詩「景色」
工作で作ったガラス細工から
誕生日である明後日のご飯を見てみようとする
見えたのはかぼちゃコロッケだった
インスタントカメラのガラス破片から
嫌味なあいつの腹の中を見てやる
見えたのはあいつの帰りを待つ2個上の兄だった
上機嫌なとても大きな山の山頂から
胸の中で輝き続けていた街の営みを見てみる
見えたのは歌舞伎町のゲロを必死に食べる鳩だった
証明写真機のレンズから
就活が終わった少し先の未来を覗く
見えたのは忘年会で3度吐いている自分だった
私はいつも
見たい景色を見ることが出来ない
私はいつも
考えながら生きているのに
なんで、なんで
そうしているうちに私は、
疲れてしまった
それはもう何度も。
それはもう何度も。
見たい景色も考えられないほどに。
ジャングルジムの中腹から
期待をせずに
入り組んでいそうな外の景色を見渡す
見えたのは、水平線がはっきり見える広い海だった。