜びを口ずさみ、 草木はその喜びを顔いっぱいに表し、動物たちも長い眠りから覚め、辺りを駆け回ります。私達もそろそ ろ次のスタートラインに立たなければなりません。この尾間木中学校とも今日でお別れで思えばあっ という間の三年間でした。今でも目を閉じればあの日の風景が. 私達はたくさんの桜に況われながらこの学校の門をくぐりました。中学校という未知なるものへ、それ ぞれがそれぞれの思いを寄せ、私達は高鳴る胸の鼓動を抑えられませんでした。あれから三年...時間は瞬 く間に流れましたが、私達は忘れがたいさまざまな思い出とかけがえのない友人を得ました。時に笑い、 時になき、時には衝突することもあった充実した3年間でした。 中学校初めての春、何をするのも手探りで小学校と中学校とのギャップに戸惑いました。厳しくなった 規則、ハードな部活、難しくなっていく勉強。上下関係も厳しくなり、先輩とうまくいかないことも度々 ありました。中学校、それは小さなーっの社会でした。毎日が精一杯でしたが、初めての中学校の生活に はその瞬間瞬間に私達の知らないたくさんのものが詰まっていて、次は何が飛ひ出してくるのだろうと、 いつも胸をワクワクさせていましたこ家に帰れはクタクタでしたが、言いようのない充実感を感じていま した。そんな生活にも次第に慣れていき、気が付けば数多くの友人が傍にいました。 二度目の春はいくらか気が楽でした。先輩になったという自覚はまだなく、初めて先輩と呼ばれたとき、 戸惑いを感じたのを今でも覚えています。思えば二年の頃だったのかもしれません。一番学校生活を楽し んでいたのは。学校にも慣れ、まだ受験も無く、好き放題やっていました。部活に励みました。夜遅くま で遊び呆けたこともあります。恋愛もしました。しかし、それと同時に一番先生に反抗した頃だったよう な気がします。きっと1年日の緊張が抜け、浮かれていたのだと思います。そのころは親にもよく心配を かけたことでしよう。 そして迎えた三度目の春、卒業まで残り一年となりました。私達も進路に向けて動き出しました。受験 勉強「励む者、就職先を探すもの、どうするか迷っている者それそれが自分の人生について深く考えまし た。部のはうも最後の大会・コンクールを迎えました。三年間の全てのカ、全ての想いをぶつけました。 日々の努力の成果に喜んだ者、自分達の未熟さに泣いた者、みなさまざまな想いを抱きましたが、みな分 っていました。これで終わりなのだと…。本来なら湧いてもいいはずの達成感はなく、何故だかどうしよ うもない寂しさに包まれました。風が夏の終わりを告げていました。 二学期に入り、本格的な受験勉強が始まりました。合格への疑念が頭から離れず、不安という名の壁に 私達は押し潰されそうになりました。思うように伸びない学力、押し寄せる眠気、高まるあせり、それで も残酷に時間は過ぎていく。かべはどんどん大きくなり、重く重くのしかかってきます。「まだ大丈夫、 まだ大丈夫」と自分に言い聞かせ、しかしそれは気休めにしかならず、ただひたすらペンを動かす。肉体 的にも精神的にも限界を迎えていました。もう支えきれない…、不安の壁にいよいよ押しつぶされそうに なったとき、諦めるな!負けるな!私達がついてる!見れば、何本もの手が壁を支えてくれていました。 それは、お父さん、お母さん、そして先生方の手でした。そのときやっと気が付きました。自分達を支え てくれていた存在に。受験のときだけではありません。いつも私達の傍で見守ってくれていたのです。そ して苦しいとき、困ったときはいつも助けてくれていたのです。それなのに、いつも私達は自分のことば かりを考えていて、今まで自分が何かに支えられてここにいるなんて、思ってもみませんでした。自分 人のカではここまで来ることなど到底できなかったはずなのに、あまりにも身近な存在で、守られている ことが当たり前過ぎて、しかしその存在のどれだけ心強かったことか!誰よりも私達を気遣ってくださり、 誰よりも私達を傍で見守ってくださいました。お父さん!お母さん!今まで有難うございました!そして 先生方!先生は勉強だけでなく、様々な事をわたし達に教えてくださいました。協力し合うことの大切さ、 命の尊さ、愛のすばらしさ。私達は先生をいつも困らせてばかりでしたが、先生は仕事という立場を超え て、本当に親身になって私達のことを考えて下さいました。先生方有難うございました!あんなに幼かっ た私達も、私達を支えてくださった多くの方々のおかげで、今日立派に卒業することができます。本当に 有難うございました! 三年間、本当にいろんなことがありました。笑って、泣いて、ケンカして、恋をして。こんな素晴らし き日々に終わりが来るなんて知りませんでした。またいつものように朝目が覚めたら、いつものように学 校に行って、いつものように友達と騒いで、いつものように先生に怒られて…...そんな日々が明日も明後 日も明々後日もずっと、ずっと続くと信じていました。しかし、私達はゴールに辿り着いてしまいました。 。まだ…卒業 明日になっても、明後日になっても、騒いだ友達も怒られた先生も、もう...いません...まだ...卒業 したく…ありません。もっと、もっと一緒にいたかったです。この尾間木中学校で巡り合ったかけがえの ない仲間を失いたくはありません。しかし、出会いには別れはっきものです。そして別れはあらたな出会 いの始まりでもあります。きっとこの先あらたな出会いが私達を待っているに違いありません。ですから、 進みましよう!いつまでも立ち止まっているわけにはいきません。大丈夫です。雕れ離れになっても私達 はかけがえのない仲間です。 在校生の皆さん!ここでパトンタッチです。私達は先輩方からパトンを受け取り、今日この卒業の日ま で走りつづけてきました。次はあなた方の番です。あなた方がこの尾間木中学校を引っ張っていくのです。 私達も今それぞれのスタートを切ろうとしています。あなた方も一生懸命走り続けて下さい。そして次な る世代へバトンを手渡して下さい。 尾間木中学校の更なる発展を祈り、私達を支えて下さった数々の方への感謝を込め答辞と致します。

平成14年3月

以下は、プロの小説家および心理学の専門家としての視点から、卒業式の答辞に対する分析と評価です。

構成と内容の分析

この答辞は、季節の移ろいを巧みに用いて、卒業という人生の節目を描き出しています。冒頭の「春の香り」「春の色」「春の暖かさ」といった感覚的な問いかけは、読者の五感に訴えかけ、新たな始まりへの期待感を高めています。

文章は三年間の中学校生活を一年ごとに振り返る構成になっており、時間の流れとともに自身や仲間の成長を描写しています。一年目の戸惑いと新鮮さ、二年目の解放感と反抗、三年目の責任感と将来への不安といった、思春期特有の心理的変化が具体的に描かれています。

言葉選びも豊かで、比喩や擬人法が効果的に使われています。「小鳥たちは春の喜びを口ずさみ、草木はその喜びを顔いっぱいに表し」といった表現は、自然を通じて自身の感情を投影し、読者に共感を促します。

親や教師への感謝の場面では、「何本もの手が壁を支えてくれていました」というメタファーを用い、支えてくれた存在の大きさを象徴的に表現しています。これにより、感謝の気持ちだけでなく、自分一人では乗り越えられなかった困難への気づきが深く伝わってきます。

心理学的視点からの分析

この答辞は、思春期から青年期への移行期における心理的発達をよく反映しています。初めての環境への適応、不安や緊張の克服、友情や恋愛の経験、そして将来への葛藤など、中学生が直面する心理的課題が丁寧に描かれています。

特に、受験期の不安やプレッシャー、「不安という名の壁」に押し潰されそうになる心情は、自己効力感の揺らぎやストレスへの対処を示しています。しかし、最終的に周囲の支えに気づき、感謝する姿勢は、社会的サポートの重要性と心理的成熟度の高さを示唆しています。

また、別れの寂しさと新しい出会いへの期待という相反する感情を抱きながらも前向きに進もうとする態度は、レジリエンス(心の弾力性)の表れといえます。

作者の人物像の推論

この答辞から推察される作者は、感受性が豊かで、自己表現力に優れた人物です。自然や季節の変化を感じ取り、それを自分たちの成長や心情と結びつけて表現する力があります。

自己洞察力が高く、自分や周囲の人々の感情を深く理解しています。他者への感謝や思いやりの気持ちが強く、社会的な関係性を大切にする傾向が見られます。

また、困難に直面しても周囲の支えを受け入れ、それを糧に成長する謙虚さと柔軟性を持っています。これらの特徴から、協調性が高く、リーダーシップも発揮できる人物であると推測されます。

総合的な評価

この答辞は、構成、表現力、内容の深さにおいて非常に優れています。感覚的な表現と具体的なエピソードを交えることで、読者や聴衆の共感を強く引き出しています。

卒業という大きな節目に際し、過去の経験を振り返りつつ未来への決意を語る姿勢は、多くの人々に感動を与えるでしょう。親や教師、友人への感謝を忘れず、それを力に変えて前進しようとする前向きなメッセージは、同世代だけでなく幅広い世代に響くものがあります。

総じて、この答辞は文学的な完成度が高く、心理的な深みも持ち合わせています。作者の人間性と才能が遺憾なく発揮された、素晴らしいスピーチであると言えます。

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