感情を科学する「モチベーション」
さて、今回のテーマは「モチベーション」を科学したい思います。
子どもから大人まで、ビジネスでもスポーツでも「モチベーション」という言葉をよく聞きますが、モチベーションについて学ぶことはあまり無いように思います。そこで、今回はこの「モチベーション」についてお伝えしたいと思います。
モチベーションにもいろいろある
モチベーションは、心理学において大きく二つに分けられます。
外発的(または外的)モチベーション と
内発的(または内的)モチベーション です。
外発的モチベーションは、簡単に言ってしまえば「飴と鞭」です。
飴は報酬や褒美のことで、鞭は不安や恐れです。
外発的モチベーションが問題になるのは特に「持続しない」ことです。
報酬や褒美は、与え続けたりエスカレートし続けない限りモチベーションを維持することができません。給料を増やしたり、出世させたりを続けることでモチベーションを維持している典型が一般的な企業のサラリーマンです。
不安や恐れは、脅しや痛みを与えることでモチベートさせようとしますが、これを続けると無気力になってしまうことが研究され「学習性無力感」と名付けられています。
内発的なモチベーション
一方で、内発的モチベーションは自分の内面から湧き起こるモチベーションです。
内発的なモチベーションの究極の例は、赤ちゃんが立とうとして、何度も転んでも、また立とうとすることです。
誰が命令した訳でもなければ、何度転んでも失敗しても繰り返し続けます。内発的モチベーションの原点は、私たち人にとって大事なことができるようになることです。
ですが、歳を重ねるごとにいろんなことができるようになります。それでも子どもの頃は「理由はないけど楽しいから続けられる」とか「これをしている時が幸せ」といったことがあったと思います。しかし、人によってはこうしたことも無くなってしまいます。大人になると多くの人にとって内発的モチベーションは意図的に作り出す必要性が生じます。
内発的モチベーションを意図的に作り出す必要がある方にとっては、「モチベーション3.0 著ダニエル・ピンク」に書かれているように
Autonomy:主体性
Mastery :成長感、習熟感
Purpose :目的
この三つが必要になります。
主体性や裁量を持って行える、その行いによって成長や習熟感が感じられる、目的がはっきりしている。と言ったことが求められます。リーダーやマネジャー、先生、保護者は、それぞれフォロワーや部下、生徒や子どもに対してこの三つ(AMP:アンプ)を与えられているか?を問う必要があります。
そして、もう一つ重要なことは、「失敗を許容する」ことです。
主体性や裁量を持たせるためには、上手くいかず悩んだり、工夫したり、失敗を繰り返して成功に向かうプロセスを許容することが求められます。完璧である必要はなく、きっちりしている必要もありません。
しかし、実際には部下や子どもに完璧を求めたりしてしまいます。リーダーや保護者には失敗を許容する「楽観性」が求められます。「楽観性」については次回のテーマとしてお伝えいしたいと思います。
一般的にモチベーションは「動機」とか「やる気」と訳されることが多いですが、私の親しい方々は、何歳になっても内発的モチベーションが高い人が多いように思います。抽象度の違いはあっても生きる目的を持っていて、主体的に取り組み、失敗も繰り返しながら成長を実感して過ごしているように思います。
日本大半を占めるサラリーマンの殆どが、こうしたことができません。
企業では終身雇用によって守られ上位下達で目的も伝えられないまま言われたことだけやれば良い。主体性も成長感も目的も与えられないからでしょう。
日本人のEQ検査データからも内発的モチベーションが低いことは明らかです。内発的なモチベーションを高めることは、ありとあらゆる場で求められるでしょう。
おまけ
・子どもが好きで続けたことが、仮に表彰されたとします。「次も頑張ったらニンテンドースイッチを買ってあげる」と伝えた時点で内発的モチベーションは外発的モチベーションに変わってしまいます。内発的モチベーションを無くすこと以外と簡単なことかも知れませんね。
・報酬や褒美が悪いかといえば、そうではありません。サプライズであれば外発的モチベーションにならずに済みます。
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