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ChatGPTの仕組み(いつものAttentionの論文)をメタファーと数式と図解と用語集であらわす

出典:Attention is All you need.
#自己注意 #Transformer #ChatGPT #メタファー #数式 #用語集 #図解 #初心者


1. 背景と課題

従来のモデル(RNNやCNN)は、文章を読むときに、「線路を順番に進む列車」 のように、一つ一つ順番に情報を処理していました。
これでは、文章が長くなるほど時間がかかり、特に遠くの単語との依存関係を理解するのが難しくなります。

🌉 メタファー: RNNが直線的に進む橋を渡っているとすれば、Transformerはドローンのように全体を見渡し、重要なポイントを瞬時にキャッチする。

RNN(リカレントニューラルネットワーク): シーケンスデータを処理するためのネットワーク構造で、前の状態を保持しつつ順に情報を渡すために「連結する」ような計算を行います。
CNN(畳み込みニューラルネットワーク): 画像などのデータから特徴を捉えるためのモデル構造で、隣接する部分の情報をまとめる「フィルタ」を使って特徴を抽出します。

用語説明

2. Transformerの登場

Transformerは**「自己注意機構(self-attention)」**を利用し、文中の単語がどれだけ互いに関連しているかを評価します。これにより、すべての単語が瞬時にお互いを参照でき、並列処理が可能です。つまり、Transformerは情報の流れを一度に全体的に見ることができる「広角レンズ」を持っていると言えます。

🧲 数式: Attentionの計算は次のように表されます。

自己注意機構(Self-Attention): 各単語が他の単語をどれだけ重要視するかを評価する仕組みで、遠くの単語とも直接やり取りできます。従来のモデルが順に読んでいくのに対し、自己注意では全体を一度に見渡します。
ソフトマックス(Softmax): 各情報の「重要度」を確率として出力する関数で、全体の合計を1にします。ソフトマックスを使うことで、関連度が高い情報がより強調されます。

用語説明

3. 自己注意(Self-Attention)の仕組み

自己注意は、各単語が他のすべての単語を**「どれだけ注目するべきか」**を判断します。例えば、"I love apples because they are sweet"という文において、"they"がどの単語を参照するのかを「注意(Attention)」が解決します。

👀 メタファー: 自己注意は、会議で全員が全員の発言を聞き、それぞれの重要度を瞬時に評価するようなものです。

クエリ(Query)、キー(Key)、バリュー(Value): クエリは知りたい情報、キーは情報の基準、バリューは実際の内容です。Transformerでは、各単語がこれらの要素に変換され、お互いの関連度が計算されます。

用語説明

4. スケール付きドット積注意(Scaled Dot-Product Attention)

自己注意を効果的に計算するため、クエリとキーの**「ドット積」**を使います。さらに、計算が効率的になるようにスケール(1/√dk)を行います。これにより、計算が安定化し、過度に大きな値にならないようにしています。

✏️ 数式: 各ペアのスコアは次のように計算されます。

ドット積(Dot Product): 二つのベクトルの要素ごとの積の総和で、二つの情報の「類似度」を示します。
スケーリング: ベクトルの次元が大きくなると、ドット積の値も大きくなるため、計算を安定化させるために1/√dkで調整します。

用語説明

5. マルチヘッド注意(Multi-Head Attention)

単一の「注意」だけでは情報の全体像を捉えきれないことがあります。そこで、Transformerは**「マルチヘッド注意」**を導入し、複数の注意ヘッドが異なる側面から情報を参照します。各ヘッドは異なる視点(言い換えると異なる「レンズ」)で情報を捉え、結合して最終的な結果を得ます。

🔍 メタファー: マルチヘッド注意は、プロジェクトチームに専門分野の異なるメンバーがいるイメージ。それぞれ異なる視点から意見を出し、最終的に結論をまとめる。

📐 数式: マルチヘッドの合成は次のように表されます。

マルチヘッド注意: 複数の注意層を並列で動作させ、それぞれが異なる情報をキャッチすることで、全体像をより詳細に把握します。

用語説明

6. エンコーダとデコーダの構造

Transformerは、エンコーダとデコーダの2つの部分から成り立ちます。エンコーダは入力を解析し、その情報をデコーダに渡します。デコーダはエンコーダの情報をもとに出力を生成します。

🏗️ メタファー: エンコーダは情報をまとめる「編集者」、デコーダはその情報を表現する「ライター」のような役割。

エンコーダ: 入力情報を圧縮・解析し、関連性を学習するパート。
デコーダ: エンコーダがまとめた情報を基に、最終出力を生成するパート。

用語説明

7. 位置エンコーディング(Positional Encoding)

Transformerは並列処理を行うため、通常のRNNのように順番を意識しません。そのため、単語の位置情報を**「サイン波」**で表現し、各単語がどの位置にあるかを伝えます。

🌊 数式: サイン波を用いた位置エンコーディングは次のように表されます。

位置エンコーディング: 各単語の位置を示す情報を数式で付加し、文中の単語間の順序を意識できるようにします。

用語説明

8. フィードフォワード層(Feed-Forward Layers)

各エンコーダ・デコーダ層には、**「フィードフォワード層」**という全結合層が含まれています。この層は単語ごとに独立して適用されます。これはシンプルな計算ですが、個々の単語に関する情報を深める効果があります。各層で、入力データを加工して異なる次元に広げたり縮めたりすることで、モデル全体の表現力を強化します。

🔧 メタファー: フィードフォワード層は、シェフが材料の味を引き出すように、各単語の特徴を引き出し、調整する過程。

✏️ 数式: フィードフォワード層は次のように表されます。

このフィードフォワード層はReLUという活性化関数を使用しており、これは0未満の値をゼロにして、0以上の値をそのまま出力します。これにより、不要な情報を削ぎ落としつつ、重要な情報を強調します。

フィードフォワード層(Feed-Forward Layer): 各位置で独立して情報を加工する層で、特徴を強調して次の処理に備えます。
ReLU(Rectified Linear Unit): 負の値をゼロにし、正の値だけを出力する関数です。これにより、計算がシンプルになり、重要な情報だけを通過させる効果があります。

用語説明

9. 結果(Results)

Transformerモデルのアーキテクチャによって、従来のモデルを大きく上回る翻訳精度と効率性が実現されました。具体的には、英語からドイツ語、英語からフランス語への機械翻訳タスクで従来のベストモデルを上回るBLEUスコアを達成し、トレーニング時間も従来モデルの一部の時間で済むことがわかりました。これにより、Transformerは機械翻訳だけでなく、多くの自然言語処理タスクでの応用可能性が広がりました。

🎉 メタファー: Transformerは、図書館で探している本を素早く見つける司書のように、最も関連する情報を効率的に見つけ、答えを導き出す存在。

この成果により、Transformerは従来のRNNベースのアーキテクチャと比較して計算効率が高く、大規模データにおいても迅速なトレーニングが可能であることが証明されました。結果として、Transformerはその後のBERTやGPTなどのモデルに影響を与え、NLP分野の大きな転換点となりました。

BLEUスコア(Bilingual Evaluation Understudy): 機械翻訳の精度を測る指標で、出力がどれだけ正確に目標に近いかを数値化します。
並列処理(Parallel Processing): 複数の計算を同時に行うことで、処理速度を大幅に向上させる技術です。Transformerはこの技術を最大限に活用できる設計になっています。

用語説明

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Yuki
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