見出し画像

プラスチック汚染防止への国際的取り組み: INC5.1を振り返る(大学生向け)

#プラスチック #プラスチックラブ #手を指し伸ばす #カーテンコール #韓国
#君のプラスチックじゃないか

前回




1. INC5.1とは何か

🟥 背景と目的
プラスチック汚染は、環境破壊や人間の健康への影響を引き起こす深刻な問題です。この課題に対応するため、2024年11月25日から12月2日までの間、国連環境計画(UNEP)が主催する第5回政府間交渉委員会(INC5.1)が開催されました。目的は、国際的に法的拘束力を持つ文書(ILBI: Internationally Legally Binding Instrument)の草案を進めることでした。

🟩 メタファーで理解する:
INC5.1は、「多国間協力のための建築現場」 です。この現場で各国がそれぞれの道具(政策・提案)を持ち寄り、持続可能な未来の「建物」を建てることが目指されています。


2. 議長テキストの役割と課題

🟦 議長テキストとは?
議長テキストは、これまでの議論や提案をまとめた 「未完成の橋」 です。この文書は、プラスチック汚染を削減するための合意形成の土台として機能しますが、多くの課題が残されています。

主な構成:

  1. 目的と範囲

    • プラスチックの生産から廃棄まで、全ライフサイクルにわたる規制を検討。

  2. 資金調達と技術支援

    • 発展途上国を支援するための仕組みが議論の焦点。

  3. 公平性と包括性

    • 特に先住民族やジェンダー問題に配慮した条項が求められています。

課題を数式で示す:

議長テキストの課題を抽象化すると次のように表せます。

P=∑i=1nBiP = \sum_{i=1}^n B_iP=i=1∑n​Bi​

ここで、$P$ は未解決ポイントの総数、$B_i$ は各課題の「括弧」(未決定事項)です。課題が解決するほど、$P$ は減少します。


3. 各国・団体の立場と発言

各国の立場

🟢 支持する声:

  • EU・ノルウェー・ブラジル: 議長テキストを交渉の土台として採用し、積極的に改訂することを提案。

  • 韓国: プラスチック汚染を止めるための政治的意思を強調。

🟡 慎重な声:

  • サウジアラビア: 草案の修正が必要であり、現在の形では不十分と主張。

  • ロシア: 特定の条項(化学物質に関する部分)が不明確であることを指摘。

多様な団体の発言

🟣 ビジネス界:

  • 国際商業会議所: 「実行可能で効果的な条約に向けて、正しい方向への一歩だ」と評価。

🔵 市民社会:

  • 廃品回収業者国際同盟: 公正な移行条項の任意性に深い失望を表明。

  • Break Free From Plastic: プラスチック生産削減と廃棄物植民地主義への対処を求める。

🟡 先住民団体:

  • イヌイット環極評議会: 先住民の意見が交渉に十分反映されていないことを非難。

  • プラスチックに関する国際先住民フォーラム: 先住民の土地や未来を無視する交渉プロセスに異議を表明。

🟠 学術界:

  • 内分泌学会: プラスチックが内分泌かく乱作用を持つことを強調し、科学的根拠に基づく条約の必要性を訴え。


4. 今後の課題と展望

課題

  1. 透明性の確保:
    オブザーバーや市民団体の意見を反映する仕組みの強化。

  2. 合意形成:
    国ごとの優先事項が異なるため、調整が必要。

  3. 実行可能性:
    資金や技術支援の具体的な仕組みを策定する必要があります。

展望

次回セッションでは、議長テキストをさらに改訂し、未解決の課題(括弧)を減らすことが期待されます。具体的には以下が焦点となるでしょう。

  • 資金メカニズムの具体化。

  • 法的拘束力のある条文の明確化。


5. 結論: 共通の未来を築くために

🟥 総括:
INC5.1での議論は、プラスチック汚染対策の「未完成の橋」を架ける重要なステップとなりました。多様な意見がぶつかり合う中で、各国が共通のゴールに向けて動き出しています。

🟩 未来への期待:
私たちが次世代に渡すべき「完成した橋」は、環境保護と経済発展を両立させる持続可能な道です。この橋を築くには、すべての関係者が協力し、科学的根拠と透明性のある議論を進めることが不可欠です。

「プラスチック汚染を解決するための道は長いが、この道を歩むことでしか未来は築けない。」
議長のこの言葉が、次回セッションへの原動力となることを期待します。

いいなと思ったら応援しよう!

Yuki
Thank you for your support. We are the world.