【フィギュアスケート】全日本選手権 2024
週末に男女のシングルが行われ、男子は鍵山優真が初優勝、女子は坂本香織が4連覇を果たしました。
男子は羽生結弦と宇野昌磨の引退を受けて、高橋大輔から始まった系譜が
途切れそうな不安を感じますが、鍵山が順調に成長しているのに安心しました。今年はグランプリシリーズ2勝して、ファイナルではマニリンに負けは
したもののFSでは1位でしたし、今回も2位に30点以上差を付けて圧勝。
完全に日本のエースと化しました。
問題は2番手以下です。本来であれば佐藤駿と島田高志郎に期待していたのですが、ケガもあったりと伸び悩みの時期が続いています。そんな中でジュニアの中田璃士が躍進してきました。この若さでこのクオリティの演技が
安定して出せると、近いうち鍵山に肉薄しそうな気がします。またそこまで際立った成績を残してなかった壷井達也も立派でした。世界と戦うには物足りないものの、全日本で3位は良いきっかけになってくれればと思います。
女子は坂本香織が4連覇の偉業となりました。SP・FS共に圧倒的な内容での優勝なので完全優勝となっています。島田麻央は浅田真央と同じ16歳での
全日本制覇に挑みましたが、惜しくも2位となってしまいました。
ただこの採点には疑問が残ります。坂本香織の異常なまでの演技構成点の高さです。
島田麻央はFSでトリプルアクセルと4回転トーループを入れており、実際技術点は坂本を7点以上の差をつけています。しかし演技構成点では、逆に
12点以上も差をつけられているのです。いくらシニア有利とはいえ、ここまでの差がつくのかというところです。島田麻央の点数は、他のメンバーよりも低く、平凡というのは理解できます。坂本だけが異常なのです。
念のため直近の大会のグランプリファイナルのFSの成績を見てみます。
ここでも坂本は70点を超えていることからも、表現力に長けているのはわかります。ただ女子のレベルからいって、70点を超えることが1つのハードルであるのも事実で、それを5点近く上乗せしてくるのはやはり異常と
言わざる得ません。片方に失敗が含まれていれば別ですが、坂本選手はかなり安定感があるのが特徴でもあり、試合ごとにそこまでの差がでるような
選手ではありません。良い意味で安定感があるということです。
採点競技の良くないのはこのような不明瞭だと疑われる点が出てくるところです。坂本選手がGPファイナルぐらいの演技構成点であれば、1点差ないでの肉薄した戦だっただろうと思われる中、これほど差がつくとなんかしらけてしまいます。現状はルール上、仕方ないということだと思いますが、もう少し採点内容の解説が欲しいところです。
さて悲観的な話ばかりではつまらないので、前向きな評価についても。
女子の近未来を担うという点ではシニア勢では千葉百音ですが、今回は少し
失敗が目立ちましたね。連戦が続いていることもあったかもしれませんが、
大躍進の1年でしたので、少し休んで世界選手権頑張って欲しいです。
それ以外では松生・渡辺・三宅は良かったですね。渡辺はトリプルアクセルが復活してますし、三宅は華があって雰囲気があります。まだまだ伸びそうな手応えを覚えました。
またジュニア勢の躍進がシニアを席巻しそうな感じもします。浅田真央から紀平梨花へと繋いでいたバトンは、きっと島田麻央が受け継ぐものと思われます。そこに和田薫子も加わって、近い将来表彰台に来ることを期待しています。ロシア勢も徐々に復帰してるようようなので、ぜひ彼女たちの飛躍で再び強い日本を作って欲しいものです。