清水エスパルス 試合振り返り J1第6節(A)サガン鳥栖 -勝利はまだ遠い- 22.Jul.20
こんにちは、El Gran Equipoです。
今回はアウェイ、サガン鳥栖戦の振り返りをしてみたいと思います。
カルリーニョスの初得点が生まれるなど、前半は良い戦いが出来ていましたが、後半は相手にボールを支配される時間も長く、厳しい戦いでした。
その中でも、ヴァウド、立田の両センターバッグの働きはすばらしく、鳥栖に初得点を献上したものの、初の最低失点で耐えたゲームになりました。
過密日程の中でのアウェイ2連戦で、体力的にもきつい部分はあったのかもしれませんが、改善すべき点も多かったように思います。
それでは行ってみましょう!
1. スタメン
2. 前半の気になった場面
3. 後半の気になった場面
4. まとめ
1. スタメン
前節からソッコ、竹内、金子の3人が変わり、ヘナトは今季初先発、カルリーニョスは右サイドでの先発となりました。
気になったのは、攻撃的な選手は鈴木と金子のみというベンチメンバー。交代人数が5人いる中で、攻撃的なオプションが限られてしまうのは勿体ないと感じました。
対する鳥栖は4-4-2の布陣で、スリーラインをコンパクトに保ち、攻撃では、小屋松、原川が内側にポジションを取るという特徴を見せていました。
2. 前半の気になった場面
①前線のプレッシングに変更?
この試合の前半、相手最終ラインでのビルドアップに対するエスパルスのウイングのプレッシングのかけ方に変更があったように見えました。
これまでのエスパルスは、ワントップとトップ下で相手のセンターバック2枚とアンカー(ボランチ)を警戒するという方法を取っていました。
一方、この試合では、ワントップとウイングの片方で相手センターバック2枚にプレッシングをかけていました。
上図の場面では、鳥栖 パクジョンスがセンターバックの間に落ちてビルドアップを助けた場面ですが、プレッシングのかけ方は同じで、西澤が右センターバックの原にプレッシングをかけました。
その際に、外側を消しながらアタックすることで、原川(この場面では森下も)へのパスコースを消しました。これにより、相手のパスコースを限定し、下りてきた石井にも圧力をかけることで、奥井のところでパスカットに成功しました(背後に森下を残していたので若干リスキーでしたが)。
これは、リバプールのプレッシングのかけ方に似ていて、エスパルスの強度はリバプールには到底及びませんが、有効だった場面でした。
逆に言うと、これだけ前からはめていく守備が出来ないとハイラインでの守備は機能しないと思います。
前半序盤でも右サイドでカルリーニョスが同様のアプローチをしており、チームの戦術なのか、次節も要注目です。
②エウシーニョの感性と周囲の呼吸
非常に能力の高いエウシーニョですが、独自の感性に基づいたプレー選択を取ることも多く、彼のところでボールを持ちすぎて、ビルドアップのリズムが上がらない場面もみられていました。
しかし、この場面では周囲の動きとエウシーニョの飛び出しがうまくかみ合いました。この試合の右サイドはブラジル人で固められたことも奏功したのかもしれません。
エウシーニョとヘナトのパス交換から、後藤が下りてきたところにエウシーニョからパスが入り、ワンツーのような形で後藤の空けたスペースにエウシーニョがドリブルで持ち出すことが出来ました。
この試合では、このようにトップもしくはトップ下に縦にボールが入る場面がほとんどありませんでした。特にティーラシンには全くボールが入らず...この場面のような、引き出す動きと出し手の呼吸を合わせる取り組みが必要と感じました。
③脆弱さを見せたディフェンス
鳥栖の今季初得点を許してしまった場面、最終ラインを経由した相手のサイドチェンジに対して、エスパルスの横のスライドが少し遅く、相手にスペースを与えてしまいました。
この場面では小屋松からパクジョンスへ展開された後、パクジョンスへのアプローチが遅れたことや、原川にボールが入ったときに中村ではなく奥井がアタックしたこと、奥井のカバーで中村が下がったことと、多くの要素が重なり、後手に回ってしまいました。
西澤は中途半端な立ち位置でしたし、原川へのアタックはゴールからの延長線上に立てる中村が行う方が良かったように思います。
特に奥井のアタックの角度では、原川は容易にゴール方向を向くことができてしまい、さらに中村が下がってしまうことで、バイタルエリアを開けてしまうことにもつながってしまいました。
サイドチェンジに対しては、まずは中央を締めることで、簡単に中央を破らせない取り組みが必要だと感じました(選手もわかっていることだとは思いますが、難しいですね)。
3.後半の気になった場面
①個ではがすことで優位性を生み出す
これまでグループでの崩しを中心に取り上げてきましたが、ウイングはワイドにポジションを取るシステムでは、サイドでの1対1で相手をはがすことも非常に重要です。
上図の場面では、ヘナトや後藤を絡めたパスワークから、カルリーニョスが相手と1対1 になる局面を作り出しました。
鳥栖 内田が加われば1対2と数的不利となる場面ですが、ここで内田は中に絞っていきました。
スピードやドリブルにパワーのあるカルリーニョスであれば十分に仕掛けられる場面だと思いましたが、その仕草もなく、ボールをエウシーニョに下げました(クロスを上げるも中はティーラシンのみで相手に跳ね返される)。
意図的であるかは分かりませんが、カルリーニョスと相手ディフェンスを孤立させた(アイソレーション)場面では、積極的に仕掛け、相手をはがすことでゴール前に侵入したいところです。
守備ライン手前からのクロスやパスだけでは、相手も容易に対応が可能です。得点数を増やすために、物足りないと感じた場面でした。
②竹内がビルドアップの潤滑油になる
この試合も相手ツートップと両サイドハーフの積極的なプレッシングにより、エスパルスのビルドアップは窮屈になる場面が多くありました。
データでも、後半のほとんどの時間で、エスパルスのボール支配率は40%を切っていました。
この場面でもヴァウドが内側へのパスコースを消されてしまい、カルリーニョスへのパスを出しますが、相手に狙われボールを奪われてしまいました。
ヴァウドが一度GKへ戻してビルドアップをやり直してもよいですし、オレンジの線で示すようにエウシーニョがハーフスペースへ上がることで、内側のスペースを空ければ、カルリーニョスがファーストタッチで相手をはがすことも出来たかもしれません。
また、この場面での逆サイド奥井の位置取りは、だいぶ高くなっており、ボールが逆サイドにある際にはもう少し内側かつ低い位置でもよいのかなと感じました。
上手く行っていなかったビルドアップですが、竹内が入ったあとは、気を利かせた位置取りで最終ラインを助けることで、少し改善がみられました。
この場面では、ヴァウドの右わきに下りることで、相手のプレッシングを攻略することに成功しました。竹内が落ちることで、鳥栖 小屋松はエウシーニョと竹内の両方を見ないといけなくなり、結果的にエウシーニョがフリーでボールを受けることが出来ました。
このような潤滑油としてのはたらきは、今シーズンのエスパルスの目指すサッカーにとって非常に重要な要素だと思いました。
4. まとめ
プレッシングの角度など、試行錯誤の中で良い場面も多くみられましたが、中々結果がでないため、結構しんどい状況が続いてしまっていますね。
ドリブルで相手をはがしたり、強引にでもシュートを打ったり、といった場面は少なく、コンビネーションで相手を崩すことへのこだわりがダイナミックさを制限してしまっているように感じます。
一方で、ヴァウドの冷静かつ力強い守備は見ごたえ十分ですね!それに引っ張られて、立田も好プレーを多く見せていました。
過密日程ということもあるのでしょうが、センターバックはメンバーを固定できれば、守備が安定しそうな気がします。
あっという間に、次はホーム 大分戦です。チームの完成度は高く、初のスリーバックの相手、守備時には5バックになるなど手ごわい相手ですが、久々のホームで初勝利をみたいです!
最後まで読んでいただいてありがとうございました。
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